米国財務省はドル高牽制か?
ドル円の中期的な見通しは8月30日に示した通りですが、戻りは限界的で105円台から106円台をターゲットとする「円高トレンドを考えながら、ドル円は戻り売りが出やすい流れにある」との見方には全く変化はありません。
その後、ドル円は昨日110.67レベルまで円安の揺り戻しがあり、想定以上の動きではありましたが、これも8月25日のコラムで書いたように「9月5日までは・・・相場の方向感が出にくく、テクニカルにも行き過ぎや中途半端なところで止まるといったことが起きがち」ですから、前者の行き過ぎの範疇にあると考えて良さそうです。
アノマリー的にも雇用統計前後にドル円は高値をつけることが多いため、昨日が高値となるか、仮に今夜の雇用統計で再度ドルが高値をトライしたとしても週明けには反落する可能性が高いと考えています。これも水星が「逆行から順行に戻る前後では円高に動きやすいといったことも多々ある」ということで昨日からの1週間程度が注意すべき時間帯ということになるわけです。
さて、テクニカルや日柄の観点だけでなく昨夜は気になる発言がムニューシン財務長官から出ました。長官は、長期的なドル高は肯定するものの「ドル安は米国の貿易にとって有利な点がある」と現在の米国を取り囲む不均衡問題を意識した発言をしたのです。以前も長期的なドル高と短期的な過度の動きを分けて説明したことがありましたが、まったく公約が実現できない中で、見かけを良くするのに安易なドル安誘導をトランプ大統領から指示されている可能性も否定できません。
ロス商務長官もライトハイザーUSTR代表も対中・対日強硬派ですからそこにムニューシン長官が側面から為替で援護射撃という構図は十分に考えられます。米国サイドから為替も含めた不均衡問題が改めて問題とされやすいのがこの秋のテーマとなるかもしれませんので、来週以降も引き続き注意深く見て行くべきでしょう。通商問題は忘れた頃にやってくるという感じです。
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