ドル円見通し 11月-3月下落に対する3分の2戻し(5/22)

週明け当初はドル高基調継続と米中貿易戦争回避による楽観的な市場心理を反映して高値を更新、21日午後には111.39円をつけた。

ドル円見通し 11月-3月下落に対する3分の2戻し(5/22)

【概況・ポイント】

週明け当初はドル高基調継続と米中貿易戦争回避による楽観的な市場心理を反映して高値を更新、21日午後には111.39円をつけた。3月26日以降の上昇に対しては当初、半値戻しの109.67円前後試し、110円のダブルトップラインを突破した段階からは3分の2戻しの111.357円を目指すとみてきたが、3分の2戻しを実現した。

既に上昇も2か月に迫っている。概ね5か月から6か月周期の上昇であるが、前回は昨年9月8日から11月6日天井への2か月間で7.40円幅の上昇となった。この7.40円幅を今回の上昇に適用すれば112.03円が上値計算値となる。21日午後高値からは小反落しているが、仮に高値更新の場合は111円台後半からさらに112円到達という可能性も考えるべきだろう。ただし、このレベルの中間反騰は昨年11月への7.40円幅の他、7月11日への上昇が5.65円幅、5月11日への上昇が6.25円幅であり、既に今回の上昇でこれらを上回っているので、戻り一巡、高値警戒感が出やすい水準にはすでに到達していると注意すべきだろう。

【米中の通商問題はひとまず妥協】

米中両政府は19日に共同声明を発表し、米国の対中貿易赤字の貿易削減に向け中国が取り組みを進めることで一致、両国が言及してきた巨額の追加関税についての棚上げに合意した。
ムニューシン米財務長官は5月21日にテレビインタビューに答えて中国の知的財産権侵害に対抗しての中国製品への制裁関税、トランプ大統領が3月に表明した500億ドルの関税、その後に追加検討が指示されていた1000億ドルの対中制裁を保留すると述べた。

市場にとっては米中貿易戦争化リスク、中東情勢リスク、北朝鮮リスクが重要問題であるが、このうち北朝鮮問題は6月12日の米朝首脳会談実現の可能性が高まり、米中の貿易戦争全面化への懸念もひとまず後退した。
中東情勢については米国のイラン核合意離脱からさらに米国によるイランへの強硬な制裁発動の意向が示されていることで今後の推移次第ではリスク再燃となりうるが、今のところは市場の反応も様子見に止まっている。

このようにリスク回避的な動きは後退しているのだが、ドル高も2か月を経過、上昇一服感も出やすい処には来ているので、今後はさらにドル高を押し上げてゆく材料も必要になってくると思われる。その点では24日未明のFOMC議事録公開内容がどんなものか注目されるところだ。

米フィラデルフィア連銀行のハーカー総裁が21日の講演で「年内あと3回の利上げを正当化するインフレ加速になる可能性がある」「早ければ6月会合でその姿勢が示されるかもしれない」旨を発言した。同総裁はFOMCでの投票権を持たないが、FOMCの姿勢を示唆しているのかもしれない。FOMCは6月12日、13日に開催されるが、6月12日には米朝首脳会談も予定されているため、市場心理の重要な転機になる可能性がある。

【60分足 一目均衡表 サイクル分析】

【60分足 一目均衡表 サイクル分析】

60分足の一目均衡表では15日午前の上昇で先行スパンを突破、その後も突破状況を維持してきた。16日夜、19日未明への下落でも先行スパンからの転落には至らなかった。21日午後高値からの反落では再び先行スパンに迫っている。遅行スパンは悪化しても早々に好転へ切り返してきた。このため遅行スパンが一時的に悪化しても先行スパンからの転落を回避して再び好転なら上昇基調の継続と考えられる。しかし先行スパンから転落の場合は11日以降の上昇に変化が出るため、調整安入りとして19日未明安値試し、あるいは割り込むところへ向かう可能性に注意する。
11日以降は高値切り上げ後の安値も切り上げてきたので、19日未明安値割れの場合はこの強気パターンが崩れる。

60分足の相対力指数は21日の上昇で70ポイントを超えたが、15日に110円を突破したところからはピークが切り下がって50ポイントを割り込んできている。55ポイント以上へ切り返せば上昇再開とみるが、超えられない内は30ポイント台への下落を想定する。

概ね3日から5日周期の短期サイクルでは、16日深夜安値を前回のサイクルボトムとして上昇してきたが、16日未明高値から3日を経過して21日午後高値から反落しているため、21日午後高値を直近のサイクルトップとする。新たな高値更新へ進めない内は22日の日中から23日深夜にかけての間は安値を試しやすいとみる。前回ボトムからもすでに3日を経過しているので早ければ22日中にボトムをつけて反騰入りする可能性があるので、111.25円超えを強気転換注意、21日高値111.38円超えからは新たな強気サイクル入りとして次のトップ形成期となる24日から28日にかけての間への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、111.25円を抵抗、110.80円を支持線とみておく。
(2)111.25円を超えられない内は110.80円割れから19日未明安値110.61円試しへ向かうとみる。底割れ回避で111円超えなら上昇再開とするが、底割れから111円超えへ戻せないうちは22日夜、23日の日中へ安値を試しやすいとみて110.00円前後試しへ向かう可能性を考える。
(3)111.25円超えから続伸の場合は111.39円試しとし、高値更新からは新たな上昇期として112円試しへ向かうとみる。また21日高値を上抜いた後に111円以上で推移するうちは22日夜、23日と高値を試しやすいとみる。(了)<9:45執筆>

【当面の主な予定】

5/22(火)
(中) 香港市場休場(仏誕節)
(米) 米韓首脳会談(ワシントン)
23:00 (米) 5月 リッチモンド連銀製造業指数 (4月 -3、予想 8)

5/23(水)
   (米) 日米外相会談(ワシントン)
(北) 北朝鮮の核実験場廃棄を公開
16:30 (独) 5月 製造業PMI、速報値 (4月 58.1、予想 57.9)
16:30 (独) 5月 サービス業PMI、速報値 (4月 53.0、予想 53.3)
17:00 (欧) 5月 製造業PMI、速報値 (4月 56.2、予想 56.0)
17:00 (欧) 5月 サービス業PMI、速報値 (4月 54.7、予想 54.5)
17:00 (豪) ロウRBA総裁、講演
17:30 (英) 4月 消費者物価指数 前年比 (3月 2.5%、予想 2.5%)
23:00 (米) 4月 新築住宅販売件数 (3月 69.4万件、予想 67.7万件)
23:00 (欧) 5月 消費者信頼感指数 速報値 (4月 0.4、予想 0.4)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨 5月1-2日会合分

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