ドル円見通し 12月4日に113円到達後は伸び悩む(12/6)

米税制改革法案の上院本会議可決をプラス要因としつつ、元大統領側近のフリン氏訴追によるロシアゲート問題をマイナス要因とし、米政治情勢については

ドル円見通し 12月4日に113円到達後は伸び悩む(12/6)

【概況】

ドル円は11月28日安値110.84円を当面の底として反騰、週末の12月1日には112.87円まで上昇した。1日深夜にはフリン氏訴追報道で111.40円まで1.47円幅の急落を入れたが、休み中の2日に米上院が税制改革法案を本会議で可決したことを好感、週明け4日は戻り高値を更新、4日夜には113.088円をつけて11月17日以来の113円台に到達した。
しかしその後は伸びず、5日朝に112.376円まで下げてからジリ高の戻りを入れたものの113円台回復には至らず、5日夜の高値は112.86円止まりだった。

米税制改革法案の上院本会議可決をプラス要因としつつ、元大統領側近のフリン氏訴追によるロシアゲート問題をマイナス要因とし、米政治情勢については強弱入り混じった状況と言える。4日はNYダウが史上最高値を更新した後に反落し、この日も米ISMサービス業景況指数が予想を下回ったことや、米連邦予算が成立していなことによる暫定予算切れからの政府機関閉鎖問題も意識されて100ドルを超える続落となったこともドル円の上値を抑えた。また米貿易収支においても対日赤字が拡大したことが心理的に圧迫要因となった印象もある。

【米国の対日赤字拡大、連邦予算】

米商務省が発表した国際収支ベース(季調済)の10月貿易赤字は前月比8.6%増の487億ドルとなり、赤字幅は市場予想の475億ドルを上回った。このうち物品の貿易赤字は5.9%増の691億ドル、サービスの貿易黒字はほぼ横ばいの203億ドルだった。
10月の通関ベースにおける物品の貿易収支では、対日貿易赤字は前月比32.9%増の64ドルとなり、2カ月ぶりの拡大となった。国別では中国、メキシコに続く3番目となった。
トランプ政権は貿易不均衡是正を掲げており、過度の円安は批判対象となるために市場も米国の対日赤字拡大に対してはやや円安傾向にブレーキをかけやすいといえる。

米サプライ管理協会(ISM)が発表した11月の非製造業景況指数は57.4となり、前月の60.1から低下、市場予想の59.0を下回った。先週の新築住宅販売、消費者信頼感指数、GDP改定値、個人消費、シカゴPMIと良好な米経済指標発表が続いてきたが、先週末のISM製造業景況指数が市場予想を下回り、この日も同サービス業景況指数が悪化したことで、これまでの米経済指標良好=ドル高の流れに多少、水が差された。

米連邦政府の年度予算が本成立しておらず、現在は9月に成立したつなぎ予算で賄われているが、その期限が8日に切れる。サンダース大統領報道官によれば延長措置が間に合わなければ政府機関が閉鎖される可能性が常にあると述べている。トランプ政権は閉鎖を望んでいないが、政権公約のメキシコ国境壁建設費、移民問題をめぐって共和党と民主党の対立が続いており、10月からの2018会計年度予算はいまだ成立していない。
共和党は上院定数100のうち52議席を持っているが、暫定予算案を通すには60票以上の賛成が必要であり、民主党側の支持を得る必要がある。毎度、つなぎ予算を繰り返して政府機関閉鎖、デフォルトは回避されてきたものの、市場も多少、折り合いがつかない事態を警戒しているところだ。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

基本的には11月28日未明安値からの上昇基調は継続しており、8日の米雇用統計が強い内容なら12月14日未明に予定されているFOMC声明、議長会見に向けてはドル高円安で進みやすい環境にあると思われる。しかし、12月1日深夜に1時間で1.47円幅の急落を入れる等、波乱含みの展開のため、高値を追いかけるのにもやや慎重となっている印象だ。ここにきて日米株が下落していることも圧迫要因となっている。

60分足の一目均衡表では、12月4日朝の反騰で先行スパンを上抜いたが、その後の伸び悩みにより6日午前時点では先行スパンへ潜り込んできている。遅行スパンは5日午前への下落で悪化、その後は実線と交錯している。
5日朝安値112.36円を割り込んでくる場合は先行スパン下限の112.25円試し、さらに先行スパンから転落の場合は112.00円から111.80円前後まで下値支持線が切り下がってくると思われる。5日深夜高値112.85円を超えてくれば先行スパン突破も重なって上昇再開感が強まると思われる。

60分足の相対力指数は11月30日から12月4日への上昇過程で指数のピークが切り下がる弱気逆行型となっている。5日深夜への上昇時にはこの指数切り下がりラインをいったん上抜けたが、その後は失速している。50ポイント超えへ切りかえせば上昇再開感が強まるが、40ポイント割れから続落の場合は下落継続感が強まると思われる。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成のサイクルでは12月1日深夜の急落と直後のV字反騰により、12月2日未明安値を直近のサイクルボトムとして上昇したが、その後は伸び悩んでいるため、4日夜高値を短縮されたサイクルトップとして6日夜から8日にかけて安値を試しやすい状況に入っている可能性がある。先行スパンから転落回避で5日夜高値を上抜き返せばサイクルトップ形成の継続として6日夜から8日深夜への上昇へ進む可能性があるが、先行スパンから転落して続落ならボトム形成への下落入りが優先されると思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、111.25円を支持線、5日深夜高値112.85円を抵抗線とみておく。
(2)111.25円割れから続落の場合は弱気サイクル入りによるボトム形成と仮定し、6日夜から7日にかけては安値を試しやすいと仮定する。当初は112.00円から111.80円までを下値目処とみるが、112.80円割れからは2日未明安値111.40円試しまで目処が切り下がってくる可能性がある。11月28日未明安値と12月2日未明安値を結ぶ安値ラインは111.80円前後に来ている。
(3)112.85円超えからは上昇再開として113円乗せ、維持の場合は113.25円から113.50円前後への上昇を想定する。113.25円以上は反落警戒圏とみるが、112.70円を上回る内は7日にかけて上昇継続余地ありとする。(了)<9:20執筆>

【当面の主な予定】

12月6日
09:30 (豪) 7-9月期GDP 前期比 (前期 +0.8%、予想 +0.7%)
09:30 (豪) 7-9月期GDP 前年比 (前期 +1.8%、予想 +3.0%)
22:15 (米) 11月ADP全国民間雇用者数 (10月 +23.5万人、予想 +19.0万人)
22:30 (米) 7-9月期非農業部門労働生産性 確報値 (速報 +3.0%、予想 3.3%)
22:30 (米) 7-9月期単位労働コスト 確報値 (速報 +0.5%、予想 +0.3%)
24:00 (加) カナダ銀行(BOC)政策金利発表 (現行 1.00%、予想 据え置き)

12月7日
19:00 (欧) ユーロ圏7-9月期GDP・確報値 前期比 (速報 +0.6%、予想 +0.6%) 
19:00 (欧) ユーロ圏7-9月期GDP・確報値 前年比 (速報 +2.5%、予想 +2.5%) 
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.8万件、予想 24.0万件)

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