ドル円株安懸念優先か米長期債利回り上昇優先か(10/5)

10月4日朝に114.54円をつけて高値を更新したが、114.50円以上を維持しきれず日中はややジリ安推移、深夜の急落で113.63円をつけ朝の高値から0.91円の円高ドル安となった。

ドル円株安懸念優先か米長期債利回り上昇優先か(10/5)

【概況】

10月4日朝に114.54円をつけて3月26日以降の高値を更新したが、114.50円以上を維持しきれずに日中はややジリ安推移となり、深夜の急落で113.63円をつけて朝の高値からは0.91円の円高ドル安となった。9月7日以降の上昇波動では、概ね2日から3日で1円強の上昇、その後に1日から1日半で0.50円前後の調整安を入れ、次の上昇で高値を更新するという底上げ・高値更新パターンが継続してきた。9月27日未明のFOMC直後高値113.13円から27日午後安値112.55円までの下げも0.58円の下落幅で、1日夜にかけて2日間で1.50円の上昇だった。2日への下落も113.52円止まりで下げ幅は0.53円であり、これまでの上昇パターンを維持していた。しかし4日への一段高では1.02円の上昇幅ではあったが、その後に0.91円の下落となっており、これまでの0.50円前後の調整安というレベルを超えてきている印象。9月7日からの上昇パターンが崩れかける動き。

【米長期金利上昇が株高を抑制する懸念水準に】

10月4日朝までドル高円安は、米長期金利が上昇基調を継続しつつもそれ以上に株高が続き、日経平均がバブル崩壊以降の最高値を更新、NYダウが10月3日には2日連続で史上最高値を更新するというリスク選好的な展開が続いていたことが背景だった。しかし3日の米10年債利回り急伸は株式市場に対して米長期金利の水準自身がさらに上昇して株高の抑制要因へ転じてくることが大きな懸念となり、4日の日中からNYダウ先物が下落、逆相関で米10年債利回りも上昇、日経平均も警戒感から下落となり円安ドル高基調にブレーキを掛けた。
米30年債利回りは10月3日に3.34%へ上昇して2014年9月以来の高水準となり、4日も3.35%へ続伸した。今年2月と5月の上昇場面では3.20%を超えたが長続きせずに失速していたが、今回は7月6日からの上昇基調が継続し、10月入りから上昇角度が上がっている。米10年債利回りも3日に3.179%へ上昇し、4日も3.232%まで上昇して2011年以来の高水準をつけた。1日の上昇率としては2016年米大統領選挙のトランプショック以来の規模となったようだ。

3日に史上最高値を更新したNYダウは4日に一時300ドルを超える下落となり、終盤やや戻したが200ドル安で終了している。日経平均も3日、4日と続落してきたが、5日早朝も大幅続落で開始しており、株高の楽観論にヒビが入った印象だ。
5日夜には米雇用統計の発表もあり、予想よりも弱めの数字が出ればドル高が緩み、米長期金利上昇にもブレーキがかかる可能性があるが、数字が弱ければ株安反応にもなりえる。また強い数字で景気良好さを材料として株が反発すればその裏側で債券安となって米長期債利回りが上昇、それがまた株高にブレーキを掛けるといういたちごっこになりかねない。こうしたことを踏まえると5日夜のドル円は米雇用統計が強くてドル全面高・米長期債利回り上昇でドル高円安へ進む可能性がある一方、株安へのリスク回避優先で円高ドル安へ進む可能性もあり、発表からの市場反応をしっかり見定める必要がありそうだ。

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月27日安値を前回のサイクルボトム、10月1日深夜高値を同サイクルトップとして下落したが、27日安値から4日目となる3日午前安値で直近のサイクルボトムをつけて新たな強気サイクルに入っていた。
今回の高値形成期は4日夜から8日夜にかけての間と想定したが、4日深夜への急落を踏まえると4日朝高値でやや短めのサイクルトップをつけ弱気サイクル入りしている可能性がある。
3日午前安値割れに至らない内は114.20円超えからの上昇再開により5日夜から8日にかけての間へ一段高してゆく可能性が残るが、114円以下での推移中は下向きとし、113.52円割れからは弱気サイクル入りとして8日の日中から10日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では日夜の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。その後の反発を継続すれば114.20円超えから両スパン揃って好転が見込まれるが、両スパン揃って好転できない内は一段安注意とし、3日午前安値割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。両スパン揃って好転からは遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4日深夜の下落で30ポイント割れまで突っ込んでから戻している。50ポイント台回復、維持へ進めば上昇再開の可能性が高まるが、50ポイント前後までで失速するようならもう一段安により再び20ポイント台を目指す可能性がある。4日深夜安値を割り込んでも指数のボトムを切り上げて強気逆行を見せればその後の反騰入りが期待されると思う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4日深夜安値113.63円を支持線、114.20円を抵抗線とみておく。
(2)114.20円を下回る内は113.63円割れから3日安値113.52円割れへ進み、113.20円から113.00円にかけてのゾーンを目指す下落入りが警戒される。米雇用統計後に下落反応の場合は113円割れも想定する。また3日安値を割り込み雇用統計からも反騰しきれないなら週明けへ続落しやすいとみる。
(3)114.20円超えからは上昇再開の可能性を優先して4日朝高値114.54円超えを試すとみる。高値更新からは114.72円(昨年11月天井)試し、さらに115円乗せを想定するが、114.72円以上は反落警戒圏とみる。

【当面の主な予定】

10/5(金)
休 場 (中) 国慶節
10:30 (豪) 8月 小売売上高 前月比 (7月 0.0%、予想 0.3%)
14:00 (日) 8月 景気先行指数(CI)・速報値 (7月 103.9、予想 104.2)
15:00 (独) 8月 生産者物価指数 前月比 (7月 0.2%、予想 0.1%)
15:00 (独) 8月 製造業新規受注 前月比 (7月 -0.9%、予想 0.8%)
21:30 (米) 8月 貿易収支 (7月 -501億ドル、予想 -524億ドル)
21:30 (米) 9月 非農業部門就業者数 前月比 (8月 20.1万人、予想 18.5万人)
21:30 (米) 9月 失業率 (8月 3.9%、予想 3.8%)
21:30 (米) 9月 平均時給 前月比 (8月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 9月 平均時給 前年同月比 (8月 2.9%、予想 2.8%)
25:40 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
27:00 (墨) メキシコ中銀、政策金利 (現行 7.75%、予想 7.75%)

10/8(月)
休 場 (米) コロンブスデー(政府機関休業、為替・債券市場休場、株式・商品は通常通り)
休 場 (加) 感謝祭

オーダー/ポジション状況

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