ドル円見通し 下げ一服、FOMC議事録意識(11/21)

株安リスク、トランプ政権による税制改革法案の先行き見通し不安やロシアゲート問題等を背景にドル円はリスク回避感から下落、

ドル円見通し 下げ一服、FOMC議事録意識(11/21)

【概況】

株安リスク、トランプ政権による税制改革法案の先行き見通し不安やロシアゲート問題等を背景にドル円はリスク回避感から下落、11月15日には10月31日安値を割り込み、さらに週末は111.94円をつけて112円を割り込むところまで一段安した。
週明け早朝、ドイツのメルケル首相による連立政権協議が決裂したと報じられたためにユーロが急落、ユーロ円でのユーロ安円高とユーロドルでのユーロ安ドル高が交錯し、ドル円は板挟みとなり、朝安値では111.88円まで下値を切り下げたものの欧州市場時間までは112円を挟んだ小持ち合いに留まっていた。
20日夜の米国市場ではNYダウが反発、23日未明のFOMC議事録公開も意識し始めて米長期金利が上昇したため、日米金利差からドル買い円売りの動きも出て21日未明には112.71円まで戻した。

ドイツでは先の総選挙から新たな連立政権の樹立が協議されていたが独社民党が連立離脱を表明したために協議は決裂した。メルケル首相は少数与党として政権を継続するが9月にも再選挙となる可能性が高まった。またその再選挙でも与党が大勝する公算は薄いため、独政局不安が継続することが懸念される。ユーロは朝に急落、夜へやや戻したが深夜から再び反落している。
米コンファレンス・ボードが発表した10月の景気先行指数は130.4となり前月比1.2%上昇、市場予想の0.6%上昇を上回った。これもドル高ゴールド安要因となった。

【北朝鮮に対するテロ支援国家指定】

トランプ大統領が北朝鮮をテロ支援国家と再指定した。2008年以来9年振りだが、さらに独自制裁強化を行うという。今のところ市場の反応は乏しい。9月15日に弾道ミサイル発射をしてから軍事挑発的な動きはなく、中国共産党大会へ祝電を送る等、やや軍事緊張感が後退してきた。しかしテロ支援国家指定による制裁強化は北朝鮮の反発を招き、新たな軍事挑発へと動き出す可能性も懸念される。市場はこの問題に対してかなり食傷気味なため、具体的な行動がなければ大きくは反応しないかもしれないが、一応、何かあればリスク回避での円高へと進む可能性に留意する。

【FOMC議事録】

11月23日未明にFOMC議事録公開がある。12月のFOMCにおいては今年三度目の利上げがほぼ確実視されているが、問題は来年の利上げペースということになるだろう。イエレン議長に近いとされるパウエル理事が次期議長に決まっているため、市場はさほど利上げペースが加速しないだろうとして10月後半からは米10年債利回り等が低下傾向で推移してきた。しかし、歴史的な株高基調のなかで利上げペースが加速する可能性も十分にあるため、今回の公開議事録が何がしかのヒントになる可能性がある。
昨年は12月の米連銀利上げ決定と2017年の利上げ見通しを示すところまで円安ドル高が進んだ。今年も本来なら12月FOMCへ向けてドル高へ進みやすい時間帯にはあるのだが、利上げペースは上がらないという市場心理から米長期金利は落ち着いている。
11月14日からの円高ドル安は米10年債利回りが下落したところと同調し、20日夜からの上昇は米10年債利回り上昇と同調している。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

11月6日の戻り高値で114.73円をつけ、7月11日高値114.49円を上抜いたが、その後は下落基調で推移してきた。途中の戻りは10日未明安値から14日高値まで0.82円幅があったが、一段安しており、11月6日高値と14日の戻り高値を結ぶラインが下降トレンドの抵抗線となっている。この抵抗線は113.30円前後に来ているので、このラインを突破しない限りは下落基調の範囲内でのリバウンドということになると思う。この抵抗を突破して上昇再開となるか、突破できずに一段安するのかはFOMC議事録、北朝鮮情勢、トランプ政権の税制改革法案やロシアゲート問題の行方に左右されるのだろう。

60分足の一目均衡表では、20日夜の反発で遅行スパンが好転した。21日未明の高値では先行スパンをわずかに上抜けたが、その後は先行スパンの上限に張り付いている。21日未明高値を更新してくれば先行スパン突破感が強まると思われるので、遅行スパンが好転中は高値試しの可能性を優先し、遅行スパン悪化、さらに先行スパン転落からは下落再開と考える。

60分足の相対力指数は昨晩深夜からの上昇で70ポイントにいったん到達した。15日深夜安値と週末18日未明への一段安の間では指数が20ポイント台で強気逆行している。また18日未明安値と20日朝安値の間でも小規模の強気逆行を示した。やはり逆行が出た場合は目先の基調転換となりやすい。50ポイント台を支持線とし、上回る内は高値更新余地ありとするが、高値更新の際に21日未明の指数高値を超えないと弱気逆行となる点に注意する。50ポイント割れからは下げ再開を疑う。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成のサイクルでは、15日深夜安値を前回のサイクルボトム、16日夕高値を同サイクルトップとして下落期に入った。今回の安値形成期は20日夜からは22日夜にかけての間と想定されたが、20日夜の反騰を踏まえれば20日朝安値でやや短縮されたサイクルボトムをつけて強気サイクルに入ったと思われる。
今回の高値形成期は21日夕から23日夜にかけての間と想定されるが、ボトム形成が短縮気味だったのでサイクルトップ形成もやや短くなる可能性に留意する。112.15円割れからは先行スパンからの転落となるので弱気転換注意として20日朝安値試しを想定する。さらに底割れからは新たな弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる23日から27日午前にかけての下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、112.50円を支持線、21日未明高値112.71円を抵抗線とみておく。
(2)112.50円を上回る内は上昇余地ありとし、21日未明高値超えの場合は113円前後試しとみるが、16日高値113.32円に届かない程度までと仮定し、高値から0.50円以上の下落となる場合は下げ再開注意とみる。
(3)112.50円割れからは弱気転換注意、112.15円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して20日朝安値111.88円試しへ向かうとみる。さらに20日未明安値割れからは23日から27日にかけての間への安値形成として111円台序盤試しを想定してゆく。(了)<9:50執筆>

【当面の主な予定】

11月21日
09:30 (豪) 豪中銀(RBA)金融政策決定理事会議事録公開(11月7日開催分)
18:05 (豪) ロウ豪中銀(RBA)総裁 講演
22:30 (米) 10月シカゴ連銀全米活動指数 (9月 0.17、予想 )
24:00 (米) 10月中古住宅販売件数 (前月 539万件、予想 540万件)

11月22日
ロシア・トルコ・イラン首脳会談

08:00 (米) イエレンFRB議長講演
22:30 (米) 10月耐久財受注 前月比 (9月 +2.2%、予想 +0.3%)
22:30 (米) 10月耐久財受注 除輸送用機器 前月比 (9月 +0.7%、予想 +0.4%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 24.9万件、予想 24.0万件)
24:00 (米) 11月ミシガン大学消費者信頼感指数確報 (速報 97.8 予想 98.0)

11月23日
04:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録公開(10月31-11月1日分)
    (日) 東京市場休場(勤労感謝の日)
    (米) NY市場休場(感謝祭)

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