ドル円トランプ大統領発言でシリア情勢不安緩む(4/13)

4月6日夜の米雇用統計が予想より悪かったことで下落、さらに米中貿易戦争リスクとシリア情勢を懸念して10日午前へ下落した。

ドル円トランプ大統領発言でシリア情勢不安緩む(4/13)

【概況】

4月5日深夜高値107.49円から10日午前安値106.61円へ下落、10日深夜に107.39円まで戻したが5日深夜高値を上抜けずに失速して10日午前安値へ迫ったため、5日深夜高値と10日深夜高値をダブルトップとして10日午前割れからの下落期入りとなる可能性が高まっていたが、11日深夜の下落では底割れを回避、12日はシリア情勢不安が後退したとしてドルが反発、米国株も上昇したためにドル円は107.42円へ上昇、10日深夜高値をわずかに上抜いたが、5日深夜高値にはわずかに届かなかった。

【107円を中心とした高値圏持ち合い、上放れるか?】

4月6日夜の米雇用統計が予想より悪かったことで下落、さらに米中貿易戦争リスクとシリア情勢を懸念して10日午前へ下落した。10日昼前のボアオ・アジアフォーラムでの習主席発言から米中貿易戦争全面化への懸念が後退して上昇した。しかし楽観的な流れは続かずに再びシリア情勢懸念を優先して11日深夜へ下落。12日は不安が緩んだとしてまた上昇した。日々、米中問題、シリア問題で一喜一憂しつつ楽観と悲観が繰り返されているのだが、決め手に欠いた状況のために4月5日以降は107円を中心に前後凡そ0.50円幅での往来相場となっている。しかし、一段高状態でのボックス型持ち合いは上昇トレンドの時間的調整に止まり、持ち合い上放れにより直前のトレンドを再開するケースが多い。このため、持ち合い中心値の107円を上回る内は4月5日高値107.49円超え、さらに107.50円以上での推移が続き始める場合は持ち合い上放れによる一段高開始として108円試し、あるいは持ち合いレンジをもう一つ分加算した108.50円前後まで上値を試しにかかる可能性が高まる。

ただし「持ち合いは持合い放れにつけ」が鉄則のため、上放れに失敗か、わずかに高値を更新しても反落して107円割れとなる場合は持ち合い上放れ失敗による安値試しへ向かう可能性が再燃し、持ち合い下限の106.60円台試し、さらに今週の安値を割り込む場合は持ち合いレンジをもう一つ分減算した105円台中盤まで下値目処が切り下がる可能性が出てくると注意する。

【シリア情勢】

シリア情勢については、1年前にも同様の問題があった。
2017年4月4日、シリア北西部イドリブ県ハーン・シェイフンの反政府勢力地域がサリンガス攻撃に遭い80人以上が死亡。国連と化学兵器禁止機関(OPCW)の合同調査によりシリア政府軍による化学兵器攻撃と断定され、米国は2017年4月6日に巡航ミサイルトマホーク59発でアサド政権の空軍基地等を攻撃した。攻撃はこれ一回で、当時は北朝鮮情勢も緊張化していたため北朝鮮への牽制の意味合いも大きかったとされる。
2017年4月7日、ドル円はさほど大きな反応を示さなかったが、111円から110円台序盤まで1円弱の円高となり、週明け10日にいったん戻したもののその後は4月17日安値108.11円までの長期下落へ進んだ。

2018年4月7日、シリアの首都ダマスカス近郊・東グータ地区ドゥーマでアサド政府軍による攻撃で70人超の死者が出て化学兵器使用疑惑が持ち上がった。4月9日に米トランプ大領領は48時間以内に重大な決断を下すと述べたが、11日午前(日本時間12日未明)でその48時間は過ぎた。
4月10日(日本時間11日午前)、国連安保理はシリアへの調査団派遣決議をロシアの拒否権で否決。トランプ大統領は南米歴訪予定をキャンセルし、この問題に対する対応と軍事行動への決断へ向かう可能性が高まった。また英仏が米国と共同歩調をとる準備をしはじめた。
4月12日夜、 トランプ大統領はシリア攻撃について「いつ実行するかは言っていない。間近の可能性も、そうでない可能性もある」とツイート。これで早急な軍事行動のリスクは低下したとしてドル円は上昇し、NYダウも楽観から大幅上昇したが、大統領はその後、シリアに対する制裁について「かなり近いうちに決断する」と述べた。

1年前と状況は酷似しているが、違う点は国連等による調査団が化学兵器使用を断定するに至らず、米国に軍事行動をとらせるお墨付きを与えていないことだ。ただ現地情報や米英の独自情報からは化学兵器使用が断定されているのでそれをもって軍事行動をとる可能性はある。
インタファクス通信によると、ロシア国防省は12日、化学兵器が使用されたとされるシリアの首都ダマスカス近郊の東グータ地区ドゥーマをアサド政権軍が掌握したと発表した。その後にシリア国営メディアはアサド政権軍が首都近郊の東グータ地区を「解放した」と報じた。これらは既に同地区の戦闘が終息しているため、米国等が軍事攻撃を行ってもアサド政権側には打撃にならないという牽制の意味があると思われる。既にアサド政権軍は首都から非難しており、米国の軍事攻撃をかわす態勢をとっている。このあたりがトランプ大統領に空爆等を思いとどまらせているのかもしれない。

仮に軍事行動をとる場合、昨年同期の空爆規模と同程度か、それを下回る場合は一時的な反応はあっても材料一巡として流れが継続しない可能性がある。また軍事オプションを選択しない場合はこの問題が一旦市場テーマから大きく後退することになると思われる。しかし、トランプ大統領の行動は市場も読みきれないので、週末、週明けにかけて何が起こっても不思議はない。

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

4月12日夜の上昇で10日深夜高値を上抜いた。このため4月5日深夜高値と10日深夜高値を結ぶ抵抗線は上抜いた。11日夜安値で10日午前安値を割り込まなかったので、現状は107円を中心としたボックス型持ち合いと言える。
4月5日高値を上抜いて続伸の場合、持ち合い上放れとして10日午前への下げ幅の倍返しなら上値計算値は108.35円。4月3日未明安値から5日深夜高値への1.82円幅となった上昇時と同レベルの上昇とすれば上値計算値は108.43円。3月29日未明高値から4月3日未明安値への下げ幅の倍返しなら上値計算値は108.36円。これらは108円台前半で揃っているため、持ち合い上放れなら108円台前半を目指す可能性が考えられる。
ただし、持ち合い上放れに失敗して10日午前安値を割り込む場合は105円台後半への下落へ進む可能性が考えられる。

60分足の一目均衡表では、12日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜いた。このため、遅行スパン好転中は高値試し優先とし、弱気転換は両スパンが揃って悪化するところからと考える。

60分足の相対力指数は11日夜の下落で30ポイント台序盤に下げたが、その後の反発を継続して12日夜には70ポイント台へ乗せた。13日午前は60ポイント前後に位置している。12日夜高値を上抜いても指数が高値を切り上げられない場合は弱気逆行型となるが、指数も高値更新なら上昇がさらに継続する可能性がある。持ち合い上放れへ進む場合は80ポイント前後への上昇も想定されるが、そこは反落警戒圏と思われる。持ち合いを上放れしきれずに50ポイント割れとなる場合は下げ再開を疑う。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは4月5日深夜高値を前回のサイクルトップとし、10日午前安値を同サイクルボトムとして上昇していたが、12日午前時点では5日深夜高値から3日目となる10日深夜高値でダブルトップを形成して下落期に入ったと想定した。しかし10日午前安値割れを回避して戻り高値を切り上げてきているため、高値更新による新たな強気サイクル入りの可能性が考えられる。107円台を維持する内は13日夜から17日にかけての間への高値試し優先と考える。ただし13日の日中に107円割れへ崩れる場合は直前高値をサイクルトップとした弱気サイクル入り注意とし、106.85円割れからは弱気サイクル入りとして10日午前安値を基準に次の安値形成期となる13日夜から17日午前にかけての間への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.00円、次いで106.85円を支持線、4月5日高値107.49円を抵抗線とみておく。
(2)107円を上回る内は5日高値を上抜いて一段高へ進む可能性ありとし、その場合は107.75円から108円を目指す上昇を想定する。また高値更新後に107.40円以上を維持する内は上昇継続の可能性ありとする。ただし、5日高値を上抜けないか、一時的に上抜いても107円割れへ崩れる場合は弱気転換注意とする。
(3)106.85円割れからは下げ再開として10日午前安値106.61円試しへ向かうとみる。また106.85円以下の推移が続く内は一段安警戒を優先し、10日午前安値割れからは106円試しへ向かうと考える。(了)<9:55執筆>

【当面の主な予定】

4/13(金)
未 定 (中) 3月 貿易収支 米ドル (2月 337.4億ドル、予想 278.7億ドル)
未 定 (中) 3月 貿易収支 人民元 (2月 2248.8億元、予想 1029.0億元)
06:00 (米) カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
18:00 (欧) 2月 貿易収支 (1月 33億ユーロ
20:30 (米) ローゼングレン米ボストン連銀総裁、講演
22:00 (米) ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
23:00 (米) 4月 ミシガン大学消費者態度指数 速報 (3月 101.4、予想 101.0)

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