ドル円 FOMC議事録公開から伸びず上昇一服感(2/23)

米ダラス連銀のカプラン総裁は22日、今年の利上げは3回が妥当ととし、政策金利の引き上げは忍耐強く緩やかに慎重に進めるべきだと述べた。

ドル円 FOMC議事録公開から伸びず上昇一服感(2/23)

【概況】

2月2日深夜の戻り高値110.48円から丸2週間の下落となり、2月14日には昨年9月8日安値107.32円および107円割れ、2月16日には105.546円まで安値を切り下げたが、その後は米国市場の3連休によるポジション調整、FOMC議事録公開待ちで上昇、21日昼には107.90円まで戻した。この間の戻り幅は2.35円幅だった。
22日未明の議事録公開では発表直後に上下へ振れたが高値は107.90円までで21日昼高値超えには至らず、22日の日中はNYダウが続落したこと、日経平均もダウ同調で下落したこと、議事録公開によるイベント通過感から疾走した。
欧州市場時間ではユーロが下げ一服から反発、22日未明高値に迫るところまで切り返したこと、米10年債利回りも前日につけた4年ぶり高水準の2.957%から2.926%へやや低下して落ち着いたこともドル円を押し下げ、23日未明には106.59円まで下落している。

【FOMC議事録を消化、イベント通過感で押す】

米連銀は1月30−31日のFOMC(連邦公開市場委員会)議事要旨を公表したが、その中ではトランプ政権の減税等により短期的な景気見通しが上振れる可能性があるとし、大半の参加者が「さらなる緩やかな利上げが適切である公算が大きい」として12月会合時点の情勢判断よりも一歩進んで積極的な姿勢を示した。市場の事前予想よりもやや強め、タカ派的な内容ではあったが、16日から4日間戻してきた上昇をさらに加速させる程ではなかったとしてドル円は伸びきれなかったため、利益確定売りに押されたという状況だろう。
市場は次回3月会合で今年1回目の利上げが決定されることをほぼ確実視し、6月会合、12月会合での追加利上げも濃厚とみているが、昨年も3月会合で1回目の利上げが決定されて行く中でドル円は4月17日まで下落しており、短期的な反応を除けば昨年1月からドル安基調が継続してきた流れが大きく変わるという認識の変化には至っていないようだ。

米ダラス連銀のカプラン総裁は22日、今年の利上げは3回が妥当ととし、政策金利の引き上げは忍耐強く緩やかに慎重に進めるべきだと述べた。
米セントルイス連銀のブラード総裁は米CNBCテレビのインタビューに答えて「今年に1%引き上げる(0.25%ずつ4回の利上げ)は多すぎると思う」と述べて、市場が懸念してきた利上げペースの加速について慎重姿勢を示した。これらの発言は議事録公開後のドル高をやわらげた。

米トランプ大統領は、一般教書、予算教書に続き21日には米大統領経済報告を議会に提出した。その中では貿易赤字拡大に対する強い不満が示され、「為替レートでの調整が一つの重要な機能となる」という文言があった。1月24日にダボス会議出席中のムニューシン米財務長官がドル安容認と受け取られる発言をしたことがドル円急落のきっかけとなり、1月26日にトランプ大統領が火消しに回る一幕があったが、今回の経済報告により米トランプ政権がドル安容認姿勢にあることを改めて意識させたことになる。これも22日夜間へのドル安要因の背景となったと思われる。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、16日午後からの上昇により19日には遅行スパンが好転、19日夜には先行スパンを上抜き、両スパン好転が続いていたが、22日夜の下落で遅行スパンが悪化、深夜には先行スパンから転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試しを優先し、強気回復は両スパンがそろって好転するところからとみる。

60分足の相対力指数は22日夜の下落で23日未明には30ポイント割れまで下げ、その後は40ポイント前後まで戻している。21日からの下落過程では相場の安値更新に対する指数のボトム切り上げという強気逆行はまだ見られていない。50ポイント台を回復、維持できないうちは反落注意とし、50ポイント以上へ進む場合は上昇再開の可能性を優先する。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月16日昼過ぎ安値で前回のサイクルボトムを付けて上昇してきたが、21日昼高値と22日未明高値をダブルトップとして弱気サイクル入りしたと思われる。今回のボトム形成期は16日安値を基準とすれば23日中にボトムを付けて反騰入りする可能性が考えられるが、21日昼と22日未明の高値で小規模のダブルトップ型を形成しているので、その中間にある21日夜安値を基準としてボトム形成期が26日から28日にかけての間へと延びる可能性も多少考える必要がある。107.30円超え、107.50円超えへと上昇する場合は直前安値をボトムとした強気サイクル入りとして次のトップ形成期となる26日から28日にかけての間への上昇と108円超え挑戦の可能性を考えるが、107円台序盤までの戻りから安値をさらに更新する場合はボトム形成の延長入りと16日安値試しを想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、23日未明安値106.59円を支持線、107.00円から107.30円を抵抗線とみておく。
(2)107円台に乗せられないか、一時的に乗せても維持できないうちは106.59円割れからの一段安警戒とし、その場合は16日安値105.546円試しを想定する。
(3)107.30円超えからは107.50円超え試しとし、107.50円超えから続伸に入る場合は強気サイクル入りと仮定して21日高値107.90円試しを想定する。さらに高値更新の場合は108円台序盤試しまで上値目途を引き上げるが、108円台前半は2月12日までの下値支持帯だったため、戻り売りにつかまりやすいと注意する。(了)<9:50執筆>

【当面の主な予定】

2/23(金)
06:45 (NZ) 10-12月期 四半期小売売上高 前期比 (前期 0.2%、予想 +1.3%)
08:30 (日) 1月 全国CPI 前年比 (12月 1.0%、予想 1.3%)
08:30 (日) 1月 全国コアCPI 前年比 (12月 0.9%、予想 0.8%)
08:50 (日) 1月 企業向けサービス価格指数 前年比 (12月 0.8%、予想 0.8%)
16:00 (独) 10-12月期 GDP、改定値 前期比 (速報 0.6%、予想 0.6%)
16:00 (独) 10-12月期 GDP、改定値 前年比 (速報 2.3%、予想 2.3%) 
19:00 (欧) 1月 消費者物価指数(HICP)改定値 前年比 (12月 1.3%、予想 1.3%)

2/24(土)
05:40 (米) ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁、講演

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