<< 東京市場の動き >>
9日の東京市場は、ドル高・円安。106円前半から107円近くまで上昇するも、乗せられずやや上げ渋りの感も。
ドル/円は寄り付いた106.15-20円を日中安値に、ドルが強含み。トランプ米大統領から「日本時間9時に韓国が重大発表を行う」との発言が聞かれ、それに対する期待がドル買いを後押ししていたという。
それに加えて、週末で実質ゴトー日に当たることや、日経平均株価が400円を超える上昇をたどったことなどが材料視され、106.95円レベルまで値を上げたが息切れ。そののち先に挙げた日経平均株価が急落し、終値ベースでは前日比101円高まで上げ幅を縮小されたことなどもあり小幅にドルは軟化すると、16時時点では106.70-75円で推移し、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「北朝鮮情勢」。前述したトランプ米大統領による「日本時間9時に韓国が重大発表を行う」との発言、フタを開けてみると、米FOXニュースが先んじて報じた「金北朝鮮委員長、トランプ氏に訪朝要請の招待状送る」をさらに進めた内容の「米大統領と北朝鮮の金委員長は5月までに会談する」−−でマーケットはポジティブサプライズとなった。また、それと絡めて「安倍首相、米大統領との電話会談で 4月初旬に訪米する意向」−−との報道も別に観測されている。
そのほか、米カンザスシティー連銀総裁から「FRBが金利の緩やかな正常化続けること重要」、黒田日銀総裁による「現在は出口について具体的に検討する局面ではない」といった発言もあったようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
今週に入ってからのレンジである105.35-106.50円を昨日のNY時間でも抜けられず。今週は時間切れ、小動きのまま終了する公算も取り沙汰されはじめたなか、本日の東京時間にレンジ上限を上抜けてきた。これで、ドルのさらなる戻りが期待できそうだが、ボックス圏を抜けても値が走らないのがここ最近の相場の特徴。「米朝融和観測」という、なかなかの重要材料にもかかわらず、107円にすら届かなかったことは若干気掛かりだ。
ちなみに、本日はNY時間に注目要因のひとつである2月の米雇用統計が発表される予定であり、その内容如何で107円突破を再トライするとの指摘も聞かれていた。
テクニカルに見た場合、107円台回復をうかがう様相を呈しており、まずは同レベルの攻防に注目。ただ、上抜けたとしても107.15円レベルは年初来高値113.39円を起点とした下げ幅の23.6%戻しにあたるほか、その少し上の107.20-25円には移動平均の25日線が位置している。107円に乗せても、ドルの上値はかなり重いイメージだ。
それに対して、現在ザラ場ベースで上回っている一目均衡表の転換線(106.45-50円)の去就が注視されている。今月に入って以降、NYクローズレベルでは、同ライン以下に押し戻されているだけに、一部「弱気派」からは、欧米時間にドルは反落に転じる、などとした声も聞かれていた。
一方、材料的に見た場合、2月の米雇用統計や、ローゼングレン・ボストン連銀総裁、エバンス・シカゴ連銀総裁による講演などが予定されており、それらは当然要注意。
前者に関していえば、マーケットでもっとも注視されている非農業部門雇用者数はプラス20.5万人程度で前月並みの数字が予想されている。ただ、先日発表されたADP雇用統計が市場予想を上回る内容であり、今回もより好数字を見込む向きがやや優勢であるようだ。なお、再三再四指摘しているが、非農業部門雇用者数以外の数字である失業率や平均時給、あるいは当月分の数字ではなく前月分の修正された数字などにも注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、105.90-107.40円。ドル高・円安方向は、本日の東京高値を含めた107円前後が最初の抵抗で、抜ければ移動平均の25日線などが位置する107.20円前後、107円後半などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、一目均衡表の転換線が位置する106.45-50円の攻防にまず注視。同レベルはザラ場だけでなく、NYクローズでも維持できるかどうかに注目だ。下回れば、昨日安値の105.90円などが視界内に入ってくる。(了)
オーダー/ポジション状況
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