111.50円前後抵抗でのボックス型持合い(4/11)

先週末の4月7日、午前には米軍による突然のシリア空爆(巡航ミサイル59発による攻撃)が発生、

111.50円前後抵抗でのボックス型持合い(4/11)

<概況>

先週末の4月7日、午前には米軍による突然のシリア空爆(巡航ミサイル59発による攻撃)が発生、有事へのリスク回避感から円が買われて110円割れを試したが、ひとまず回避した。7日夜には米雇用統計において非農業部門就業者増加数がわずか9.8万人に止まるドルにとっての弱気サプライズとなって再び110円割れを試したが、これも回避。深夜のNY連銀総裁発言をきっかけとしたドル買い戻しの動きで111円台前半を回復した。
週明けの10日午前は週末の流れを継続して午前には111.50円台を回復、FOMC議事録公開で付けた6日未明高値を上抜いたが、111.50円超えの状況を維持するほどのドル高意欲に欠けて下落、深夜には111円割れとなり、その後も111円台を回復できずに続落気配となっている。
4月3日以降、111.50円前後を抵抗、110円割れは回避するというボックス圏での往来相場が続いており、週末から週明けへの上昇ではこのボックス圏上限を試したが、上抜けて一段高へは進めず、テクニカルな抵抗感から再びボックス下限を試す可能性が強まっている印象だ。

【米連銀の金融引き締め政策スタンス】 

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は10日の講演で、追加利上げについては「緩やかに進めるのが適切」とし、「(利上げの)対応が遅れれば景気過熱に対処するため急激に金利を引き上げざるを得ず、経済に悪影響を及ぼす」との見方を示した。
12月に追加利上げを決定した際に、2017年には3回の利上げを行うとのメンバー予想が最多だった。その後、議長の発言は利上げを遅らせることへのリスクを警戒しつつも、利上げを加速させようという前のめり感には乏しいというスタンスが維持されており、今回の発言もそれを踏襲している。
年内のバランスシート縮小に関して前回のFOMCで議論されたことがFOMC議事録で示されたが、先週末のNY連銀総裁による「バランスシート縮小の際に利上げを停止するのは短期間」という主旨の発言等、金融引き締めへの動きが徐々に進捗してゆく可能性が高まり始めていると市場は受け止め始めている。この日もブラード米セントルイス地区連銀総裁が「年内のバランスシート縮小開始は可能」との発言をしている。

米連銀の追加利上げ、年内のバランスシート縮小開始の可能性については全般的にドル高要因ではあるが、市場も6月FOMCにおける利上げ確率は5割以上と想定しているため、直ちにドル高要因とはなっていない。しかし長期金利上昇やドル指数の上昇基調等、全般的なドル高感が強まりつつあるという印象も継続している。
ドル指数は3月27日から4月7日へと上昇を継続したが、週明けは上昇一服で下落、この日のドル円下落要因となった。

【シリア情勢、北朝鮮情勢】

シリアへの米軍攻撃はひとまず1回だけ、限定的とされているが、今後もシリアが化学兵器を使用する場合は追加の攻撃を行う可能性があると米国は主張している。ロシアとの関係性もぎくしゃくし始めている。また今回のシリアへの攻撃が北朝鮮問題をめぐる米国による中国、北朝鮮への圧力とされているが、オーストラリアへ向かう予定だった米空母が北上するなど、米国側からの威圧的な行動は続いている。
これらに対する株式市場の反応は限定的であり、日経平均は7日の当日、週明け10日も前日比プラスで推移しており、緊張感はさほどない印象だ。しかし、今回のシリア空爆問題も、世界的な外交秩序の混乱化の象徴であり、金融市場全般へのリスク回避感が重くのしかかってきている印象はぬぐえないと思われる。
またトランプ政権のサプライズ的な手法、強硬的な政策決定が同政権の掲げる米国第一主義、保護主義に対する警戒感を拡大させたこともあるだろう。そうしたことがドル円にとっては重石となっている。

【60分足一目均衡表分析】

【60分足一目均衡表分析】

週末の上昇で60分足の遅行スパンが好転(実線を上抜く)、先行スパンも上抜いたのだが、10日午前からの下落が継続したため、11日朝には遅行スパンが悪化(実線を割り込む)、先行スパンからも転落した。このため両スパン悪化中は下向きとみる。
4月3日以降、111.50円前後を抵抗とし、110円割れは回避するというボックス型の持合いで往来しているため、両スパンも好転と悪化を繰り返しているが、既にボックス圏の中心値を割り込んで下半分の領域に入っているため、ボックス下限試し、110円割れをもう一度回避できるかどうかを試す可能性を警戒する。
日中の戻り抵抗は先行スパン下限の110.75〜80円前後までとし、そこは戻り売りにつかまりやすいとみる。

先行スパンへもぐり込み始める上昇の場合は110.90円から111.20円にかけての上昇を想定するが、先行スパンを上抜き返す上昇に至らないうちは小戻り一巡からの下落再開に注意する。
新たな下落材料が出て来なければ日中の110円割れは回避されやすいとみるが、仮に夜間にかけて110円割れへ進む場合は3月27日と4月7日の両安値によるダブル底ラインを割り込むこととなるために大きな下落へ向かいやすくなる点に注意し、その際は当初の下値目途を109円、先行きは108円を目指す可能性を想定する。
110円割れ回避から111円超え、維持へと進む場合はもう一度ボックス上限の111.50円前後試しと、その後の反落注意とみる。(了)<9:45執筆>

【今日から明日への主要イベント】

4月11日 (米) 5:00 イエレンFRB議長、講演
4月12日 (米) 2:45 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
4月12日 (日) 8:50 2月機械受注
4月12日 (中)10:30 中国3月消費者物価指数、生産者物価指数

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