ドル円見通し 2か月半ぶりに109円台に到達(4/25)

ドル指数は米長期金利上昇とユーロ安、ポンド安等を背景に前日まで5連騰して年初来高値を更新、1月以降の持合いを上放れしかけたが

ドル円見通し 2か月半ぶりに109円台に到達(4/25)

【概況】

3月23日に104.63円まで下落し、2016年12月天井118.65円以降の安値を付けたが、その後は上昇に転じた。シリア情勢も14日の空爆実施で一服、米中および日米の貿易不均衡問題の緊張感もやや緩み、北朝鮮有事リスクが大幅に後退する一方、ECBや英中銀の金融政策正常化プロセスが鈍化するとの見方からユーロ、ポンドが下落、日米首脳会談で新たな圧力がかからなかったととしてドル円も上昇に転じた。さらに米長期国債が大量の国債発行(入札)や原油高によるインフレ懸念から下落、10年債利回りが上昇する中で日米長期金利格差拡大からの上昇力も加わってきた。

先週末の20日に107.85円へ上昇して1週間前の13日高値107.77円を超えたが、週明けの23日も上昇基調を継続して戻り高値を切り上げ、108円を突破したことで上昇に弾みがついて23日深夜には108.50円を超えた。さらに24日の日中もジリ高が続いて108円台後半へ進み、24日の米経済指標が強かったこと、米10年債利回りが危険水準とされる3%を一時突破したことで深夜には109.20円を付けた。
米長期金利上昇を警戒してNYダウが一時500ドルを超える反落となり、その反動で米国債が買い戻されて米10年債利回りも3%台を維持せずに低下したため、25日未明には108.54円まで反落したが、108.50円割れには至らずにやや戻している。

【米長期金利上昇と株安不安、リスクオン・オフのジレンマ】

ドル指数は米長期金利上昇とユーロ安、ポンド安等を背景に前日まで5連騰して年初来高値を更新、1月以降の持合いを上放れしかけたが6日目は日足陰線となって下落した。ポンドとユーロはやや戻し気味となっている。
24日の米経済指標は良好だった。米商務省が発表した3月の新築住宅販売件数は前月比4.0%増の69万4000戸となり市場予想63万戸を超え、前年同月比では8.8%増となった。米コンファレンス・ボードの4月消費者景気信頼感指数は128.7となり前月の127.0から上昇、市場予想の126.0を上回った。

米10年債利回りは一時3.003%を付けて2014年1月以来の高水準となったが、NYダウ反落等から米国債買い戻しの動きとなって2.994%まで低下して終了した。
NYダウは一時500ドルを超える大幅下落となり、終値でも424.56ドル安で5日続落となった。ハイテク株中心のナスダック総合指数は同121.25ポイント安と大幅下落した。

米景気が力強く、景気拡大と賃金上昇を背景として米長期金利が上昇する分には経済成長優先と値上がり期待で米国株は上昇基調を維持し、米長期金利上昇とドル高株高も共存共栄できる。しかし米財政赤字拡大への懸念を背景として長期金利が上昇し、株高自身がややバブル的で一段高へ進む実力が希薄な場合は長期金利上昇が株にとっての抑圧要因となる。また株安不安が米長期国債への逃避買いを助長すれば米長期金利上昇も阻害され、金利面からのドル高にもブレーキがかかる。長期金利上昇といってもドル高円安要因として機能する場面もあるが、リスク回避的にドル安株安要因となってドル円が下落する場面もあるので、相関性は安定しない。

ドル円は11月天井からの下落が4か月以上続いて3月26日安値で下げ一服となり、中勢レベルのリバウンドに入った。しかし、現状はあくまでもリバウンドの範囲にあり、円安ドル高の本格化へ進んでいるという認識にはまだ至っていないと思う。
NYダウが18日から5日連続の日足陰線で崩れている。1月天井の後、2月末の戻り高値が切り下がって4月1日には2月序盤の安値をわずかに割り込んだ。そこから戻し気味に推移してきたわけだが、18日の戻り高値も切り下がった状況で下落し始めているため、1月末以降の大きな三角持合いから下放れする可能性も警戒すべきと思われる。ダウが一段安に入る場合は株安リスクでの円高再開のきっかけにもなりやすい。
当面は11月天井からの下落に対する3分の1戻し(108.25円)を超えてきたため半値戻しの109.675円まで上値目途が切り上がった状況にあると思われるが、日米通商摩擦、国内政局不安等を踏まえれば楽観的な株高円安が同調して継続してゆくことを期待するよりも、そろそろ戻り一巡による下落再開が近い可能性についても警戒すべき時かもしれない。

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

60分足の一目均衡表では4月18日の上昇で遅行スパンが好転、19日の上昇で先行スパンを上抜き、両スパン好転を維持してきた。24日深夜からの反落で遅行スパンは悪化しやすくなっている。25日未明への反落では26本基準線を割り込んだがその後は同線まで戻している。
25日未明安値108.54円割れ回避のうちは上昇継続性ありとし、109円台を再び回復する場合は上昇再開、一段高へ進む可能性が高まるとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、25日未明安値割れからは遅行スパンの悪化も伴うために反動安入りと仮定し、先行スパンから転落するか回避するかを試すと思われる。

60分足の相対力指数は23日夜への上昇で80ポイントを超えたが24日深夜への一段高場面では指数のピークが切り下がる弱気逆行型となって50ポイント割れへ崩れた。このため24日深夜高値を当面のピークとして安値を試しやすい状況と思われるので、60ポイント以上へ切り返せないうちは40ポイント割れへの一段安警戒とする。60ポイント超えからは短期的な反動安を消化しての上昇再開へ進む可能性ありとみる。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは4月17日安値でサイクルボトムを付けて上昇してきたが、13日夜高値から5日を超えて続伸したため24日午前時点では20日未明安値ないしは21日未明安値を直近のサイクルボトムとし、高値更新により新たな強気サイクルに入っているとした。24日夜への上昇と反落を踏まえ、まず、20日未明安値を直近のサイクルボトムとし、19日午前高値から3日半となる24日深夜高値でサイクルトップを付けたと仮定する。20日未明安値から3日を経過しているのですでに25日未明安値でボトムを付けた可能性があるので、109円超えからは上昇再開の可能性を優先、24日深夜高値超えからは新たな強気サイクル入りとして27日から5月1日への上昇を想定する。24日深夜高値を上抜けないうちは25日未明安値割れからサイクルボトム形成の下落継続として25日の日中から27日朝にかけての間への一段安を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.54円を支持線、109.00円を抵抗線とみておく。
(2)109円台を回復できないうちは108.54円割れからの一段安警戒とし、108.54円割れの場合は108.25円から108.00円にかけてのゾーンを試すとみる。また108.50円以下での推移中は26日にかけても安値を試しやすいとみる。
(3)109円台回復からは上昇再開の可能性を優先し、24日深夜高値超えからは11月天井からの下げに対する半値戻し109.675円を目指す上昇を想定するが、109.50円以上は反落警戒とみる。(了)<9:35執筆>

【当面の主な予定】

4/25(水)
シドニー、ウェリントン市場休場(アンザックデー)
ASEAN首脳会議 (28日まで)

13:30 (日) 2月 全産業活動指数 前月比 (1月 -1.8%、予想 0.5%)
20:00 (土) トルコ中銀、政策金利 (現行 8.00%、予想 現状維持)

4/26(木)
未 定 (日) 日銀・金融政策決定会合(1日目)
20:45 (欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 現状維持)
21:30 (欧) ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.2万件、予想 23.1万件)
21:30 (米) 3月 耐久財受注 前月比 (2月 3.0%、予想 1.2%)
21:30 (米) 3月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (2月 1.0%、予想 0.4%)


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