ドル円日銀金融政策決定会合米株下落が気がかり(7/31)

7月30日は特段の手掛かりなく、111円を挟んだ小レンジの揉み合いに終始した。

ドル円日銀金融政策決定会合米株下落が気がかり(7/31)

【概況】

7月30日は特段の手掛かりなく、111円を挟んだ小レンジの揉み合いに終始した。
7月20日のトランプ大統領による米連銀利上げ批判・ドル高牽制ツイートから急落に転じ、7月19日高値113.17円から23日午前安値110.75円まで2.42円幅の下げ幅となった。さらに28日には110.59円まで安値を切り下げたが、今週の日米英金融政策発表を控えた状況のなかで先週は上下1円幅に満たない持ち合いに留まった。週明け30日も111円を挟んだ揉み合いに止まり、ほとんど横ばい止まりだった。

【人民元安とナスダック】

気になる点としては、ドル人民元が6.83元台まで上昇して3月以降の高値を更新、2017年16月以来1年1か月振り高値となっていること。人民元安は対ドル、対円でも進んでおり、米中貿易戦争全面化への懸念を背景として人民元売りが続いている。中国人民銀行総裁による口先介入で7月3日高値の後はいったん下げたが既に一段高しており、先週も中国国有銀行系のドル売り元買いが見られたものの若干のブレーキに止まった。人民元安継続は貿易戦争不安の象徴でもあり、底割れ回避でやや戻していた上海株も下落再開気配となっていることも踏まえると、先行きのリスク回避円高要因として注意が必要と思われる。

もう一つは米ナスダック総合株価指数の大幅続落。フェイスブック、ツイッターが20%前後の暴落となり、これまで楽観主義的な株高の象徴だったナスダックが崩れ始めている。30日もFANG銘柄(フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグル親会社アルファベット)が下落、そのうちネットフリックスが5.7%安となり、ナスダック指数は26日の80.05安、27日の114.77安に続いて30日は107.42安と3日連続で大幅下落した。下落レベルはまだ6月後半の下落時並だが、6月28日安値7419ポイントを割り込んでくる場合は上昇基調が崩れる可能性があり、他市場への連鎖も懸念される。

【日銀金融政策決定会合】

7月31日昼頃には日銀金融政策発表がある。
市場は今回の日銀金融政策も現状維持との見方が多いようだが、7月20日に時事通信社が独自取材として「日銀が長期金利の一定上昇を容認姿勢へ」と報じたことも7月20日から23日への円高要因となっており、また先週から週明けにかけ頭重い商状が続いたことの背景にもなっている。
31日午前はやや円高気味に推移しており、日銀が長期金利上昇を一定程度容認する等の政策姿勢変化を見せるのではないかという警戒感も意識されているようだ。日銀が金融緩和政策にやや柔軟性を持たせる場合、緩和政策の継続性を維持する姿勢からの転換と市場に誤解されないようにするだろうが、国債やETFの大量買い入れも限界に近く、米国の利上げを中心に世界的な金融政策の正常化が進み始める中で日銀が長期金利をゼロに抑え続ける事も難しくなってきている。そうした日銀の限界性を市場に意識させてしまうようなら円高のトリガーとなりかねない。

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、23日午前安値から3日目となる26日午後安値で直近のサイクルボトムをつけて27日未明へ戻した。しかしその後は新たな高値更新へ進めずに丸2日を横這い推移としているため、24日未明高値から3日目となる27日未明高値で直近のサイクルトップをつけたと仮定する。このため27日未明高値超えへ進めない内は次の安値形成期となる31日午後から8月2日午後にかけての間への下落を想定する。ただし、日銀金融政策発表及び黒田総裁会見等から反騰する等で27日未明高値を超える場合は高値更新による新たな強気サイクル入りとして次の高値形成期となる8月1日未明から3日未明にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では相場が横ばいのために先行スパン及び遅行スパンが実線と交錯して方向感に乏しい。28日安値110.79円を割り込むところからは両スパン悪化も鮮明になるので遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、27日未明高値超えからは遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は相場が揉み合いのために50ポイントを挟んだ小動きに止まっている。40ポイント割れからさらに下降し始める場合は下げ再開と仮定し、55ポイント超えからは上昇再開と仮定する。

以上を踏まえて31日の日中から1日朝にかけてのポイントを示す。
(1)当初、27日未明高値111.24円を上値抵抗線、28日未明安値110.79円を下値支持線とみておく。
(2)27日未明高値超えへ進めない内は28日未明安値割れから下落再開とし、110.50円から110.25円にかけてのゾーンを試すとみる。110.25円以下は突っ込み警戒、反騰注意とするが110.75円以下で推移中は1日の日中も更に一段安へ進みやすいとみる。
(3)27日未明高値111.24円超えからは上昇再開としてまず111.50円台試しとみる。111.50円に到達できないか、到達しても維持できずに111.20円割れへ反落の場合は下げ再開注意とする。111.50円超えからさらに続伸の場合は111.75円前後まで上値目処を引き上げる。また111.25円以上での推移中は1日の日中も高値を試しやすいとみる。(了)<9:50執筆>

【当面の主な予定】

7/31(火)
アップル決算発表
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利発表 
10:00 (NZ) 7月 NBNZ企業信頼感 (6月 39.0 )
10:30 (豪) 6月 住宅建設許可件数 前月比 (5月 -3.2%、予想 1.0%)
14:00 (日) 6月 新設住宅着工戸数 前年比 (5月 1.3%、予想 -2.5%)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
16:55 (独) 7月 失業率 (6月 5.2%、予想 5.2%)
18:00 (欧) 7月 消費者物価指数 HICP、速報値  前年比 (6月 2.0%、予想 2.0%)
18:00 (欧) 4-6月期 四半期GDP、速報値 前期比 (前期 0.4%、予想 0.4%)
18:00 (欧) 4-6月期 四半期GDP、速報値 前年比 (前期 2.5%、予想 2.2%)
18:00 (欧) 6月 失業率 (5月 8.4%、予想 8.3%)

21:30 (米) 4-6月期 四半期雇用コスト指数 前期比 (前期 0.8%、予想 0.7%)
21:30 (米) 6月 個人消費 前月比 (5月 0.2%、予想 0.4%)
21:30 (米) 6月 個人所得 前月比 (5月 0.4%、予想 0.4%)
21:30 (米) 6月 PCEコア・デフレーター 前月比 (5月 0.2%、予想 0.1%)
22:00 (米) 5月 ケース・シラー米住宅価格指数  前年比 (4月 6.6%、予想 6.4%)
22:45 (米) 7月 シカゴPMI (6月 64.1、予想 61.9)
23:00 (米) 7月 コンファレンスボード消費者信頼感指数 (6月 126.4、予想 126.5)

8/1(水)
スイス 休場
07:45 (NZ) 4-6月期 四半期失業率 (前期 4.4%、予想 4.4%)
10:45 (中) 7月 財新製造業PMI (6月 51.0 )
16:55 (独) 7月 製造業PMI、改定値 (速報 57.3、予想 57.3)
17:00 (欧) 7月 製造業PMI、改定値 (速報 55.1、予想 55.1)
17:30 (英) 7月 製造業PMI (6月 54.4、予想 54.2)
21:15 (米) 7月 ADP民間雇用者数 前月比 (6月 17.7万人、予想 17.5万人)
23:00 (米) 6月 建設支出 前月比 (5月 0.4%、予想 0.3%)
23:00 (米) 7月 ISM製造業景況指数 (6月 60.2、予想 59.8)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利発表 (現行 1.75-2.00%、予想 据え置き)

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