短期的には緩やかなドル高傾向(週報2016年3月第4週)

短期的には緩やかなドル高傾向

短期的には緩やかなドル高傾向(週報2016年3月第4週)

前週の主要レート(週間レンジ)

     始値    高値    安値     終値

ドル円  111.44    113.32    111.20   113.06
ユーロ円 125.64   126.46   124.68   126.26
ユーロドル 1.1274   1.1286    1.1144   1.1168
日経平均 16937.31  17142.08  16843.99   17002.75

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

3月21日(月)
 東京市場が休場ということもあって小動きとなりましたが、金曜からのドル買い戻しが継続しました。週末を挟んで地区連銀総裁の発言が多かったのですが、全般にタカ派よりの発言が目立ち、それもドル買いに作用しました。

3月22日(火)
 連休明けの東京市場では、前日の流れを受けドル円は堅調な動き、株価も前日の海外先物市場で買われたこともありクロス円も円安地合いとなりました。流れが一変したのは欧州市場序盤にブリュッセルの空港や地下鉄で爆発のヘッドラインが流れたところから、ユーロ円を中心にリスクオフの円買いが強まり、被害拡大のニュースとともにユーロ円はこれまでのもみあいを下抜け一時124.68レベルの安値を付けました。ドル円も111.38レベルまで下値を広げましたが、NY市場では株価や原油価格が高値圏へと値を戻す動きとともに、ユーロ円は下げる前の水準へと戻し、ドル円は東京市場の高値を上抜けての引けとなりました。

3月23日(水)
 東京市場はほとんど動意無しの展開を続けましたが、海外市場に移り再びドルが底堅い展開となりNY市場を迎えました。NY市場前場は連日続く地区連銀総裁のタカ派寄り発言から、ドル買いの動きとなりドル円は一時112.91レベル、ユーロドルも1.1116レベルのドル高値を付けました。しかし後場に入るとWTIの大幅安をきっかけに株安、ドル安へと波及し、引けにかけてドル円は前日終値の水準に戻し、ユーロは対ドル、対円ともやや弱含みで引けました。

3月24日(木)
 東京市場のドル円は海外市場での下げに対する調整から買い戻しの動きとなりました。引き続き米国各地区連銀総裁のタカ派寄り発言が材料となっていましたが、基本的にはイースター休暇を前に材料に欠ける流れが続き、欧州市場と重なる時間に高値113.01レベルをつけたものの息切れ。海外市場では原油と株価を横目で見ながら、NY市場前場まではじり安で東京朝方の水準へと押し、引けにかけては再びドル買いの動きとなっていました。

3月25日(金)
 東京を除いた主要市場がグッドフライデーで休場、仲値前に実需のドル買いが出たことからやや円安に動き、その後はドル高値圏で終日動意薄の展開となりました。ユーロドルをはじめ主要通貨が小動きだったこともあり、クロス円も円安気味の動きとなりました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。FRB地区連銀総裁講演の内、2016年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。

3月28日(月)
**:** シドニー、欧州、LDN市場休場
**:** 欧州、英国夏時間移行
21:30 米国2月個人所得、消費支出
23:00 米国2月中古住宅販売保留件数指数
23:30 米国3月ダラス連銀製造業活動指数

3月29日(火)
08:30 本邦2月失業率、有効求人倍率
18:15 (サンフランシスコ連銀総裁講演)
22:00 米国1月ケースシラー住宅価格指数
23:00 米国3月消費者信頼感指数
24:30 イエレンFRB議長講演
26:00 (ダラス連銀総裁講演)

3月30日(水)
18:00 ユーロ圏3月消費者信頼感確報値
21:00 ドイツ3月CPI速報値
21:15 米国3月ADP全国雇用者数
23:30 米国週間原油在庫発表
26:00 (シカゴ連銀総裁講演)

3月31日(木)
08:05 英国3月GFK消費者信頼感
09:00 NZ3月ANZ企業信頼感
16:00 英中銀総裁講演
16:00 トルコ10〜12月期GDP
16:55 ドイツ3月失業率
17:30 英国10〜12月期GDP確報値
18:00 ユーロ圏3月CPI速報値
20:30 米国3月チャレンジャー人員削減予定数
21:00 南ア2月貿易収支
21:30 米国新規失業保険申請件数
22:45 米国3月シカゴ購買部協会景気指数

4月1日(金)
06:00 NY連銀総裁講演
08:50 日銀短観
10:00 中国3月製造業、非製造業PMI
10:45 中国3月MarkIt製造業PMI
16:50 フランス3月製造業PMI確報値
16:55 ドイツ3月製造業PMI確報値
17:00 ユーロ圏3月製造業PMI確報値
17:30 英国3月製造業PMI
18:00 ユーロ圏2月失業率
21:30 米国3月雇用統計
22:45 米国3月MarkIt製造業PMI確報値
23:00 米国3月ISM製造業景況指数
23:00 米国2月建設支出
23:00 米国3月ミシガン大消費者信頼感指数確報値
26:00 クリーブランド連銀総裁講演

4月3日(日)
 **:** 豪州、NZ冬時間移行

今週の週間見通し

先週のドル円は、地区連銀総裁によるタカ派寄り発言が続いたことからドル買いが続く週となりました。週後半にNYダウや原油が下げる動きを示した際にも円相場は円安気味の推移を続け、期末前の実需筋によるドル買いもドルを下支えする結果となりました。先週示した週後半の日柄も今回はまったく影響がありませんでしたが、海外主要市場がイースター休暇で本日まで休場となることも関係があったと思います。

さて、地区連銀総裁によるタカ派寄りの発言ですが、そもそものきっかけは3月のFOMCで示されたドットプロット(FF金利の見通し)において、昨年12月の2016年中4回利上げ(計1.0%)の見通しが、3月には2回利上げ(計0.5%)へと大幅に後退したことによるものです。この見通しは市場参加者の思惑に近いものがあり、FOMCが市場見通しに寄せてきた感じもあったのですが、ここからこれまで以上に利上げに対する思惑が後退した印象を与えました。

しかし、本日の日経朝刊でブラード・セントルイス連銀総裁(投票権あり)とのインタビューで、年明け以降の原油価格反発を含め、明らかに世界の市場の動揺は後退していて、4月FOMCにおいて利上げは議題となるとの見解を示しています。またドットプロット自体が米国がゼロ金利下において採用されたものであって、現状の緩やかな利上げ環境下においては市場参加者にミスリードさせる恐れについても触れています。先週のタカ派発言が続いてことから利上げ回数が増えるとの見方(年内3回)も出てきていますが、あまりに利上げ思惑が後退するのを未然に防ぎたいといった意味合いも強いのではないかと考えらえます。

今週は明日29日のNY時間にイエレン議長の講演がありますが、セントルイス連銀総裁(中立)に比べるとイエレン議長はハト派寄りのスタンスにありますが、どのような発言をするのかまずはチェックしなくてはならないでしょう。これまでも市場参加者が思惑を振れさせる中で、FRBのスタンスはかなり一貫したものが見られましたので、2回か3回かは今後の米国の経済指標次第だと思いますが、少なくとも現状では2回以上の利上げが行われる可能性が高いという点を考えておけば十分です。

そして今週は早くも米国雇用統計が1日に発表されます。これまでも雇用統計前後にドルが高値を付ける傾向が強く、今回は期末要因が与える影響も含め、ここでドルが上がりきらなければ、長期的なドル安・円高傾向には変化が無いと言えますが、仮に雇用統計前後にドルが買われる動きになったとしても、115円台半ばを下抜けて以降の流れに変化を与えるほどの動きが出るとは思えません。引き続き中期的には111円前後のサポートと、114円前後のレジスタンスの中で、次の動き(ドル安・円高)が始まる前の踊り場にあると見ることが出来るでしょう。

新年度入りに向けて思惑的なドル買いも出るかもしれませんが、上がったところではまだドル売りが今出て来ると考え、112.00レベルをサポートに、114 .00 レベルをレジスタンスとする見通しとしておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。

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