韓国戒厳令騒動後の反騰一巡、150円割れを買われて60分足は三角持ち合いの様相
〇昨日のドル円、夕刻に149.64へ下落後、米10年債利回り上昇で150.69まで戻す
〇本日早朝にかけての米10年債利回り低下、ユーロドル等反騰によるドル安感で149.88へ下落
〇昨日の日銀中村委員の発言と総裁の利上げ継続姿勢により、市場は12月会合での利上げ可能性に警戒
〇ルペン氏の予算成立への楽観見通し等でユーロドル上昇、豪ドル・ポンドドル上昇でドル安優勢に
〇米長期債利回りは上昇後に低下、米主要株価指数は反落
〇150.69超えからは12/4夜高値151.22試しとする
〇149.64割れからは下落継続とみて12/3深夜安値148.64試しを想定
【概況】
ドル円は韓国戒厳令騒動によるリスク回避で3日深夜に148.64円へ急落し、戒厳令撤回による騒動終息見通しや一部国内メディアが日銀の12月利上げ見送り公算を報じたこと等で4日夜に151.22円まで反騰したが、戻り一巡で5日未明に一時150円を割り込む失速となった。
5日午後に中村日銀審議委員が12月利上げの可能性を排除しない姿勢を示したことで夕刻に149.64円へ下落し、夜にかけて米10年債利回りが上昇したことで150.69円まで戻したが、6日早朝にかけて米10年債利回りが低下に転じたことやユーロドル、ポンドドル等の反騰によるドル安感で6日早朝に149.88円へ下落し、6日午前序盤にかけては150円を挟んだ小動きとしている。
5日夜の米新規失業保険申請件数が前週比9000件増と悪化したことに対する市場の反応は鈍かったが、内閣総辞職で政治混乱の続いているフランスで最大野党党首のルペン氏が予算成立への楽観見通しとマクロン大統領弾劾を想定していないと述べたことでユーロドルが上昇し、ポンドドルや豪ドル米ドルも4日からの上昇を続けたことでドル安優勢の流れとなったことがドル円の上値を抑えた印象だ。
米労働省が発表した新規失業保険申請件数は11月30日までの週間で前週比9000件増の22万4000件と悪化して市場予想の21万5000件を上回ったが、失業保険受給者総数は11月23日までの週間で187万1000人となり前週から2万5000人減少した。
日銀の中村審議委員は広島の講演と会見で、利上げについては「経済の回復状況に応じて金融緩和度合いを慎重に調節していくことが重要」とし、利上げ判断のための賃上げについては「まだ持続性に自信を持てていない」、「企業の稼ぐ力の向上による経済の成長軌道回帰への期待に自信が持てる経済構造への変革が必要だが相応の時間がかかる」と慎重姿勢を示したものの、12月会合(12月18-19日開催)における利上げの可能性を排除しなかった。市場が懸念するほどのタカ派姿勢ではなかったものの、11月30日の植田日銀総裁インタビュー記事での利上げ継続姿勢も含めて市場は12月会合での利上げ可能性がまだ残っていると警戒している。
【米長期債利回りは上昇後に低下、米主要株価指数は反落】
12月5日の米長期債利回りは夜にかけて上昇していたものの6日早朝へ失速しており、今夜の米雇用統計を控えて慎重な動きに留まった。
長期金利指標の10年債利回りは一時4.23%へ上昇してから低下に転じて前日比変わらずの4.18%で終了した。11月18日に付けた年初来ピークである4.51%以降の最低とした12月3日の4.17%以降は下げ渋りの動きを続けている。
30年債利回りは4.38%へ上昇してから4.33%へ低下して11月18日の4.68%以降の最低とし、前日比0.01%低下の4.34%で終了した。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは一時4.18%まで上昇してから低下に転じて前日比0.01%低下の4.14%で終了した。12月4日に4.13%をつけて11月22日の4.38%以降の最低としてからは下げ渋っている。
一方で前日に揃って史上最高値を更新した米主要株価指数は雇用統計を控えた利食いで総じて下落した。
NYダウは12月4日に45073.63ドルを付けて取引時間中の最高値とし、終値45014.04ドルで初めて45000ドル台に到達したが、5日は前日比248.33ドル安と反落した。
ナスダック総合指数は12月4日に前日比254.21ポイント高と上昇して3日連続で史上最高値を更新したが、5日は取引時間中の最高値を19790.03まで伸ばしてから失速して前日比34.86ポイント安となり、S&P500指数も6094.55へ取引時間中の史上最高値を更新してから失速して前日比11.38ポイント安となり5日ぶりに反落した。
トランプ次期政権の保護主義政策に対する警戒感があるものの、財務長官人事等は株高に寄与するとして楽観的な上昇トレンドを維持している印象だ。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は12月3日夜安値148.64円で目先の底を付けて反騰したが、4日夜高値151.22円で戻り一巡となり下落期に入っている。4日夜高値を超えないうちは6日夜から10日夜にかけての間への下落余地ありとするが、5日夜高値150.69円超えからは4日夜高値試しとし、高値更新からは3日深夜安値を起点とした上昇の二段目として9日夜から11日夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では150円割れを買われつつ4日夜から5日夜へ戻り高値が切り下がる三角持ち合いの様相のため、5日夜高値150.69円超えからは上向きとして遅行スパン好転中の高値試し優先とし、5日夕安値149.64円割れからは持ち合い下放れとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は4日夜に70ポイント超えへ急伸してから5日夕の40ポイント割れへ反落したが、その後は50ポイントを挟んで揉み合っている。60ポイント超えからは上昇が勢い付くとみて70ポイント台への上昇を想定し、40ポイント割れから続落の場合は下落継続とみて20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月5日夕安値149.64円を下値支持線、5日夜高値150.69円を上値抵抗線とする。
(2)149.64円を上回るうちは一段高余地ありとし、150.69円超えからは4日夜高値151.22円試しとする。米雇用統計をきっかけに急伸する場合は152円前後試しとし、週明けも高値試しを続けやすいとみる。
(3)149.64円割れからは下落継続とみて3日深夜安値148.64円試しを想定する。米雇用統計から急落商状の場合は148円台前半へ下値目途を引き下げ、週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
12/6(金)
14:00 (日) 10月 景気先行指数CI・速報値 (9月 109.1、予想 108.8)
14:00 (日) 10月 景気一致指数CI・速報値 (9月 115.3、予想 117.7)
16:00 (独) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -2.5%、予想 1.2%)
16:00 (独) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 -4.6%、予想 -3.3%)
16:00 (独) 10月 貿易収支 (9月 170億ユーロ、予想 157億ユーロ)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP・確定値 前期比 (改定値 0.4%、予想 0.4%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP・確定値 前年同期比 (改定値 0.9%、予想 0.9%)
22:30 (米) 11月 非農業部門就業者数 前月比 (10月 1.2万人、予想 20.0万人)
22:30 (米) 11月 失業率 (10月 4.1%、予想 4.2%)
22:30 (米) 11月 平均時給 前月比 (10月 0.4%、予想 0.3%)
22:30 (米) 11月 平均時給 前年同月比 (10月 4.0%、予想 3.9%)
23:15 (米) ボウマンFRB理事、講演
24:00 (米) 12月 ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値 (11月 71.8、予想 73.0)
24:30 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、討論会
26:00 (米) ハマック・クリーブランド連銀総裁、講演
27:00 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、討論会
29:00 (米) 10月 消費者信用残高 前月比 (9月 60.0億ドル、予想 100.0億ドル)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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