ドル円見通し 韓国戒厳令騒動一巡、米長期債利回り低下で一時151円台序盤へ上昇(24/12/5)

ドル円は5日未明に149.99円までいったん下げ、5日朝に150.60円台まで戻す展開となった。

ドル円見通し 韓国戒厳令騒動一巡、米長期債利回り低下で一時151円台序盤へ上昇(24/12/5)

韓国戒厳令騒動一巡、米長期債利回り低下で一時151円台序盤へ上昇

〇昨日のドル円、来月日銀会合での利上げ見送り報道等により151.22まで上昇
〇弱めの米指標結果を受け未明に149.99までいったん下げ、本日朝150.60台まで戻す
〇パウエル議長、利下げを急がない姿勢示すにとどまる、米経済は極めて良い状況と発言
〇本日は日銀中村委員の講演と会見、12月利上げへの姿勢に要注目
〇今夜は米貿易収支、新規失業保険申請件数等の発表予定
〇151.22超えからは151円台後半への上昇を想定
〇149.99割れからは下落再開を疑い、149.50割れからは12/3深夜安値148.64試しを想定

【概況】

ドル円は韓国の戒厳令騒動で3日夜に148.64円へ一段安となり11月15日高値156.74円以降の安値を更新したが、戒厳令撤回により騒動が落ち着くとみて買い戻し優勢となり、国内一部メディアが12月18/19日の日銀金融政策決定会合で利上げ見送りの公算と報道したこと等で151.22円まで高値を伸ばした。しかし米ADP民間雇用が予想を下回り、ISMの11月サービス業景況指数も予想を下回ったことで米長期債利回りが低下したために5日未明に149.99円までいったん下げ、5日朝に150.60円台まで戻す展開となった。
FRB高官発言では、セントルイス連銀総裁が12月FOMCで下げ見送りの可能性もあると指摘したことがドル高要因だったが、パウエルFRB議長のイベント討論会での発言は11月14日と同様に利下げを急がない姿勢を示すにとどまり、米経済は極めて良い状況としたことで市場の反応は鈍かった。

12月3日夜安値148.64円から4日夜高値151.22円までの上昇幅は2.58円だが、11月19日夕安値153.28円から20日夜高値155.88円まで2.60円の反発を入れてからその後の大幅下落へ進んだ経緯もある。11月28日からの戻り高値を切り下げて安値を更新する右肩下がりの展開からは抜け出したため、目先は149円台後半を買われつつ戻り高値の切り上げヘ進みたいところだが、週末の米雇用統計を控えていることで上値も限定されやすいかもしれない。
本日は中村日銀審議委員が午前に講演して午後から会見を行うため、12月利上げへの姿勢が積極的かどうか注目される。夜には米貿易収支、新規失業保険申請件数の発表、6日に米11月雇用統計と続く。

【米経済指標は弱め】

12月4日夜の米ADP全米雇用報告では、11月の非農業部門民間就業者数が前月比14万6000人増となり、10月の18.4万人(23.3万人から下方修正)及び市場予想の15万人増を下回った。
米商務省による10米製造業受注は前月比0.2%増で市場予想と一致したが、9月の0.2%減から回復して3か月ぶりのプラスとなった。輸送関連を除き0.1%増、国防関連除き0.3%増だった。
S&Pグローバルによる11月の米サービス業PMI確報値は56.1となり速報の57.0から下方修正されたが、10月確報の55.0を上回った。総合PMI確報値は54.9で速報の55.3から下方修正されたが10月確報値の54.1を上回った。
米サプライ管理協会(ISM)による11月サービス業景況指数は52.1となり前月から3.9ポイント低下して市場予想の55.5を下回った。事業活動が53.7で前月比から3.5ポイント低下、新規受注が53.7で3.7ポイント低下、雇用が51.5で1.5ポイント低下、価格は58.2で0.1ポイント低下した。
米連邦準備制度理事会(FRB)による全米12地区連銀景況報告(ベージュブック)は、「大半の地区で経済活動が若干上向いた」とし、10月の「ほぼ横ばい」から景況判断を上方修正した。

【米長期債利回りは一時上昇後に低下、ダウは3日ぶり最高値更新、ナスダックは4日連続最高値更新】

12月4日の米長期債利回りはセントルイス連銀総裁が12月利下げ見送りに言及したことで一時上昇したものの、ADPやISM等の統計が総じて弱めだったことで低下に転じた。
長期金利指標の10年債利回りは一時4.29%へ上昇してから失速して前日比0.05%低下の4.18%となり、11月18日に付けた年初来ピークである4.51%以降の最低とした3日の4.17%に迫った。30年債利回りは前日比0.05%低下の4.35%、2年債利回りは一時4.21%へ上昇してから失速して前日比0.05%低下の4.13%となり11月22日の4.38%以降の最低を更新した。

一方で米長期債利回り低下とトランプ次期政権へ向けた楽観によりNYダウは前日比308.51ドル高と3日ぶりに上昇して史上最高値を更新、ナスダック総合指数も254.21ポイント高と上昇して3日連続で史上最高値を更新、S&P500指数も36.61ポイント高で4連騰とし、取引時間中及び終値の最高値を更新した。パウエルFRB議長が利下げを急がない姿勢を示したものの「米経済は極めて良い状況」としたことも好感されたようだ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は12月3日夜安値148.64円で目先の底を付けて反騰した。4日夜高値151.22円からいったん150円割れへ失速したものの5日午前へ戻しているのでまだ上昇余地ありとするが、米経済指標次第では戻り一巡による下落再開も懸念されるため、5日未明安値149.99円割れを弱気転換注意とし、149.50円割れからは下落期入りとして6日夜から10日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4日夜への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き、その後の反落時も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は4日夜に70ポイント超えへ急伸し、5日未明の50ポイント割れから戻しているのでまだ上昇余地ありとするが、相場が一段高する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とし、45ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月5日未明安値149.99円を下値支持線、4日午夜高値151.22円を上値抵抗線とする。
(2)149.99円を上回るうちは一段高余地ありとし、151.22円超えからは151円台後半(151.50円から152円手前)への上昇を想定する。152円手前は反落警戒とするが、150.50円を上回っての推移なら6日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)149.99円割れからは下落再開を疑い、149.50円割れからは3日深夜安値148.64円試しを想定する。148.70円以下は反騰注意とするが、149.50円を割り込んだ後も149.75円以下での推移なら6日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)150.23円を超えないうちは一段安警戒とし、3日深夜安値148.64円割れからは148.00円、147.70円前後を順次試す下落を想定する。148円以下はいったん買われやすいとみるが、148.64円を割り込んだ後も149円以下での推移なら5日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

12/5(木)
10:30 (日) 中村日銀審議委員、広島で講演、14:30〜会見
16:00 (独) 10月 製造業新規受注 前月比 (9月 4.2%、予想 -2.0%)
16:00 (独) 10月 製造業新規受注 前年同月比 (9月 1.0%、予想 1.8%)
19:00 (欧) 10月 小売売上高 前月比 (9月 0.5%、予想 -0.3%)
19:00 (欧) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 2.9%、予想 1.7%)
22:30 (米) 10月 貿易収支 (9月 -844億ドル、予想 -750億ドル)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.3万件、予想 21.5万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 190.7万人、予想 190.5万人)

12/6(金)
08:30 (日) 10月 全世帯消費支出 前年同月比 (9月 -1.1%、予想 -2.5%)
14:00 (日) 10月 景気先行指数CI・速報値 (9月 109.1、予想 108.8)
14:00 (日) 10月 景気一致指数CI・速報値 (9月 115.3、予想 117.7)
16:00 (独) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -2.5%、予想 1.0%)
16:00 (独) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 -4.6%、予想 -3.3%)
16:00 (独) 10月 貿易収支 (9月 170億ユーロ、予想 160億ユーロ)

19:00 (欧) 7-9月期 GDP・確定値 前期比 (改定値 0.4%、予想 0.4%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP・確定値 前年同期比 (改定値 0.9%、予想 0.9%)
22:30 (米) 11月 非農業部門就業者数 前月比 (10月 1.2万人、予想 20.0万人)
22:30 (米) 11月 失業率 (10月 4.1%、予想 4.2%)
22:30 (米) 11月 平均時給 前月比 (10月 0.4%、予想 0.3%)
22:30 (米) 11月 平均時給 前年同月比 (10月 4.0%、予想 3.9%)
23:15 (米) ボウマンFRB理事、講演
24:00 (米) 12月 ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値 (11月 71.8、予想 73.0)
24:30 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、討論会
26:00 (米) ハマック・クリーブランド連銀総裁、講演
27:00 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、討論会
29:00 (米) 10月 消費者信用残高 前月比 (9月 60.0億ドル、予想 100.0億ドル)


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