ドル円見通し 7月11日高値からの下落続く(17/7/19)

7月12日夜のイエレン議長議会証言において、市場が懸念する「利上げペースの加速姿勢」がなく、ハト派的な内容だったことで年内あと1回とされる利上げの実施確率は、

ドル円見通し 7月11日高値からの下落続く(17/7/19)

<概況>

7月11日高値で114.49円まで上昇、5月11日高値114.36円をわずかに上抜いたが、その後は反落、13日から14日の日中で下げ渋っていたが、14日深夜の急落、さらに18日深夜へ一段安となり、安値で111.68円をつけ、19日未明には112円台へ戻したが、112円台を維持しきれずに19日午前は112円を挟んだ揉み合いとなっている。
ユーロドルが上昇、1年2カ月ぶりの高値をつけている。20日にECB理事会を控えているが、金融緩和政策の出口戦略への動きがユーロ高を継続させてきたが、ここにきて米連銀の追加利上げへの姿勢が緩いと受け止められて米長期金利が低下、金利差からもユーロ高ドル安が進んでいる。

【円高・ドル安懸念】

7月12日夜のイエレン議長議会証言において、市場が懸念する「利上げペースの加速姿勢」がなく、ハト派的な内容だったことで年内あと1回とされる利上げの実施確率は、米短期金利先物市場からの逆算では40%程度に低下しており、あるいは年内あと1回の利上げも先送りされるのではないかとの見方が強まってきている。このため7月10日まで上昇していた米長期債利回りは下降に転じ、日米金利差は縮小、11日までの円安ドル高を支えてきた土台が崩れて円高ドル安となっている印象だ。

先週末は米小売売上高、消費者物価、ミシガン大消費者信頼感指数が予想より悪かったこともドル安要因だったが、今週も17日のNY連銀製造業景況指数が予想を下回り、この日も全米ホームビルダー協会(NAHB)による7月の住宅市場指数は64となり、前月の66から低下、市場予想の67を下回った。7月7日の米雇用統計は良かったが、それ以降は弱い指標が続いている。今後も米経済指標が予想を下回る状況が続けば、ドル安が継続しやすい状況と思われる。

トランプ政権によるヘルスケア改革法案の上院通過が難しくなり、トランプ政策推進にブレーキがかかったことは、ロシアゲート問題も含めて米政権基盤の脆弱性を意識させてドル安反応を招きやすくなっている。
7月20日、日銀金融政策決定会合、夜にはECB理事会、ドラギ総裁会見がある。先の指値オペ実施状況を踏まえれば日銀は現状維持、金融緩和政策維持だが、新たな手立てが示されなければ市場の反応は限定的だろう。それよりもECBが金融緩和の出口戦略へ向かう姿勢が見えれば、ユーロ高ドル安となり、ドル安円高も助長される可能性がある。もちろん、出口は遠いとして緩和継続姿勢を強調すればこれまでのユーロ高に対する反動安入りとなり、ドル円にとっても反騰のきっかけになる可能性は多少あるか。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

7月11日深夜高値からの下落で遅行スパンは悪化が続いている。12日に先行スパンから転落した後は、14日に一時的に潜り込む場面もあったが、14日に一段安してから転落状況が継続している。
112円台を回復、維持してジリ高で進めば遅行スパンは好転しやすいが、19日の日中から夜へ安値を更新するようだと好転の機会を失う。112円台前半には先行スパンが構えており、大きな抵抗となりやすい。
19日深夜以降にかけて112.50円を超える上昇へ進めば両スパンが好転してくるため、11日深夜高値からの下落一服、リバウンド入りとなる可能性が考えられるが、先行スパンを突破できない状況が続くうちは、小反発的な下げ渋りがあっても、次の下落で一段安を繰り返しやすいかもしれない。

60分足の14本相対力指数は14日深夜の下落時と18日夜の一段安した時の間では、指数の谷が切り上がる強気逆行の気配となっている。50ポイント超えへ進めば強気逆行として戻しに入りやすくなるが、50ポイントを超えられない内は逆行崩れで一段安へ向かうリスクが残る。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月13日安値を前回のサイクルボトム、14日昼高値を同サイクルトップとし、次の安値形成期となる18日の日中から20日にかけての下落期に入っていると想定される。既に前回ボトムから3日を経過しているのでサイクルボトムをつけての反発注意期に来ているが、19日夜、20日午前にかけてはまだ一段安余地が残る。112.25円超え、さらに112.50円へ到達するような反発に入ればサイクルボトムをつけての上昇期入りとして19日夜から21日午前にかけてリバウンドを試す可能性が出てくると思われる。

以上を踏まえれば、112.20円前後(60分足の26本基準線前後)から112.30円台後半までを戻り抵抗とし、112円台に乗せても維持できずにいるうちは一段安リスクありとし、安値更新の場合は111.50円から111.00円を試すとみる。111.50円以下は突っ込み警戒、反発注意圏だが、安値から0.50円以上を戻せない内は一段安余地が残るとみる。(了)<9:50執筆>

【当面の主な予定】

7/19(水)
日銀金融政策決定会合 20日まで
21:30 (米) 6月住宅着工件数 (5月 109.2万件、予想 116.0万件)
21:30 (米) 6月建設許可件数 (5月 116.8万件、予想 120.1万件)

7/20(木)
08:50 (日) 6月貿易収支 (5月 -2034億円、予想 +4880億円)
10:30 (豪) 6月就業者数、失業率
昼頃  (日)日銀金融政策決定会合 金融政策発表、日銀展望レポート公表
20:45 (欧) 欧州中銀金融政策発表  21:30 ドラギ総裁会見
21:30 (米) 新規失業保険申請件数
21:30 (米) 7月フィラデルフィア連銀製造業指数 (6月 27.6、予想 21.5)

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る