ドル円見通し 5月下落時並みの展開(週報7月第四週)

ドル円は6月15日未明のFOMCでの利上げから上昇、7月11日深夜に114.49円まで上昇、6月15日未明安値108.84円から5.65円幅の上昇となった。

ドル円見通し 5月下落時並みの展開(週報7月第四週)

<概況>

ドル円は6月15日未明のFOMCでの利上げから上昇、7月11日深夜に114.49円まで上昇、6月15日未明安値108.84円から5.65円幅の上昇となった。しかしその後の下落で上昇の半値押しとなる111.66円を割り込んできた。
7月12日のイエレン議長議会証言でのハト派的発言から下落。さらに米経済指標が予想より悪く14日夜へ一段安。17日は下げ渋りだったが18日に一段安、18日夜、19日夜と安値を切り下げ、20日はいったん戻りを入れたがECB金融政策発表からのユーロ高ドル安をきっかけに一段安、21日もさらに底割れして111円まで下げて週を終えた。

【1か月前後の騰落、2か月前後の高値、安値形成リズム】

今年の動向をみると、2月6日安値から3月10日高値までおよそ1か月上昇、4月17日安値までおよそ1か月強下落、5月11日高値までおよそ1か月弱上昇、6月14日安値までおよそ1か月下落、7月11日高値までおよそ1か月上昇と、1か月前後で騰落をくりかえしている。このため、高値の間隔はおよそ2か月であり、安値の間隔もおよそ2か月となっている。この1か月前後での騰落、2か月毎の安値形成のリズムを踏まえると、7月11日高値から1か月の下落で6月14日安値から2か月目となる8月半ばにかけて下落基調が継続しやすいリズムにあるといえる。もちろん、そうしたリズムを崩す材料、イベント的な刺激があればリズムも変わるが、リズムが変わるほどのインパクトがなければこれまでのリズムを継続しやすいといえるだろう。

【ドル全般の長期サイクル的な下落】

ユーロドルが7月21日高値で1.1682ドルまで上昇、昨年5月高値を上抜いた。ECBによる量的金融緩和政策は年末まで継続とされているが、政策見直しの検討を始めると表明されたことで出口へ向かう流れとし、また先行きの金利引き上げ、引き締めを先取りして独10年債利回り等、加盟国の長期債利回りが上昇し、独米10年債利回り格差の拡大などを背景にユーロが大幅上昇している。すでに1月からの上昇も7か月目に入る。
ユーロドルは欧州重債務国のデフォルト危機などを背景に2014年には大幅下落に見舞われたが、2015年3月以降は落ち着き、1.10ドルを中心とした持ち合い相場を2年間継続してきた。この間の持合い中における高値は2015年8月24日の1.1713ドルと2016年5月3日の1.1616ドルであったが、すでに昨年5月高値を今回の上昇で越えており、2015年8月高値を超える場合、2年間の持合いから上放れして本格的な上昇期に入る可能性がある。

英ポンドもEU離脱決定ショックにより2016年に暴落したが10月安値からは反騰している。豪ドルも先週は中銀当局者のハト派的発言から下落したが2016年1月底からの上昇基調が継続している。
カナダドルも利上げ決定から大幅上昇している。南ア・ランドも2016年1月から上昇基調を継続している。

メジャー通貨の加重平均であるドル指数も年初からの下落基調が継続している。これらは概ね4年周期、8年周期、16年周期クラスのサイクルにおいてドルが下落期に入ってきている印象を与える。
そうしたドル全般の下落基調を踏まえると、ドル円も概ね8年周期のサイクルにおける天井を2015年6月につけ、2016年12月に初期的なリバウンドによる戻り天井をつけ、下落期に入っている可能性がある。3月以降は112円を挟んだ持合いとも言えるが、ドル全般の下落基調が継続してくる場合、および史上最高値更新が続いて極めて楽観的でバブル米国株が崩れる場合、トランプ政権がロシアゲート問題により窮地に陥り、トランプラリーとして市場が期待した大規模減税や巨額インフラ投資への期待が失われる場合、ドル安が一段と進み、ドル円が3月以降の持合いから下放れる可能性も警戒しておく必要があると思われる。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、7月11日深夜の下落以降、先行スパンから転落した状況が概ね続いている。20日の反発時に一時的に上抜いたが続かずに転落している。遅行スパンもおおむね悪化状況が続き、1日弱の小反発時に好転してもその後の一段安で再び悪化するパターンが繰り返されている。
21日深夜への下落では先行スパンとの乖離が1円程度まで広がっており、突っ込み警戒感も出やすいかもしれないが、同様の状況は12日深夜への下落時、その後のやや下げ渋りでも見られたが、時間的な調整に終わって一段安しているため、20日に戻した時の上昇角度を超えるような鋭角的な上昇を見せない限りは、横ばいなら先行スパン接触からの一段安が警戒され、戻せずに安値更新なら先行スパンとの乖離幅1円程度の距離を保っての下落継続となりやすいと思われる。
強気転換には先行スパン突破、遅行スパン好転の状況を半日以上維持する上昇が必要だ。

60分足の相対力指数は21日深夜の下落で30ポイントを割り込んだ。7月14日に30ポイント割れした時は下げ渋りの持合いを1日入れているが、その後に一段安している。40ポイントを超える状況を維持し始める反発なら安値から1円程度の戻りを入れてくる可能性が出てくるが、50ポイント超え、維持へと進めないうちは目先的な突込み警戒を示すにとどまると思われる。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、7月19日夜安値で前回のサイクルボトムを付けたが、すでに底割れによる新たな弱気サイクルに入っていると思われる。次の安値形成期は24日夜から26日夜にかけての間と想定されるため、24日夜はまだ一段安リスクが優勢と思われる。

 以上を踏まえ、今週のポイントを示す。
(1)7月11日以降の高値、安値切り下げ型が継続しているうちは一段安警戒が優先的と思われるため、強気転換には20日高値を上抜く必要があり、そうならないうちは一段安警戒とみる。
(2)短期的で1日に満たない戻りは50銭強までとし、50銭を超えてくる場合は70銭から1円弱の戻りを想定するが、そこは戻り売りにつかまりやすいと見ている。
(3)下値目途は6月14日安値108.80円まで切り下がった状況にあると思われる。111円割れから一段安の当初は110円試し、ワンクッションおいて109円試しへと段階的に下げやすい状況と思われる。
(4)27日未明にはFOMCもあるため、イベント、材料的な強気反応により、安値から1円を超える上昇なら強気転換注意とみるが、一目均衡表の26日基準線112.60円を超えられないうちは7月11日以降の下落継続とし、超える場合はいったん戻しに入って113円を試す可能性を想定するが、そこはまた戻り売りにつかまりやすいとみる。(了)<8:20執筆>

【今週の主なイベント】

7月24日
23:00 (米) 米6月中古住宅販売件数 (5月 562万件、予想557万件)
7月25日
    (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、開催(26日まで)
8:50 (日) 日銀・金融政策決定会合議事要旨公表(6月15〜16日開催分)
17:00 (独) 独7月Ifo景況感指数
22:00 (米) 米5月S&P/ケースシラー住宅価格指数 前年比 (4月 +5.67、予想 +5.70%)
23:00 (米) 米7月消費者信頼感指数 (6月 118.9、予想 116.0)
23:00 (米) 米7月リッチモンド連銀製造業指数 (6月 7、予想 7)

7月26日
    (米) トランプ米大統領長男、マナフォート選挙対策本部長、米上院公聴会証言
10:30 (日) 中曽日銀副総裁、講演
23:00 (米) 米6月新築住宅販売件数 (5月 61.0万件、予想 61.5万件)

7月27日
3:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)声明
(米) クオールズ次期FRB副議長指名承認公聴会
8:50 (日) 対外及び対内証券売買契約等の状況
21:30 (米) 米6月耐久財受注 (5月 -0.8%、予想 +3.0%)
21:30 (米) 米新規失業保険申請件数 (前週 23.3万件)

7月28日
8:30 (日) 6月全国消費者物価コア指数 前年比 (5月 +0.4%、予想 +0.4%)
8:30 (日) 7月東京都区部消費者物価コア指数 (5月 +0.0%、予想 +0.1%)
8:30 (日) 6月失業率 (5月 3.1%、予想 3.0%)
8:50 (日) 日銀・金融政策決定会合における主な意見公表(7月19〜20日開催分)
21:30 (米) 米4-6月期GDP・速報値 前期比年率 (前期 +1.4%、予想 +2.5%)
21:30 (米) 米4-6月期個人消費・速報値 前期比年率 (前期 +1.1%、予想 +2.9%)
21:30 (米) 米4-6月期GDPデフレーター・速報値 前期比年率 (前期 +1.9%、予想 +1.5%)
23:00 (米) 米7月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 93.1、予想 93.0)


2:20 (米) カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演

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