ドル円見通し FOMC声明からの下落一服も重い(7/28)

米商務省が27日21時半に発表した6月の耐久財受注は全体で前月比6.5増となり、市場予想の+3.0%を大幅に上回った。

ドル円見通し FOMC声明からの下落一服も重い(7/28)

<概況>

7月11日高値114.49円からの大幅下落が続いて7月24日夕刻に110.61円の安値を付けたが、27日未明のFOMCを控えたポジション調整的な買い戻しにより上昇、FOMC直前には112.18円まで戻していた。
FOMC声明をハト派的なものとしてドルが全面安となり、発表直後に111.05円まで急落、さらに27日昼には110.78円まで続落して24日安値に迫ったが、底割れからの一段安へ進むには時期尚早として買い戻しが入った。この買い戻しの流れは深夜まで続き、111.71円まで戻すのだが、その後は再び111円割れまで反落、111円割れは買い戻されているものの111円処での攻めぎ合いとなっている。

米商務省が27日21時半に発表した6月の耐久財受注は全体で前月比6.5増となり、市場予想の+3.0%を大幅に上回った。このため28日夜に発表される米4-6月期GDPが強い数字にあるのではないかとの見方からドルが買い戻され、ドル円も111.70円まで戻した。

しかし、ムニューシン米財務長官が下院委員会の証言において、為替操作国に厳しい措置を取るとの姿勢を示したことでトランプ政権によるドル安誘導が意識されてドルは反落、ドル円も下げた格好だ。

【米GDP】 

28日夜には米GDP速報の発表がある。1-3月期は前期比年率が+1.4%と低調だったが、4-6月期は+2.7%へ持ち直すと予想されている。同期の個人消費も+2.8%の予想で前期の+1.1%から改善する見込み。またGDPデフレーターの予想は+1.3%で、前期の+1.9%から低下、コアデフレーターも+0.7%の予想で前期の+2.0%から低下すると見込まれている。

27日未明のFOMCではバランスシートの縮小開始時期を「比較的早期」とし、6月会合での「年内」という表現から前倒しする姿勢を示したため、早ければ9月会合でのバランスシート縮小開始が決定される可能性が高まった。しかしインフレ見通しについては前回の「目標の2%を幾分下回っている」という表現から「幾分」が削除され、FOMCとしてはインフレ率に対する不満足が示されたので、年内あと1回の利上げ予想も後ズレするのではないかとの受け止め方がされた。
総じてハト派的とされたFOMC声明だが、今後の展開を左右するのは28日夜のGDP、8月4日の米雇用統計、小売や消費者物価指数等となってくる。それらの最初の判断目安となってくるGDPが予想より悪く、デフレーターも低ければ利上げ先送り感からドル安が加速しやすくなり、8月4日の米雇用統計までその流れが継続しやすくなると思われる。逆に強い数字ならドル高要因となる可能性がある。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

FOMCからの下落では24日安値割れをひとまず回避、いったん戻したが再び反落した状況にある。
24日安値割れ回避のうちはダブル底形成による上昇再開という可能性が残るが、27日夜の戻り高値が切り下がって安値圏にあるため、高値切り下がりの三角持合いで底割れを試す状況にあると思われる。
60分足の一目均衡表では、FOMCからの急落により遅行スパンが悪化、先行スパンから転落した。27日夜へのリバウンドでは先行スパンにもぐりこんだが失速し、28日午前時点では両スパンが悪化のままとなっている。このため、先行スパンを上抜く=111.50円を超えてこないうちは先行スパンが抵抗となって一段安しやすい状況と思われる。

60分足の相対力指数は27日昼への下落で30ポイントを割り込み、27日深夜への上昇で60ポイントまで戻したが、その後の反落で再び50ポイントを割り込んでいる。指数の強気逆行も見られていないので、50ポイントを割り込むうちは一段安警戒とみる。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、7月24日夕安値で前回のサイクルボトムをつけ、27日未明高値で直近のサイクルトップをつけて新たな下落期に入ったと思われる。今回の安値形成期は27日午後から31日夕刻にかけての間と想定されるので、まだ28日夜、29日未明から週明けにかけては一段安リスクが残っていると思われる。

以上を踏まえ、28日の日中から29日朝にかけてのポイントを示す。
(1)111.25円から111.50円にかけては先行スパンが構えているので戻り抵抗帯とし、111.50円超えから続伸へ進めないうちは一段安を警戒する。
(2)24日安値110.61円割れからはダブル底破れ、ないしは三角持合い下放れによる下落となるため、27日夜への戻り幅の売返しで110円割れを試すとみる。110円割れの時点では突っ込み警戒的な買い戻しも入る可能性があるが、111円以下で終了の場合は週明けへ続落しやすいとみる。その場合は109.50円、さらに6月14日安値108.80円などを段階的に試す下落へ向かう可能性が警戒される。
(3)111.50円を超える反騰の場合は強気転換注意として27日深夜高値を試すとみるが、そこはダブルトップ型を形成して反落しやすいとみる。(了)<9:35執筆>

【本日の主な予定】

7月28日
21:30 (米) 米4-6月期GDP・速報値 前期比年率 (前期 +1.4%、予想 +2.5%)
21:30 (米) 米4-6月期個人消費・速報値 前期比年率 (前期 +1.1%、予想 +2.9%)
21:30 (米) 米4-6月期GDPデフレーター・速報値 前期比年率 (前期 +1.9%、予想 +1.5%)
23:00 (米) 米7月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 93.1、予想 93.0)

オーダー/ポジション状況

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