ドル円 テーマはシリア空爆から貿易戦争へ(4/17)

4月16日の米経済指標はまちまち。ニューヨーク連銀行の4月製造業景況指数は15.8となり、3月の22.5から低下、市場予想の18.8を下回った。これはドル安要因だった。

ドル円 テーマはシリア空爆から貿易戦争へ(4/17)

【概況・ポイント】

3月26日に104円台へ下落したところから切り返し、4月13日夜には107.77円まで上昇して4月5日高値107.49円も上抜いた。この段階では4月5日以降の107円を中心とした持ち合いからの上放れとしてさらに円安ドル高が進む可能性があったが、週明けは失速、17日午前には107円を割り込むところまで下落している。
4月14日午前、週末取引が終了した後に米国は英仏と共同でシリアの化学兵器施設等を空爆した。昨年の米軍単独による巡航ミサイル等59発の空爆に対して今回は3カ国共同により合計105発が撃ち込まれたが、事前に攻撃予告をしていたためにシリアのアサド政府軍は要衝から撤退し、駐留するロシア軍等にも大きな被害はなかった模様。シリア市民への犠牲についても報道されていない。攻撃後にトランプ大統領は「これ以上の結果はない。作戦完遂!」とツイートし、米国防総省等も限定的な攻撃を終了したとした。今後もシリアが化学兵器を使用すれば同様の制裁攻撃をするとしているが、ひとまず昨年同様、1回の制裁空爆で状況は終了したと思われ、ロシアへの被害等による軍事的緊張の激化等は見られない。

ひとまず状況終了によりリスクオン心理が拡大する可能性もあったのだが週明けのドル円は下落した。シリア云々ではなく主要テーマは貿易戦争問題、特に米中貿易摩擦、今週予定されている日米首脳による対日圧力等へ関心が移っていることを示していると思われる。

4月16日の米経済指標はまちまち。ニューヨーク連銀行の4月製造業景況指数は15.8となり、3月の22.5から低下、市場予想の18.8を下回った。これはドル安要因だった。
米商務省が発表した3月の小売売上高は前月比0.6%増、市場予想の0.4%を上回ったが、自動車関連を除くと0.2%増で市場予想通り、材料的には中立だった。
ニューヨーク連銀のダドリー総裁はCNBCテレビのインタビューで2018年の利上げ回数について「3回か4回というのは合理的な想定」「(株式市場について)ボラティリティーは通常のレベルに戻っているだけ」「経済の見通しを変えるほどではない。金融環境は依然として緩和的だ」等と述べた。これは米連銀の利上げペース加速の可能性を意識させるものだったが、年明け以降の米連銀当局者らの発言内容に沿うもので、特にサプライズではない。

【通商摩擦によるドル安】

4月16日夜、トランプ米大統領は「米国が利上げを続ける中でロシアと中国は通貨切り下げゲームをしている、受け入れられない」と通貨安誘導を批判するツイートをおこなった。
これに先立ち4月13日の米財務省による為替報告書では中国、日本など6カ国を「監視国」に指定。制裁措置の適用検討となる「為替操作国」の認定はなかったものの16日の大統領ツイートとともに米国による対米貿易黒字国への通貨上昇圧力を意識させるものとなり、16日夜にはユーロ、ポンド、円が上昇した。
4月16日の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル電子版は米政府が中国による米IT企業への規制を問題視し、新たな制裁措置を検討していると報じた。同紙によると中国はマイクロソフトやインターネット通販最大手アマゾン・ドット・コムなどがクラウドサービスを展開する場合、地元企業と合弁企業を設立し、技術供与するよう義務付けている一方、米国は中国の電子商取引最大手アリババ集団などにこうした制約を設けていないため、これらの状況を打開する動きに出ようとしているようだ。

米中は既に鉄鋼・アルミの関税導入から対立を深め、それぞれが多分野への大規模報復関税を導入する姿勢を強めているが、まだ実施時期等は決まっておらず、先の習近平主席のフォーラム演説とトランプ大統領のツイート等から米中双方の協議による妥協が図られるのではないかとの楽観論もある。しかしトランプ政権はぎりぎりのところまで対立を煽った上で妥協するというタカ飛車な外交姿勢を貫いているため、今後も米中対立の激化が懸念される。

また日米首脳会談が17、18両日に行われる。度重なるスキャンダルで支持率が急低下している安倍政権が米国との同盟関係を強調するために米国による対日通商圧力を?むようなら円高要因となりかねない点に注意が要るだろう。
当面、中国側からの反発、日米首脳会談の動向を注視しつつ、円高に進みやすい状況と思われる。

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

4月16日の下落により、4月17日午前時点では107円を割り込むところまで下げており、3月26日安値と4月11日深夜安値を結ぶ支持線を割り込み始めている。4月13日深夜への上昇により3月安値からの戻り幅は3円を超え、26日移動平均や一目均衡表の26日基準線等を上抜き、昨年11月高値以降の下落途中におけるリバウンドの範囲を超えてきた。このため、安値切り上げ型の上昇波動を継続すれば108円を目指す可能性も出てきているのだが、高値切り上げ後の安値も切り上げる強気パターンを維持するためには、10日安値106.61円を割り込むことなく切り返す必要がある。

60分足の一目均衡表では、16日の下落で遅行スパンが悪化、深夜の下落で先行スパンから転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、強気転換は両スパンが揃って好転するところからと考える。

60分足の相対力指数は40ポイント割れまで低下した。4月5日深夜高値を13日深夜高値で上抜いたが、その間の指数はピークが切り下がる弱気逆行型となっているため、50ポイント台回復へ進めない内は一段安警戒とみる。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは4月5日深夜高値と10日深夜高値をダブルトップとして下落したが、12日夜への上昇で高値ラインを超えたために強気サイクル入りとして13日夜から17日にかけての間への上昇を想定した。16日深夜の下落で先行スパンから転落したことを踏まえ、13日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りと考える。今回の安値形成期は16日深夜から18日深夜にかけての間と想定されるので、早ければ17日に反騰入りとなる可能性もあるが、107.40円超えへ進めない内は一段安注意とし、107円割れから続落の場合は17日夜から18日午前にかけては安値を試しやすい時間帯と考える。107.40円超えからは強気転換注意とし、13日夜高値超えからは新たな強気サイクル入りとして次のトップ形成期となる18日夜から20日深夜にかけての間への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.25円を抵抗、106.95円を支持線とみておく。
(2)107.25円を下回る内は106.95円割れからの下落継続とし、10日安値106.61円試しを想定する。さらに割り込む場合は106.30円前後で下値目処を引き下げる。107円以下での推移中は18日午前も安値を試しやすいとみる。また10日安値を割り込む場合は短期的な戻りを入れつつも3月26日以降のリバウンドが一巡して下落期に入る可能性も警戒される。
(3)107.25円超えからは107.40円試しとし、超える場合は強気転換注意として13日夜高値107.77円試しを想定する。その手前となる107.50円以上では反落警戒とするが、高値更新の場合は新たな強気サイクル入りとして108円を目指す上昇局面入りと考える。(了)<9:55執筆>

【当面の主な予定】

4/17(火)
安倍首相訪米(20日迄)
10:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)、金融政策会合議事要旨公表
11:00 (中) 1-3月期 四半期GDP 前年比 (前期 6.8%、予想 6.8%)
11:00 (中) 3月 小売売上高 前年比 (2月 9.4%、予想 9.7%)
11:00 (中) 3月 鉱工業生産 前年比 (2月 6.2%、予想 6.4%)
17:30 (英) 3月 失業率 (2月 2.4%)
17:30 (英) 2月 失業率 ILO方式 (2月 4.3%、予想 4.3%)
18:00 (独) 4月 ZEW期待指数 (3月 5.1、予想 -1.0)
21:30 (米) 3月 住宅着工件数 (2月 123.6万件、予想 126.8万件)
21:30 (米) 3月 建設許可件数 (2月 129.8万件 、予想 133.0万件)
22:15 (米) 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 1.1%、予想 0.4%)
22:15 (米) 3月 設備稼働率 (2月 78.1%、予想 77.9%)
22:15 (米) ウイリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁、講演
23:00 (米) クオールFRB副議長、講演
24:00 (米) ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
26:10 (米) エバンス米シカゴ連銀総裁、討論参加

4/18(水)
06:40 (米) ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
08:50 (日) 3月 貿易収支 通関ベース (2月 34億円、予想 4992憶円)
17:30 (英) 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 0.4%、予想 0.3%)
17:30 (英) 3月 消費者物価指数 前年比 (2月 2.7%、予想 2.7%)
17:30 (英) 3月 生産者物価コア指数 前年比 (2月 2.4%、予想 2.2%)
18:00 (欧) 2月 建設支出 前月比 (1月 -2.2%、)
18:00 (欧) 2月 建設支出 前年比 (1月 3.7% )
18:00 (欧) 3月 消費者物価指数 HICP、改定値 前年比 (速報 1.4%、予想 1.4%)
23:00 (加) カナダ銀行(BOC) 政策金利 (現行 1.25%、予想 据え置き)
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
28:00 (米) ダドリー米NY連銀総裁、講演

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