ドル円もみあいだが円高の可能性を残す(週報4月第4週)

先週は週初は下げ、その後水曜以降はドル買いへと転じましたが、連日狭いレンジでの取引が続き、週間レンジも98銭と1円に満たないままで引けました。

ドル円もみあいだが円高の可能性を残す(週報4月第4週)

今週の週間見通し

先週は週初は下げ、その後水曜以降はドル買いへと転じましたが、連日狭いレンジでの取引が続き、週間レンジも98銭と1円に満たないままで引けました。材料は中東情勢、北朝鮮問題、日米首脳会談とありましたが、地政学的リスクは既に消化済み、日米首脳会談は北朝鮮問題と不均衡是正が主要テーマとなったものの、不均衡是正に対する対日圧力は感じられず肩透かしで終わった印象です。

今週は、イベントとしては日銀会合があるものの、日銀の緩和スタンスに変化があるとは思えませんし、ゴールデンウィークを前に需給的にはドル買いが増えそうではありますが、それだけで方向性が出て来るとも思えません。また週末のクローズ後に北朝鮮がICBM実験停止と核実験施設の廃棄を表明しました。しかし、実験途上と考えられる北米向け長距離ミサイルに対する内容であり、核廃棄にまでは言及していません。

これは河野外相や小野寺防衛相も述べている通りで、依然として日本は北朝鮮のミサイル射程内にあり、米朝首脳会談に向けてのポーズという可能性もあります。すでに米朝首脳会談に向けてのリスクオフ巻き返しは織り込み済みであることを考えると、週明け未明のインターバンク市場でもドル円が金曜高値を超えられなかったことは、北朝鮮の口だけ戦略が転換していないと見る参加者が多かったためと言えそうです。

こうなってくるとドル円を動かす材料は何なのかということになりますが、正直なところファンダメンタルな要素では無さそうですし、イベント関連も余程これまでと違った流れが見えてこないと方向性が出るとは思えません。月末(今月は27日)とGWを控えて実需の動向が見られるかどうか、それでも方向感が出て来るとは思えません。

ただ実需に関しては注意が必要です。4月に入り新年度入りの動きから株式市場や外債の新規投資もある程度出たことで底堅い動きとなった可能性はありますが、いっぽうで社内レートが徐々に決まり105円あたりが中心になるだろとの見方が多く、一部では日米間の通商問題もあり100円を設定してくると言われています。そうなると需給的にはドル売りのほうが勝っていますから、現在の水準ではとりあえずドル売っておこうという動きが出て来る可能性も高いと言えます。

日柄的には今週前半はドルが買われやすく月末はドルが売られやすい時間帯となっています。週前半はドルが底堅い動きをするものの、月末に実需のドル売りが出て来ることで結局は反落すると考えるとシナリオに合いそうですが、チャートはどうでしょうか。日足チャートをご覧ください。

テクニカルな流れとしては先週20日のFX羅針盤コラムで、やや長めに2月後半からの反転上昇パターンの可能性と、3月下旬からの上昇ウェッジ下抜けによる継続下降パターンの可能性と異なった方向性を示すチャートパターンがあること、ドル円を取り囲む環境を考えると後者の上昇ウェッジ下抜けの可能性が高そうであることを示しました。

現状でも上昇ウェッジ下抜けの可能性が高いと考えていますが、先週の動きがすべてウェッジの中に入るようにサポートラインを引き直しました。ピンクの上昇ウェッジの中での動きとすると、このシナリオが崩れるのは2月後半からの反転上昇パターンのネックライン(紫)が107.90にあり週末終値で明確に抜けて来る動きを見せた時と言えます。明確というのは週末終値が108円に乗せて来るというイメージです。

現在はかなり108円に近い水準ですが、週を通して108円に乗せることがあってもはっきりしない相場が続き結局はウェッジを下抜ける可能性が7、週末終値で108円台に乗せ反転上昇となる可能性が3と見たいと思います。今週も基本もみあいで大きくは動きは出ないものの、引き続き下方向への可能性を考え106.75レベルをサポートに108.25レベルをレジスタンスとします。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

4月23日(月)
16:00 フランス4月サービス業・製造業PMI速報値
16:30 ドイツ4月サービス業・製造業PMI速報値
17:00 ユーロ圏4月サービス業・製造業PMI速報値
21:30 米国3月シカゴ連銀全米活動指数
22:45 米国4月MarkItサービス業・製造業PMI速報値
23:00 米国3月中古住宅販売件数
23:00 クーレECB理事講演
28:30 カナダ中銀総裁議会証言

4月24日(火)
10:30 豪州1〜3月期CPI
15:45 フランス4月業況感指数
17:00 ドイツ4月ifo景況感指数
18:30 フランス中銀総裁講演
19:00 英国4月CBI製造業受注指数
22:00 米国2月住宅価格指数
22:00 米国2月ケースシラー住宅価格指数
23:00 米国4月消費者信頼感指数
23:00 米国4月リッチモンド連銀製造業指数
23:00 米国3月新築住宅販売件数

4月25日(水)
**:** 豪州、NZ市場休場
**:** ASEAN首脳会議(〜28日)
15:45 フランス4月消費者信頼感指数
16:00 フランス中銀総裁講演
16:00 オランダ中銀総裁講演
20:00 トルコ中銀政策金利発表
23:30 米国週間原油在庫

4月26日(木)
**:** 日銀金融政策決定会合(〜27日)
10:30 豪州1〜3月期輸出入物価指数
15:00 ドイツ5月GFK消費者信頼感
18:30 南ア3月PPI
20:45 ECB理事会
21:30 ドラギECB総裁会見
21:30 米国3月耐久財受注
21:30 米国新規失業保険申請件数

4月27日(金)
**:** 南ア市場休場
**:** 南北首脳会談
07:45 NZ3月貿易収支
08:30 本邦4月東京区部CPI
08:30 本邦3月失業率・有効求人倍率
10:30 豪州1〜3月期PPI
**:** 日銀会合結果公表
14:30 フランス1〜3月期GDP速報値
15:30 黒田日銀総裁会見
16:00 スペイン1〜3月期GDP速報値
16:55 ドイツ4月失業者数
17:00 スイス中銀総裁講演
17:30 英国1〜3月期GDP速報値
18:00 ユーロ圏4月消費者信頼感確報値
21:30 米国1〜3月期GDP速報値
21:30 米国1〜3月期雇用コスト指数
23:00 米国4月ミシガン大消費者信頼感確報値
**:** 米独首脳会談

前週の主要レート(週間レンジ)

      始値   高値   安値  終値

ドル円  107.52 107.86 106.88 107.64
ユーロ円 132.59 133.09 132.05 132.28
ユーロドル 1.2332 1.2414 1.2250 1.2290
日経平均 21843.55 22360.65 21772.42 22162.24

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

4月16日(月)
 週明けの東京市場では週末の米英仏によるシリア攻撃が材料視されなかったことで、早朝に売りで入った日計り組のストップも加わり107.61レベルの高値をつけました。しかし、シリア情勢が今後どうなるのか米露の対立など不透明な要素が多いことから、仲値過ぎからはリスクオフの売りとなりました。東京後場には107.13レベルまで水準を下げ、欧州市場ではユーロ円買いに引っ張られて買い戻しも見られましたが、NY市場ではユーロドル買い・ドル売りに押され107円近くまで押しての引けとなりました。

4月17日(火)
 ドル円は17・18日の両日に渡って開催される日米首脳会談を前に全く動意無しの一日となりました。一日のレンジもわずか33銭とイベント前の様子見が続いたままで引けました。

4月18日(水)
 東京市場では日米首脳会談1日目の内容が気になるような内容では無かったこと、また米朝関連で進展が見られるニュースが出たことも重なって、リスクオンの株高、円安の動きとなりました。朝方の107円近辺から後場には107.39レベルまで水準を上げたものの、相変わらず狭い値幅と方向感のはっきりしない流れは続き、海外市場では107円台前半でもみあいのまま引けました。

4月19日(木)
ドル円は連日30銭程度のレンジとなっていて完全に蚊帳の外状態となりました。日米首脳会談も終わり、リスクとしてはテーマとして上がった不均衡是正問題ですが、今後の材料とされていて影響も見られませんでした。週末のG20も為替がテーマでは無いため市場参加者はドル円を動かす材料とは見ずに引けました。

4月20日(金)
ドル円は東京市場では実需のドル買いも出て水準を切り上げる動きとなりました。後場にはいったん押しも入ったものの、下がったところでは根強いドル買いも出て来る展開。欧州市場に入るとユーロの下げに引っ張られてのドル買いとなり、NY市場では米金利上昇も支えとなってドル円は107.86レベルまで上昇後、引けにかけては若干押してのクローズとなりました。

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