ドル円上値は重いがもみあいの週(週報3月第二週)

先週のドル円は、前週金曜に目先の底を打ちその後は株価に沿ってのリスクオン・リスクオフの値動きを続けました。

ドル円上値は重いがもみあいの週(週報3月第二週)

今週の週間見通し

先週のドル円は、前週金曜に目先の底を打ちその後は株価に沿ってのリスクオン・リスクオフの値動きを続けました。特に週末の北朝鮮からの米朝首脳会談提案に対し、米国側も早期に対応する姿勢を見せたことや、その間の北朝鮮による軍事行動が行われないことを好感する流れとなりました。雇用統計も予想より強く3月のFOMC利上げがほぼ確定という流れの中、今週は国内問題が円の懸念材料となっています。

すでに繰り返しニュースで流れていますが、森友問題に絡んで財務省が問題発生後に書類の書き換えを行っていたことがわかり麻生財務相の責任問題にまで発展する可能性が出てきました。すでに当時の責任者である佐川国税庁長官は辞任、また直接の担当者であった近畿財務局職員も自殺と一気に政治問題へと発展してきています。

今週はドル円に関して目立った経済指標が無い中、米国からの関税問題と国内の政治問題とが双方ともリスクオフに繋がる可能性が高い週となりそうです。関税問題については、先週のコラムでも簡単に触れましたが、対象は中国ということで中国からの迂回輸出国となっている韓国やベトナムなどを中心に追加関税が課されるというのが現段階の内容です。

しかし、米国への最大の輸出国であるカナダやメキシコはNAFTAの見直しと取引材料として当面は追加関税を課さない方針ですし、韓国も北朝鮮との橋渡しをする国として除外するような動きも出てくるかもしれません。また例外国は無いと述べる一方で、米国では生産できない技術を伴った製品は除外するという発言もしていますので、日本に対しても何らかの取引材料(不均衡是正など)としてのカードに過ぎないというのが正直なところです。

つまり、追加関税という話は米国としてさまざまな交渉手段のカードに過ぎず、今後そうした交渉が米国にとって有利に進めば、特に問題無く過ぎ去るという印象です。鉄鋼については最終決定期限が4月11日となっていますので、それまでにどうなるか日本にとっては不均衡是正の動きが出て来るかどうか、期末を控えていずれにしても円買い材料となりやすいことは確かでしょう。

期末というとレパトリで日本企業の海外収益による円転というイメージがありますが、同じく3月最終週あたりを期限とする105円のバリアオプションも相当規模であるという話です。これまでも105円台前半で買いが出ては折り返すという動きを見ていると、いかにも防戦買いが出ていそうですが、そうした防戦買いの売り直しがドル上昇局面では上値を抑えることとなります。

最終的にはこうしたバリアオプションは磁石のように吸い寄せられてブレークすることが多いのですが、今週のところはまだ早すぎる感じで105円台前半の買いと107円台前半の売りに挟まれ、方向感が出にくい中で国内の政治問題が円買いを先行させやすい流れにあると考えられそうです。

日足チャートもご覧ください。

中期的にはピンクの平行線で示した下降チャンネル、短期的には同じく三角で示したペナント状のチャートパターンであることが認識できます。いずれにしてもトレンド継続のパターンですから円高の流れにはあるものの、今週は上下ともに抜けきれない週となる可能性が高いと見ています。

現在、レジスタンスは107円前後を下降中、サポートは105円台半ばを上昇中です。多少の誤差を考えても105円も107円半ばも抜けられないと見て、今週は105.50レベルをサポートに、107.25レベルをレジスタンスとする一週間を見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

3月12日(月)
**:** 今週から米国夏時間
**:** ユーロ圏財務相会議

3月13日(火)
09:30 豪州2月NAB企業景況感
20:00 南ア1月製造業生産
21:30 米国2月CPI

3月14日(水)
06:45 NZ10〜12月期経常収支
08:50 日銀会合(1月23日)議事要旨公表
11:00 中国2月小売売上高、鉱工業生産
16:00 ドイツ2月CPI確報値
**:** メルケル首相4期目就任
17:00 ドラギECB総裁講演
17:45 プラートECB理事講演
19:00 ユーロ圏1月鉱工業生産
19:45 コンスタンシオECB副総裁講演
21:30 米国2月PPI
21:30 米国2月小売売上高
22:30 フランス中銀総裁講演
23:00 米国1月企業在庫
23:30 米国週間原油在庫
25:45 クーレECB理事講演

3月15日(木)
06:45 NZ10〜12月期GDP
16:00 トルコ12月失業率
17:30 スイス中銀政策金利発表
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国3月NY連銀製造業景況指数
21:30 米国3月フィラデルフィア連銀製造業指数
21:30 米国2月輸入物価指数
23:00 米国3月NAHB住宅市場指数
24:05 ラウテンシュレーガーECB理事講演

3月16日(金)
06:30 NZ2月企業景況感
19:00 ユーロ圏2月CPI確報値
21:30 米国2月住宅着工・建築許可件数
22:15 米国2月鉱工業生産、設備稼働率
23:00 米国3月ミシガン大消費者信頼感指数速報値

前週の主要レート(週間レンジ)

     始値   高値  安値  終値

ドル円  105.56 107.05 105.35 106.81
ユーロ円 130.02 132.01 129.35 131.44
ユーロドル 1.2318 1.2446 1.2269 1.2305
日経平均 21047.81 21884.45 20937.26 21469.20

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

3月5日(月)
 東京市場、欧州市場と小動きの様子見が続きました。しかし、105円台前半から105円の大台にかけてはまだドル買いオーダーが残っていることから底堅い動きとなっていたところに、NY市場に入り株価が大幅高となったことからリスクオンの円売りがクロス円を中心に強まり、短期筋のドル円買い戻しも加わって106円台乗せ。引けにかけては106.24レベルまで買われて高値圏でのクローズとなりました。

3月6日(火)
 仲値過ぎまでは前日の流れを受け円安地合いとなっていましたが106.47レベルを高値に折り返しました。106円台半ばより上の水準では戻り売りのオーダーが見える中、米国の保護主義懸念に対する警戒も強く欧州市場前場まではじり安、105.86レベルの安値をつけました。その後、北朝鮮が核放棄も含めた米国との対話を考えているとのニュースにドル円は106.44まで急反発。しかし高値を超えることはなくその後は小緩んでの引けとなりました。

3月7日(水)
 NY引け直後に入ってきたコーン国家経済会議委員長辞任のニュースに反応し、105円台半ばへと急落してのスタートを切りました。同氏はトランプ政権の中では保護主義に反対する立場を取っていましたが、同氏辞任で追加関税強硬のリスクが高まりました。その後NY市場までは105円台後半で上値の重たい展開が続きましたが、強めの経済指標と米国株高に引っ張られて106.22レベルまで上伸後に、やや押しての引けとなりました。

3月8日(木)
東京市場では株価とともに上値の重たい展開となっていましたが、安値は105.90まで。105円台を積極的に売る向きも見られず、その後の海外市場では買い戻しも出てじり高の展開となりました。NY市場では106.32レベルまで買い戻されてからやや押して東京朝方の水準で引けました。

3月9日(金)
東京市場では米朝首脳会談実現の期待からリスクオンの展開、株高、円安の動きとなりました。その後海外市場でも雇用統計を前に動きは鈍ったもののドル円は理事高の展開が続く、雇用統計も予想以上に強い結果を受け一時107.05レベルの高値をつけました。しかし107円台は維持できず、ダウが大幅高となるも週末前のポジション調整が加わって106円台後半へとやや押しての引けとなりました。

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