ドル円見通し 7月26日安値割れに余裕乏しい(8/10)

10日早朝に発表された4−6月期GDPは前期比0.5%増(予想0.3%増)、年率1.9%増(同1.3%増)と予想よりはやや強い数字だったため、発表後はやや円高反応がみられる。

ドル円見通し 7月26日安値割れに余裕乏しい(8/10)

【概況】

7月31日の日銀金融政策決定会合後の円安反応により8月1日に112.15円まで戻したが、その後は戻り高値を切り下げつつ安値試しが続いてきた。8月7日夜安値で110.99円をつけたところでは7月26日安値と7月31日安値を結ぶ支持線ギリギリのところで踏みとどまっていたが、8月8日午後の下落で110.83円まで続落して支持線を割り込んだ。さらに9日昼には110.70円まで安値を更新して7月31日安値110.75円を割り込んだが7月26日安値110.59円割れはひとまず回避した。

9日夜には7月の米生産者物価指数の発表があり、全体の前年比は3.3%となり市場予想及び6月の3.4%を若干下回った。コア指数の前年比も2.7%となり市場予想及び6月の2.8%を若干下回った。発表当初には若干のドル安反応も見られたが高い水準を維持しているため反応は限定的だった。

9日夜にはユーロドルが8月6日安値を割り込んで一段安となった。今年1月から4月半ばまで高値圏持ち合いを継続していたが4月後半からの下落で下放れとなって大幅下落へ発展した。5月末からは1.1500ドルを支持線として横ばいが続いているが、この持ち合いからも下放れしかねない状況となってきている。ECBの金融正常化への姿勢が緩慢なこと、イタリア新政権の予算が財政規律を逸脱する懸念が強まっていること、英ポンドがEU離脱問題でのハードランディング懸念により4月17日高値以降の安値を更新していることなどが背景だ。これらユーロ安、ポンド安はドル高要因ではあるがクロス円としてはユーロ安円高、ポンド安円高を招いており、ドル円上昇に寄与せず、逆に足を引っ張る要因になりつつある。

【国内の動き】

10日早朝に発表された4−6月期GDPは前期比0.5%増(予想0.3%増)、年率1.9%増(同1.3%増)と予想よりはやや強い数字だったため、発表後はやや円高反応がみられる。

米中貿易戦争に加え、日米通商摩擦問題も市場の懸念を強めている。9日からは日米通商協議が開始したが、10日8時からの茂木経済再生相の会見では楽観的な進展への期待を持たせる内容に乏しく、協議は2日目へ継続するようだ。米国による日本製自動車への関税強化や牛肉等農産物については協議終了後に内容を示すと同相が述べているので、これらに対する楽観的な結末への期待感は乏しい印象だ。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月31日安値から3日目の8月3日深夜安値をサイクルボトムとして戻していたが、7日夜の下落で3日深夜安値を割り込んだために8日朝時点では底割れによる弱気サイクル入りとして8日夜から10日夜にかけての間への下落を想定した。9日昼へ続落したがその後の反発で111円台を回復し、前回ボトムからも3日を経過したために9日昼安値を直近のサイクルボトムとする。今回の高値形成期は9日夜から13日夜にかけての間と想定されるので、9日昼安値割れ回避のうちは上昇余地ありとするが、すでに9日夜高値でサイクルトップを付けた可能性がある。9日昼安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとして次のボトム形成期となる14日から16日にかけての一段安入りが警戒される。

60分足の一目均衡表では9日昼安値からの反発では先行スパン突破へは進めず、10日午前の下落では先行スパンから転落している。9日昼安値割れ回避のうちは先行スパンを上抜き返すところから上昇再開の可能性ありとするが、9日昼安値割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先と考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す
(1)当初、下値支持線を8月9日昼安値110.70円、次いで7月26日安値110.59円とし、9日夜高値111.18円を抵抗線とみておく。
(2)111.18円を下回るうちは一段安警戒とし、8月9日昼安値割れからは新たな弱気サイクル入りと仮定して7月26日安値試し、さらに底割れからは110円試しを想定する。またその際は7月19日の戻り高値を起点とした下落が二段目の下げに入ること、7月26日時点では維持した3月26日以降の中勢上昇トレンドの支持線からの転落による下落として下げが加速しやすいと警戒する。
(3)111.18円越えからは111.50円前後試しへの上昇を想定するが、新たなサプライズ的な円安材料が出てこないうちは111.50円前後で戻り売りにつかまりやすいとみる。(了)<9:30執筆>

【当面の主な予定】

8/10(金)
10:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)、四半期金融政策報告
17:30 (英) 6月 貿易収支 (5月 -123.62億ポンド、予想 -119.00億ポンド)
17:30 (英) 6月 鉱工業生産指数 前月比 (5月 -0.4%、予想 0.4%)
17:30 (英) 6月 製造業生産指数 前月比 (5月 0.4%、予想 0.3%)
17:30 (英) 4-6月期 四半期GDP、速報値 前期比 (前期 0.2%、予想 0.4%)
17:30 (英) 4-6月期 四半期GDP、速報値 前年同期比 (前期 1.2%、予想 1.3%)
21:30 (米) 7月 消費者物価指数 前月比 (6月 0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 7月 消費者物価指数 前年同月比 (6月 2.9%、予想 3.0%)
21:30 (米) 7月 消費者物価コア指数 前月比 (6月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 7月 消費者物価コア指数 前年同月比 (6月 2.3%、予想 2.3%)
27:00 (米) 7月 月次財政収支 (6月 -749億ドル)

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