ドル円 2週間前とは左右対称形、下方警戒感(11/8)

週明け月曜の6日午前に一段高してから1円弱の反落を入れたため、7日午前時点では2週間前の展開、すなわち、10月22日の総選挙で与党が勝利したことから

ドル円  2週間前とは左右対称形、下方警戒感(11/8)

【概況】

11月3日夜の米雇用統計後に上昇、週明け6日午前の続伸で114.734円の高値を付け、10月27日高値114.45円、7月11日高値114.49円を上抜いた。その後は買い気が続かず、サウジアラビア内紛報道を警戒して7日早朝には113.68円まで下げ、3日夜安値113.62円に迫った。
7日午後はサウジ問題への懸念が一服してドル高感が戻し、日経平均も大幅上昇したことでリスクオン心理が先行、夕刻には114.34円の高値を付けた。しかし、夜間は手掛かり難の中、114円台を維持できず、深夜には再び反落、8日早朝には113.68円まで下げて7日朝安値をわずかに下回っている。

【サウジ問題は一服、しかし円安進まず】

サウジアラビアの内紛劇ともいえる王族らの大量拘束、粛清の動きは巨大投資元のサウジ王族マネーを揺るがすとして6日深夜にはリスク回避感が強まった。しかし、拘束されたアルワリード王子らの資産は売りを浴びて急減しているようだが、サウジ全体としての株価指数はしっかりしており、暴落商状に陥っていない。
トランプ大統領もこの問題に対して次期国王と目されるムハンマド皇太子を信頼していると述べており、サウジと米国の関係悪化等への懸念は今のところ薄い。
イエメンからサウジへ向けて発射されたイラン製弾道ミサイルをサウジが撃墜し、イランを非難した問題もその後にエスカレートしていない。
NYダウは4日連続で史上最高値を更新している。サウジ問題、トランプ大統領訪韓による北朝鮮有事リスク問題、ロシアゲート問題によるトランプ選対メンバーの起訴やパラダイス文書をめぐる国務長官への疑惑等、諸問題はあるものの株式市場は連日の高値追いの熱狂を継続している。

日米株高の中でドル円もリスクオン心理から上昇しても良さそうなところにあるのだが、その割には114円台に乗せても維持できず、頭の重さを見せている。
頭重さの背景は米長期金利の下落がある。米30年債利回りは10月26日に2.97%まで上昇していたが、その後は低下している。株高なら逆相関で債券安=長期金利上昇となっても不思議ないのだが、トランプ政権の税制改革先行き不透明感、異常な上昇ともいえる株高への心理的な警戒感が米長期債買い=利回り低下を招き、日米長期金利差の縮小から円高という金利差相場でドル円の上昇にブレーキがかかっている印象がある。

【31日のV字反騰を中心に左右対称?】

週明け月曜の6日午前に一段高してから1円弱の反落を入れたため、7日午前時点では2週間前の展開、すなわち、10月22日の総選挙で与党が勝利したことから9月8日以降の上昇としては初めて114円に乗せ、買い一巡後に1円弱の下落を入れたが再上昇で高値を更新するパターンを二度繰り返したときの初日に近い動きに見えた。
8日朝時点では7日朝安値をわずかに割り込んでいるため、両者の類似性が薄まった。このため、6日午前高値からの下落が二段下げ型となり、10月23日以降の高値・安値切り上げ型とは異なり、逆に10月31日のV字反騰を境として左右対称的に、今度は高値を切り下げ、その後の安値も切り下げて10月31日安値112.95円前後を試すような動きになる可能性が強まると思われる。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、6日深夜の反落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落した。7日夕刻への反発で遅行スパンは好転したが、その後は実線の下落に沿って下降しており、7日朝安値割れへと続落の場合は悪化してくる。7日夕刻への上昇で先行スパンを上抜きかけたが失速、深夜以降は先行スパンから転落している。強気回復には7日夕高値114.33円を超え、その後も先行スパンを上回る状況を維持する必要があり、先行スパンから転落中の114円以下では一段安警戒が優先される。

60分足の相対力指数は7日夜の反落で40ポイントを割り込むところまで下げている。7日朝安値と8日朝安値はわずかに切り下がったが、指数は切り上がっているので、114円台回復へと反騰し、指数も50ポイント台を回復してくれば上昇再開感が強まるが、50ポイント以下での推移中は一段安警戒と思われる。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、11月31日夜安値からの一段高により、新たな強気サイクル入りの可能性を考えたが、8日朝への下落で7日朝安値をわずかに割り込んできたため、10月31日夕安値から5日目となる7日朝安値を直近のサイクルボトム、7日午前高値を同サイクルトップとして弱気サイクル入りしている可能性が考えられる。このため、強気転換は7日夕高値超えからとし、高値超えへ進めないうちは10日から14日朝にかけての下落継続となりやすくなってきたと考える。

以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)114.00円を抵抗とし、下回るうちは一段安警戒を優先し、113.50円割れからは113.00円前後、10月31日安値112.95円試しへ向かう可能性ありとみる。
(2)114.00円から114.30円にかけてのゾーンには先行スパンがあるため、一時的に114円台を回復しても維持できない場合は下落再開注意とみる。
(3)7日夕高値114.33円超えからは上昇再開と7日午前高値114.73円試しの可能性を優先する。その場合、当初は7日午前高値とのミニダブルトップ形成からの反落警戒とみる。(了)<9:35執筆>

【当面の主な予定】

11/8(水)
トランプ大統領 韓国国会で演説
未 定 (中) 10月 貿易収支 (9月 285.0億ドル、予想 394.5憶ドル)
未 定 (中) 10月 貿易収支 (9月 1930.0億元、予想 2774.0憶元)
14:00 (日) 9月 景気先行指数 CI速報 (8月 107.2、予想 106.6)

11/9(木)
アジア太平洋経済協力会議(APEC)、閣僚会議(於;ベトナム・ダナン、-9日)
トランプ大統領 訪中

オーダー/ポジション状況

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