【概況】
7月20日未明、20日夜と続いたトランプ大統領による米連銀利上げ批判、ドル高ユーロ安、人民元安等への牽制ツイートからドル円は大幅下落となり、7月19日高値113.17円から23日朝安値110.75円まで2.42円幅となった。
23日は急落一服で新たな手掛かり無しとしたが、人民元がさらに下落したこともあり全般に軟調な推移に留まった。深夜に111円を若干割り込んだところは買い戻されているので、現状は111円前後から111.50円前後までのレンジ内推移という様相だ。
米通商代表部(USTR)は24、25日に160億ドル規模の中国産品への制裁関税で公聴会を開催。25日には米欧首脳会談があり、米国が検討中の輸入車関税がどうなるか注目が集まっている。一方でトランプ米大統領は24日、「(関税は)最高に素晴らしい」とツイートしている。
【3月26日以降の支持線ぎりぎり】
3月26日底からドル円は上昇してきた。5月21日高値まで6.75円幅の上昇後、5月29日にかけて3.27円幅の反動安を入れたがそこから切り返して5月21日高値を上抜く一段高となった。しかし7月19日高値からの下落は5月29日以降の上昇期における小規模調整安のレベルを超える下げ幅となったため、3月以降の上昇トレンドが維持されるのかどうか、ぎりぎりの状況となっている。
5月29日安値、6月25日安値はいずれも52日移動平均までの下げで切り返したが、今回も52日移動平均にかなり迫るところまで下げている。また3月26日、5月29日、6月25日安値はほぼ1直線であり、7月23日安値もこの線上に来ている。新たな安値更新を回避してこの間の下落幅の半値となる111.95円超え、112円到達まで戻せば5月29日への下落時に近い下げではあったが上昇トレンド維持として高値更新へ向かう可能性も浮上してくると思う。しかしそこまで戻せない内はもう一段安により52日移動平均、上記の上昇トレンド支持線割れへと崩れて円高期に入る可能性も残ると思われる。いずれへ進むのか、7月26日のECB理事会、27日の米GDP速報、7月30−31日の日銀金融政策決定会合、7月31−8月1日の米FOMC声明等により決まってゆくのだろうと思われる。現状はそうした重要イベント前のためやや動きにくい時期かもしれない。
【人民元安】
7月24日にドル人民元は一段高となった。中国人民銀行が発表した24日の基準値は6.8791元となり2017年7月11日以来の元安ドル高水準となった。その後は一時6.8295元までドル高元安が進行した。円/人民元も24日には6.0963元へと上昇、7月13日の押し目底から一段高へ進んでいるが、特に7月19日から円高元安が加速しており、ドル円にとっても円高要因になってきている。
中国国有銀行系がドル売り元買い等、介入姿勢をにおわせる動きもみられるが、相当に強固な姿勢を市場に示すという印象には至らないため、先行きの対ドル、対円での元安継続感が強まっている。
【サイクル分析】
(USD/JPY 1時間足)
概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、7月18日高値113.13円と19日高値113.17円をダブルトップとして下落期に入ったが、23日午前への大幅下落からやや戻したため、24日朝時点ではひとまず23日午前安値でサイクルボトムを付けたとし、新たな底割れ回避のうちは24日の日中から26日にかけての間へ上昇する可能性があるとしたが、戻りは限定的とした。24日深夜への下落では新たな底割れに至っていないため24日未明高値111.54円超えからは上昇再開として25日夜、26日の日中へ戻り高値を試す可能性があるが、24日深夜安値1110.96円を割り込む場合は下げ再開の可能性が高まり、23日午前安値110.75円割れからは新たな弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる26日午前から30日午前にかけての間への下落期入りを想定する。
60分足の一目均衡表では23日午前安値からの反発で遅行スパンが一旦好転したがその後の反落で悪化している。先行スパン下限が抵抗となっている。24日未明高値を超えてくればそのまま先行スパン突破へ進む可能性もあるため、遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、24日深夜安値割れからは下げ再開の可能性を踏まえて遅行スパン悪化中の安値試し優先と考える。
60分足の相対力指数は24日夜の下落では40ポイント割れを切り返しているのでまだ上昇余地ありとするが、次の40ポイント割れからは下げ再開を疑う。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、24日深夜安値110.96円を支持線、24日未明高値111.54円を抵抗線とみておく。
(2)111円台維持のうちは111.54円試しとし、高値更新の場合は111.75円から111.95円にかけてのゾーンを試す上昇を想定するが、そこは戻り売りにつかまりやすいとし、その後の111.20円割れからは下げ再開とみる。
(3)24日深夜安値割れからは下げ再開と仮定して23日午前安値110.75円試しとし、底割れからは110円試しへの下落期入りと考える。110.50円以下は目先的な買い戻しも入りやすいとみるが、111円以下での推移が続く場合は26日にかけての一段安警戒とみる
【当面の主な予定】
7/25(水)
EU財務相理事会
10:30 (豪) 4-6月期 四半期消費者物価 前期比 (前期 0.4%、予想 0.5%)
10:30 (豪) 4-6月期 四半期消費者物価 前年比 (前期 1.9%、予想 2.2%)
17:00 (独) 7月 IFO景況指数 (6月 101.8、予想 101.5)
23:00 (米) 6月 新築住宅販売件数 年率換算件数 (5月 68.9万件、予想 67.0万件)
7/26(木)
BRICS首脳会議(南ア・ヨハネスブルク、27日迄)
15:00 (独) 8月 GFK消費者信頼感 (7月 10.7、予想 10.7)
20:45 (欧) 欧州中銀(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 据え置き)
21:30 (欧) ドラギ欧州中銀(ECB)総裁、定例記者会見
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.7万件、予想 21.5万件)
21:30 (米) 6月 耐久財受注 前月比 (5月 -0.6%、予想 3.0%)
21:30 (米) 6月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (5月 -0.3%、予想 0.5%)
オーダー/ポジション状況
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