ドル円見通し 3月26日からの戻りは3円超(4月第3週)

週末の取引時間終了後、トランプ大統領は米東部時間13日午後9時(日本時間14日午前10時)、テレビ演説でシリア攻撃が始まったと宣言した。

ドル円見通し 3月26日からの戻りは3円超(4月第3週)

【概況】

3月23日と26日に104円台まで下落したが、その後は戻り歩調で推移してきている。3月28日高値107.00円まで2.37円幅で上げた後は4月3日未明に105.656円まで下げたが、4月5日深夜高値で107.49円まで上昇し、戻り幅は2.84円幅で二段上げとなった。この時点では昨年11月天井以降の下落途中における小反発レベルに止まっていたが、4月10日午前安値106.61円を11日深夜安値106.65円では割り込まずに切り返して13日夜には107.77円まで上昇した。ここまでの上昇幅は3.14円幅であり、昨年11月天井以降の下落途中における小反発では超えられなかった戻り幅3円の壁を超えた。また3月26日安値からの上昇も三段上げ型へと発展しつつあるところで週を終えた。

4月5日深夜高値からの下落は米雇用統計が予想より悪かったことが契機だが、シリア情勢不安等が大きな要因になっていた。トランプ大統領がシリア攻撃について48時間以内に重大な決断をするとした時にはこのリスク感が最大となったが、その48時間を経過しても新たな動きが見られず、大統領が「とても近いかもしれないし、まったく近くないかもしれない」とツイッターに投稿したことでシリアへの軍事攻撃が曖昧になったとして12日夜からはドル円が上昇し始め、13日夜には107.77円まで上昇して5日深夜高値を超えた。しかし土日には不測の事態も起こりかねないとして107円台序盤まで下げて週を終えた。

【米英仏がシリアを空爆、限定的】

週末の取引時間終了後、トランプ大統領は米東部時間13日午後9時(日本時間14日午前10時)、テレビ演説でシリア攻撃が始まったと宣言した。米軍は英仏との共同作戦でミサイル攻撃を105発(米85発、英仏20発)実施した。米軍は原潜等から巡航ミサイル「トマホーク」を発射、B1戦略爆撃機からも空中発射ミサイルで攻撃した。英仏の戦闘機や艦船もミサイル攻撃に加わった。
米国防総省は14日の会見で「全てのミサイルが目標に到達した」とし、ロシア軍に損害が出ないよう攻撃対象は慎重に選ばれたとした。またトランプ大統領は「これ以上の結果はない。作戦完遂!」とツイートした。今後もシリアが化学兵器を使用すれば攻撃するとしているが、現時点では今回の攻撃で作戦終了となったようだ。

ロシア、イラン等の反発が強まることも想定されるため、今後の展開次第では中東情勢がさらに緊張を激化させる可能性もあるが、新たな化学兵器の使用等やアサド政権による非人道的な軍事行動がなければ、当面はさらに軍事緊張が高まる可能性は低いかもしれない。既に米国の攻撃前段階でアサド政権は首都ダマスカスからの反政府軍排除に成功したとしており、戦闘鎮静化の可能性もある。駐留していたロシア側への事前通告もあってロシアの被害も今のところは報告されていないため、米ロの非難合戦は続くとしても米ロ軍事緊張化の可能性はまだ不明だ。

今回の軍事攻撃が取引終了後の事件であり、また限定的で作戦終了とされたことにより、今後は緊張感を意識してリスクオフ型の展開になるのか、攻撃終了=材料終了として当面の材料出尽くしとしてリスクオン型へ進むのかは週明け序盤の展開で市場自身が方向付けを模索して方向性を決めてゆくと思われる。

【三段下げの二段目終了によるリバウンド】

【三段下げの二段目終了によるリバウンド】

概ね10か月から1年周期のサイクルでは、昨年6月底を前回のサイクルボトム、11月を同サイクルトップとして今年6月前後にかけての下落基調の範囲にあると思われるので、3月26日安値からの反騰もあくまでも中間的なリバウンドの範囲に止まると思われる。
3月26日以降の戻り幅は3円を超えたが、11月戻り天井からの下落途中の戻りとしては12月12日への2.90円幅、2月2日への2.19円幅、2月21日への2.35円幅、3月13日への2.04円幅を超えてきた。またそれらが突破できなかった26日移動平均、一目均衡表の26日基準線を超え、小勢では3月29日へ一段目、4月5日深夜へ二段目、そして4月5日深夜高値を超えて三段目の上昇に入っており、これまでの小反発レベルを超えてきていることがわかる。これらを踏まえると、昨年11月天井を起点とした下落波動を三段下げとすれば、11月27日安値までが一段目の下げ、3月26日までを二段目の下げとし、現状は二段目の下げ終了による戻り局面という見方ができると思われる。

以上を踏まえて中勢のポイントを示す。
(1) 昨年11月天井からのの下落に対する3分の1戻しが108.26円、半値戻しが109.67円である。現状はまず、3分の1戻しを目指している道中と思われるが、仮に材料的な後押しが続けば半値戻しに迫る可能性も検討される。
(2)概ね10か月から1年周期のサイクルにおいて、中勢は周期的な循環で推移しているが、その半分の周期の5か月から6か月周期のサイクルにおいて3月26日安値で底を付けた可能性がある。このサイクルにおける戻り高値形成期は11月天井から5か月目の現状から6か月目の5月初旬にかけての間と想定されるため、現状を含めてすでにサイクルトップを付けて下落に転じても不思議ない時間帯にあるが、4月後半にかけてはまだ戻り高値を更新してゆく可能性が残る。

(3)現在の戻りが一巡して三段下げの三段目に入る目安は26日移動平均(現在106.39円)、26日基準線(106.20円)割れから切り返せずに続落するところからと考えられるため、それらを上回る4月10日安値106.61円を割り込まないうちは上昇を継続する余地ありとみるが、4月10日安値割れからは中勢レベルの弱気転換注意とし、26日移動平均や26日基準線割れとなる106円割れからは三段目の下落入りとして今回の戻り幅の倍返しとなる下落として100円の大台、及び2016年6月24日安値99.54円試しとみる。
(4) 円安ドル高が継続するには金融市場全般の楽観的リスクオン心理の回復、地政学的リスクの後退、米景気拡大によるドル高観の強まりが必要だが、シリア情勢が落ち着いても米中貿易戦争問題、あるいは米国からの対日貿易赤字縮小要求による円高化、安倍政権の崩壊リスク等の円高要因は継続的であると思われる。市場がその時にどちらをテーマとして動くのかということによるが、この継続的な円高要因はかなり重いと考えておくべきだろうと思う。(了)<15日22:20執筆>

【当面の主な予定】

4/16(月)
17:10 (日) IMF・金融庁・日銀共催コンファレンス 雨宮日銀副総裁、閉会挨拶
21:30 (米) 4月 ニューヨーク連銀製造業景気指数 (3月 22.5、予想 18.6)
21:30 (米) 3月 小売売上高 前月比 (2月 -0.1%、予想 0.4%)
21:30 (米) 3月 小売売上高除自動車 前月比 (2月 0.2%、予想 0.2%)
23:00 (米) 2月 企業在庫 前月比 (1月 0.6%、予想 0.6%)
23:00 (米) 4月 NAHB住宅市場指数 (3月 70、予想 70)
26:15 (米) ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演

4/17(火)
安倍首相訪米(20日迄)
10:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)、金融政策会合議事要旨公表
11:00 (中) 1-3月期 四半期GDP 前年比 (前期 6.8%、予想 6.8%)
11:00 (中) 3月 小売売上高 前年比 (2月 9.4%、予想 9.7%)
11:00 (中) 3月 鉱工業生産 前年比 (2月 6.2%、予想 6.4%)
17:30 (英) 3月 失業率 (2月 2.4%)
17:30 (英) 2月 失業率 ILO方式 (2月 4.3%、予想 4.3%)
18:00 (独) 4月 ZEW期待指数 (3月 5.1、予想 -1.0)
21:30 (米) 3月 住宅着工件数 (2月 123.6万件、予想 126.8万件)
21:30 (米) 3月 建設許可件数 (2月 129.8万件 、予想 133.0万件)
22:15 (米) 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 1.1%、予想 0.4%)
22:15 (米) 3月 設備稼働率 (2月 78.1%、予想 77.9%)
22:15 (米) ウイリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁、講演
23:00 (米) クオールFRB副議長、講演
24:00 (米) ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
26:10 (米) エバンス米シカゴ連銀総裁、討論参加

4/18(水)
06:40 (米) ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
08:50 (日) 3月 貿易収支 通関ベース (2月 34億円、予想 4992憶円)
17:30 (英) 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 0.4%、予想 0.3%)
17:30 (英) 3月 消費者物価指数 前年比 (2月 2.7%、予想 2.7%)
17:30 (英) 3月 生産者物価コア指数 前年比 (2月 2.4%、予想 2.2%)
18:00 (欧) 2月 建設支出 前月比 (1月 -2.2%、)
18:00 (欧) 2月 建設支出 前年比 (1月 3.7% )
18:00 (欧) 3月 消費者物価指数 HICP、改定値 前年比 (速報 1.4%、予想 1.4%)
23:00 (加) カナダ銀行(BOC) 政策金利 (現行 1.25%、予想 据え置き)
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
28:00 (米) ダドリー米NY連銀総裁、講演

4/19(木)
05:15 (米) クオールズFRB副議長、講演
07:45 (NZ) 1-3月期 四半期消費者物価 前期比 (前期 0.1%、予想 0.5%)
10:30 (豪) 3月 新規雇用者数 (2月 1.75万人、予想 2.0万人)
10:30 (豪) 3月 失業率 (2月 5.6%、予想 5.5%)
17:00 (欧) 2月 経常収支 (1月 376億ユーロ )
17:30 (英) 3月 小売売上高指数 前月比 (2月 0.8%、予想 -0.6%)
21:00 (米) ブレイナードFRB理事、講演
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.3万件、予想 23.0万件)
21:30 (米) 4月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (3月 22.3、予想 21.0)
22:30 (米) クオールズFRB副議長、講演
23:00 (米) 3月 景気先行指数 前月比 (2月 0.6%、予想 0.3%)

4/20(金) 
 G20財務相・中央銀行総裁会議(於;ワシントン)
07:45 (米) メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
08:30 (日) 3月 全国消費者物価コア指数 前年比 (2月 1.0%、予想 0.9%)
13:30 (日) 2月 第三次産業活動指数 前月比 (1月 -0.6%、予想 0.0%)
15:00 (独) 3月 生産者物価指数 前月比 (2月 -0.1%、予想 0.2%)
22:40 (米) エバンス米シカゴ連銀総裁、講演
23:00 (欧) 4月 消費者信頼感 速報 (3月 0.1、予想 -0.1%)

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