ドル円見通し ポジション調整で戻りの攻防点(7/25)

昨年の米大統領選にトランプ大統領の陣営とロシア政府が共謀して介入したとされるロシアゲート疑惑に関し、大統領の娘婿クシュナー上級顧問が24日連邦議会に書面証言を提出

ドル円見通し ポジション調整で戻りの攻防点(7/25)

<概況>

7月24日夕刻に110.61円まで下落、7月11日高値114.49円以降の安値を更新したが、その後は111円台序盤へ戻している。
24日は主要な米経済指標、イベントはなかったが、欧州のPMIが予想より悪かったことで大幅上昇してきたユーロ高にブレーキがかかったこと、25日から始まり27日未明に声明が出される米連銀FOMCを控えたポジション調整的なドルの買い戻しも入って全般的にドルがやや戻し、ドル円の下落も一服となった。

独7月PMI製造業が58.3で市場予想の59.2、前月の59.6を下回り、サービス業も53.5となり、市場予想の54.3、前月の54.0を下回った。ユーロ圏では製造業が56.8となり、市場予想の57.2、前月の57.4を下回った。サービス業は55.4で予想と一致、前月と変わりなかった。

【トランプ政権の迷走】

昨年の米大統領選にトランプ大統領の陣営とロシア政府が共謀して介入したとされるロシアゲート疑惑に関し、大統領の娘婿クシュナー上級顧問が24日、連邦議会に書面証言を提出し、同氏はロシア関係者と4回接触したことを認めつつも「私はいかなる外国政府とも共謀していない。不適切な接触は一切ない」と主張した。
ロシアゲート問題はトランプ政権の求心力低下を招き、政策実行を阻害し、ドル安要因となっている。また政策実行の遅延はトランプラリーで期待された巨額インフラ投資、大規模減税の実現遅延、あるいは実現不能への懸念により米長期金利の低下要因となっている。

米上院共和党トップのマコネル院内総務は24日、医療保険制度改革(オバマケア)の代替案に関しての法案審議入りに必要な動議の採決を25日に行うと表明した。執行部案は共和党内の反対(穏健派によるオバマケア維持勢力と、オバマケア全廃への強硬派双方の反対)で上院通過の見通しが立たなくなっている。動議が可決された場合に審議するべき改革法案の中身は不明とされる。
法案審議状況次第では市場も大きく動くきっかけとなる可能性もあるが、採決見通し、法案内容によってはトランプ政策への失望感が高まり、ドル安要因となる可能性も警戒される。

【FOMC】

7月25日、26日に米連銀FOMC(連邦公開市場委員会=金融政策決定会合)が開かれる。27日未明に声明文が出され、議長会見は予定されていない。政策は現状維持と見られるが、FRBのバランスシート縮小計画の詳細、実施時期、年内あと1回とされる利上げの確実性がどうなるのかによっては市場も大きく動く可能性がある。
2016年12月の利上げ再開時、FOMCは自らの2017年の利上げ回数予想を3回とした。(3回が最多であり、4回以上の主張も、2回以下の主張も当然ながらあった)
短期金利先物市場が反映している年内の利上げ予想確率は、12月の利上げでもまだ5割を切っている。これが5割以上へと上昇するなら、市場は今の楽観的な心理によるドル安米長期金利低下傾向から逆流してドル高反応を発生させる可能性があるが、5割切った状態の維持、ないしはさらに低下するようならドル安、米長期金利低下傾向の継続としてドル安円高がさらに加速する可能性がある。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、7月24日夕刻安値からの反発で遅行スパンが好転してきている。先行スパンの下限に到達し、同スパンへもぐりこみつつある。下降してきた26本基準線も横ばいとなって下げ止まりを示唆している。状況的には19日夜安値から20日夕刻へ戻したときに近い姿と思われる。

60分足の相対力指数は21日夜の下落から24日夕刻の安値にかけては30ポイント以下で、相場の安値更新に対して指数が安値更新とならない強気逆行を示し、50ポイント台を回復しているので、短期的な戻りを継続しやすい状況と思われる。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、7月19日夜安値で前回のサイクルボトムを付け、底割れにより新たな弱気サイクルに入っていたが、前回ボトムから3日目となる24日夕安値で直近のサイクルボトムをつけた印象だ。このため、24日夕安値を割り込まないうちは今回の高値形成期となる25日夕から明日に掛けて戻り優位の様相だ。


以上を踏まえ、25日の日中から26日朝にかけてのポイントを示す。
(1)111.00円(26本基準線近辺)を支持線とし、割り込まないか、一時的に割り込んでも早々に切り返すうちは戻り高値を試す余地ありとし、先行スパン上限の111.50円前後試しを想定する。111.50円超えの場合は111.70円台へ戻り高値の目安を切り上げるが、そこは戻り売りにつかまりやすいといる。
(2)111円割れを切り返せなくなる場合は弱気転換注意として24日夕安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りにより、次の安値形成期となる27日から31日への下落を想定する。その場合の下値目途は109円台前半とみる。(了)<9:20執筆>

【本日の主な予定】

7月25日
    (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、開催(26日まで)
17:00 (独) 独7月Ifo景況感指数
22:00 (米) 米5月S&P/ケースシラー住宅価格指数 前年比 (4月 +5.67、予想 +5.70%)
23:00 (米) 米7月消費者信頼感指数 (6月 118.9、予想 116.0)
23:00 (米) 米7月リッチモンド連銀製造業指数 (6月 7、予想 7)

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