ドル円大統領発言から急落、上昇基調にブレーキ(7/20)

トランプ米大統領は7月19日のCNBCテレビにおけるインタビューで、米連銀の利上げ姿勢について「必ずしも同意しない。感心しない」と発言

ドル円大統領発言から急落、上昇基調にブレーキ(7/20)

【概況】

7月11日に5月21日高値を突破、7月13日には112.80円まで続伸した。16日、17日の日中と速度調整的にやや下げたものの17日夕刻からはさらに一段高となり113円台に乗せた。米経済指標も良好だったこと、17日のパウエル米連銀議長上院議会証言での利上げ姿勢、米国株高が背景だった。17日には米ナスダック総合株価指数が史上最高値を更新、NYダウも7月12日から5連騰となり、貿易摩擦問題を気にしつつも株高ドル高基調が強まる状況で推移してきた。
7月18日高値113.13円の後はいったん113円を割り込んだが、19日夜にはフィラデルフィア連銀景況指数が予想を上回ったことなどから113.17円まで上昇してこの間の高値を更新していた。
ところがその後、トランプ大統領のCNBCインタビュー報道をきっかけに急落、20日2時台には112.058円まで1円以上の下げ幅となった。

トランプ米大統領は7月19日のCNBCテレビにおけるインタビューで、米連銀の利上げ姿勢について「必ずしも同意しない。感心しない」と発言、追加利上げに対するけん制姿勢を示した。政府から独立した米連銀の金融政策に大統領自らが介入するような発言を行うのは極めて異例であり、それまでのドル全面高の流れにブレーキがかかった。貿易戦争問題でも19日は米商務省による公聴会が開かれる等、市場もやや神経質になっていたところでの発言だったために、市場も動揺したという印象だ。
20日2時台安値の後は112.50円越えまで0.50円強の反発となっており、今のところ影響は限定的なものと思われる。今後、トランプ大統領がさらに米連銀をけん制するような発言を繰り返すのか、独立性を尊重するような火消しへ動くのか注目される。

米労働省が発表した週間新規失業保険申請は季節調整済みで20万7000件となり前週比8000件減少して市場予想の22万件を下回り、米フィラデルフィア連銀の7月製造業景況指数は25.7となり前月の19.9から上昇、市場予想の21.5を上回った。米民間調査会社コンファレンス・ボードが発表した6月の景気先行指数は1109.8となり、前月比0.5%上昇して市場予想の0.4%上昇を上回る。これらは米国景気の強さを示すものとしてドル高要因と考えられる。

【サイクル分析】

【サイクル分析】

(USD/JPY 1時間足)

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、7月13日夕刻高値112.79円直近のサイクルトップを付けて調整安に入っていたが、17日夜からの上昇で13日高値を超えたことにより新たな強気サイクルに入ったと想定した。13日午後高値から下落していたために19日朝時点では18日午後高値でサイクルトップを付けた可能性があるとしたが、18日高値113.13円越えからは新たな強気サイクル入りとした。19日夜へ高値を更新したものの20日未明に急落したため、18日午後高値と19日夜高値をダブルトップとしていったん弱気サイクルに入ったと考える。今回の安値形成期を17日朝安値を基準として20日未明から24日朝にかけての間と想定する。早ければ20日未明安値をボトムとして次の強気サイクルへ入る可能性があるが、112.50円以下での推移が続き始める場合は20日未明安値試しとし、安値更新からは20日夜、週明けへの下落継続と考える。112.50円を上回って推移するうちは新たな強気サイクル入りの可能性ありとして19日夜高値試しとし、高値更新からは24日から26日にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では20日未明の急落で先行スパンから転落している。先行スパンから転落した状況が続くうちは安値更新へ進む可能性ありとするが、先行スパン突破からは上昇再開と仮定して高値試し優先と考える。

60分足の相対力指数は20日未明の急落で30ポイント台まで下げたが、その後は40ポイント台を回復している。50ポイント以上へ進めば上昇再開の可能性を優先するが、再び40ポイント割れとなる場合は下落再開注意とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初の下値支持線を20日未明安値112.05円、上値抵抗線を113.00円と想定しておく。
(2)112.50円を上回るうちは上昇再開の可能性ありとして113円台回復を目指すとみる。19日夜高値113.17円越えからは強気サイクル入りとして113.50円前後への上昇を想定する。また113円台を維持して終了なら週明け以降に114円台挑戦の可能性も高まるとみる。
(3)112.50円を下回る状況が続き始める場合は20日未明安値試しとし、底割れの場合は111.75円から111.50円前後にかけての下落を想定する。111.75円以下は反発警戒圏とみるが、112.50円以下で終了の場合は週明けも安値を試す懸念が継続するとみる。

【当面の主な予定】

7/20(金)
08:30 (日) 6月 全国消費者物価指数 前年比 (5月 0.7%、予想 0.8%)
08:30 (日) 6月 全国消費者物価コア指数 前年比 (5月 0.7%、予想 0.8%)
15:00 (独) 6月 生産者物価指数 前月比 (5月 0.5%、予想 0.3%)
17:00 (欧) 5月 経常収支 (4月 284億ユーロ)
21:00 (米) ブラード米セントルイス連銀総裁、講演

7/21(土)
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(ブエノスアイレス、〜22日)

オーダー/ポジション状況

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