ドル円米中貿易戦争エスカレートでも一段高(9/19)

米国17日夕刻、日本時間18日早朝に米国は中国製品2000億ドル規模に対する制裁関税を24日から発動することを決定した。

ドル円米中貿易戦争エスカレートでも一段高(9/19)

【概況】

米国17日夕刻、日本時間18日早朝に米国は中国製品2000億ドル規模に対する制裁関税を24日から発動することを決定した。当初は10%の関税上乗せを9月24日から発動し、年明けからは25%上積みするとした。18日夕刻、中国は対抗措置として600億ドル規模の米国製品に対する追加関税(10%から25%)の発動を表明した。
発表当初にドル円は売られて8時台には111.65円の安値を付けたが、その後は材料消化的に反騰した。日経平均が安寄りから反騰、300円を超える上昇となり、17日夜から反落していたユーロも反騰、NYダウ先物も早朝から上昇反応となり、市場全般は材料消化的な反応を見せた。
午後の上昇で112.27円まで上昇していたが、16時過ぎに中国が対抗措置を発表した段階ではいったん112円割れまで反落したが、その後は再び材料消化的に戻し、深夜への上昇で112.30円台まで高値を更新している。

【米中双方の関税強化を消化して為替・株式市場は楽観反応】

米国による2000億ドル規模の関税強化とそれに対抗する中国の600億ドル規模も関税強化に関しては、これまでも双方から何度もやるぞと公言されてきた。この問題に対する影響等を調査する公聴会や意見公募が9月6日に終了し、早ければ9月7日から発動される可能性もあったが、18日まで長引いた。また当初から25%の上乗せ関税としなかったことで9月末までに行われる米中閣僚級会議や11月の米中首脳会談による妥協の余地があるのではないかとの見方もなされた。
18日の米国市場ではNYダウが184ドル高と上昇してアジア、欧州市場時間での楽観的な反応を継続した。また株高が米債券売りを招いたために米10年債利回りは3.05%へ上昇し、日米長期金利差からのドル買い円売り圧力も加わった。

米政府は中国が対抗措置をとる場合には2670億ドル規模の中国製品に対して追加関税を発動させるとしているため、9月24日に双方の関税強化が発動された後に米国側がこの追加措置をとるのか注目される。
米中は9月27日から閣僚級協議を開催する予定とされ、その事前協議として次官級レベルの調整協議を9月20日前後に行うとされている。これらが予定通りに行われるのか、中国側が協議に応じないのかどうかも注目されるところだ。

【日銀金融政策決定会合】

日銀は18日から金融政策決定会合に入っており、19日昼前後には金融政策の発表がある。市場は金融政策の現状維持と予想し、短期金利をマイナス0.1%とし、長期期金利を0%程度に抑える政策の維持とみているが、前回会合では長期金利の一定上昇を容認しつつ債券購入で上昇を抑えるというスタンスを示したことで一時的に長期金利が上昇する場面もあった。また安倍首相が14日に金融緩和を正常化する出口政策の道筋を3年以内に付ける考えを示したこともあり、黒田総裁の会見が注目される。

【60分足 サイクル、一目均衡表分析】

【60分足 サイクル、一目均衡表分析】

8月29日深夜高値111.82円、9月5日高値111.75円、9月12日高値111.64円と高値ラインは切り下がってきていたが、13日深夜への上昇でこの切り下がりラインを突破した。9月7日安値110.38円から13日未明安値111.10円と安値ラインも切り上がった。9月18日午前にいったん下落したが切り返して14日深夜高値を上抜いたため、9月7日からのドル高円安は12日朝までを一段目、14日深夜までを二段目とし、18日午前安値からは三段目の上昇に発展している。
9月7日安値から12日朝への上昇幅が1.26円、13日未明から14日深夜高値までが1.06円だった。8月31日安値から9月5日夜高値への上昇も1.07円であり、安値から2日ないし3日間で概ね1円強の上昇というパターンが続いている。
二段目の上昇と今回の三段目の上昇幅が同一なら112.741円、18日午前への下げ幅の倍返しなら112.67円と計測されるので、112.50円を超えてくる可能性ありとみる。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、13日未明安値から3日目となる18日午前安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクルに入っていると思われる。14日深夜高値を基準として今回の高値形成期は19日夜から21日夜にかけての間と仮定されるので、19日の日中、夜にかけては高値を試しやすいとみる。

60分足の一目均衡表では18日の上昇で遅行スパン好転、先行スパン突破となっている。遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンを上回るうちは一時的に遅行スパンが悪化してもその後の好転から上昇再開の可能性ありとみる。先行スパン転落からは下げ再開注意として18日午前安値試しとし、18日安値割れからは弱気サイクル入りとなるために遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

以上を踏まえ、当面のポイントを示す。

(1)当初、112.00円を下値支持線、112.50円を上値抵抗線とみておく。
(2)112円台を維持するか、一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、112.50円越えからは112.70円台試しを想定する。また先行きでは113円を目指す可能性も出てくるとみる。
(3)112円割れを切り返せずに続落する場合は弱気転換注意として18日午前安値111.65円試しを想定する。弱気転換は底割れからとし、底割れ回避のうちは112円越えからの上昇再開余地ありとするが、底割れからは9月7日からの上昇一巡による下落期入りとして週末から週明けへのドル安円高を想定する。

【当面の主な予定】

9/19(水)
韓国大統領、北朝鮮訪問、平壌で南北首脳会談
未定(日)日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表(現行-0.10%、予想-0.10%)
07:45(NZ)4-6月期四半期経常収支(前期1.82億NZドル、予想-13.15億NZドル)
08:50(日)8月貿易統計(通関ベース)(7月-2312億円、予想-4832億円)
15:30(日)黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
17:00(欧)7月経常収支(6月235億ユーロ)
17:30(英)8月消費者物価指数前月比(7月0.0%、予想0.5%)
17:30(英)8月消費者物価指数前年同月比(7月2.5%、予想2.4%)
17:30(英)8月小売物価指数前月比(7月0.1%、予想0.6%)
17:30(英)8月小売物価指数前年同月比(7月3.2%、予想3.2%)
17:30(英)8月生産者物価コア指数前年同月比(7月2.2%、予想2.1%)
21:30(米)4-6月期四半期経常収支(前期-1241億ドル、予想-1037億ドル)
21:30(米)8月住宅着工件数[年率換算件数](7月116.8万件、予想124.0万件)
21:30(米)8月建設許可件数[年率換算件数](7月131.1万件、予想130.8万件)
22:00(欧)ドラギECB総裁、講演(ベルリン)

9/20(木)
韓国大統領、北朝鮮訪問、平壌で南北首脳会談
自民党総裁選
未 定 (南) 南アフリカ準備銀行 政策金利 (現行 6.50%、予想 6.50%)
07:45 (NZ) 4-6月期 四半期GDP 前期比 (前期 0.5%、予想 0.8%)
07:45 (NZ) 4-6月期 四半期GDP 前年同期比 (前期 2.7%、予想 2.5%)
16:30 (ス) スイス国立銀行 3カ月物銀行間取引金利誘導目標中心値 (現行 -0.75%、予想 -0.75%)
17:30 (英) 8月 小売売上高指数 前月比 (7月 0.7%、予想 -0.2%)
21:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 20.4万件、予想 21.0万件)
21:30 (米) 9月 フィラデルフィア連銀製造業景気指数 (8月 11.9、予想 16.0)
23:00 (欧) 9月 消費者信頼感 速報値 (8月 -1.9、予想 -2.0)
23:00 (米) 8月 景気先行指数 前月比 (7月 0.6%、予想 0.5%)
23:00 (米) 8月 中古住宅販売件数 [年率換算件数]  (7月 534万件、予想 538万件)
26:20 (欧) プラートECB専務理事、講演[NY]

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