日銀による利上げ観測後退で一時151円台を回復も、不冴な米経済指標で再び反落
〇ドル円、米国時間朝方に151.23まで上昇、時事通信社による日銀金融政策維持観測報道等が背景
〇買い一巡後は米指標の不冴え等で150円台に反落
〇ユーロドル、米国時間朝方に1.0473まで下落するも、米指標不冴え等に1.05台を回復
〇ドル円、テクニカルの地合い弱く、ファンダメンタルズも下落を連想させる材料が揃う
〇引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:149.00ー151.00
海外時間のレビュー
4日(水)のドル円相場は上昇後に反落。アジア時間朝方にかけて、安値149.53まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)急ピッチな下落に対する反動買い(自律反発)や、(2)時事通信社による「日銀が12月の金融政策決定会合で政策維持を決定する可能性がある」との観測報道、(3)上記2を背景とした円キャリートレードの再開期待(日銀による追加利上げ観測後退→円金利低下→円売り)、(4)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支えとなり、米国時間朝方にかけて、高値151.23まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)米11月ADP雇用統計(結果+14.6万人、予想+15.0万人)の市場予想を下回る結果や、(6)米11月総合PMI確報値(結果54.9、予想55.3)の市場予想を下回る結果、(7)米11月ISM非製造業景況指数(結果52.1、予想55.7)の市場予想を下回る結果が重石となり、本稿執筆時点(日本時間12/5午前2時00分現在)では、150.20前後まで値を崩す展開となっております。尚、昨日はセントルイス連銀ムサレム総裁より「金利引き下げのペースが鈍化もしくは停止する時期が近づいている可能性がある」とのタカ派的な発言が見られた他、リッチモンド連銀バーキン総裁からも「正常化は中立金利に向けてより遅く慎重に行う」「やや引き締め的な政策への到達を望む」とのタカ派的な発言が見られましたが、市場の反応は限られました。
4日(水)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。(1)次回ECB理事会での大幅利下げ観測の高まり(欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力)や、(2)フランスを巡る政局不透明感、(3)フィンランド中銀レーン総裁による「ECBの金融緩和は今後数カ月続くと予想」「12月利下げの根拠は増えると見込む」とのハト派的な発言、(4)米当局者(セントルイス連銀ムサレム総裁や、リッチモンド連銀バーキン総裁)によるタカ派的な発言、(5)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0473まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(6)米経済指標の冴えない結果や、(7)欧州株の堅調推移、(8)短期筋のショートカバーが支えとなり、米国時間午後にかけて、高値1.0545まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/5午前2時00分現在)では、1.0520前後で推移しております。尚、昨日はクロアチア中銀ブイチッチ総裁による「不確実性の中で金利変更は少しずつ行う方がよい」との発言や、アイルランド中銀マクルーフ総裁による「0.50%利下げの必要性について慎重に進めることを好む」との発言、ラガルドECB総裁による「利下げを続けるが、ペースについて言及しない」との発言が見られましたが、市場の反応は限られました。
本日の見通し
ドル円は前日12/3に記録した約2カ月ぶり安値148.64をボトムに切り返すと、昨日は一時151.23まで反発しました。しかし、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、200日線、一目均衡表転換線、基準線、雲上限、ボリンジャーミッドバンド)の下側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が消滅したこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱い(上値余地は乏しい)と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀による年内利上げ観測の高まり(昨日は時事通信社による報道を受けて日銀による年内利上げ観測後退→円金利低下→円売りの波及経路が強まりましたが、年内利上げ観測は依然残存)や、(2)米FRBによる年内利下げ観測の織り込み上昇(次回FOMCでの25bp利下げの織り込み度合は75.5%)、(3)上記1、2を背景とした円キャリートレードの巻き戻し懸念、(4)トランプ・トレードからベッセント・トレードへのテーマシフトなど、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています。韓国で発生している「戒厳令」をめぐる騒動も、リスク回避の円買いを通じて、ドル円に下押し圧力を加えるシナリオが想定されるため、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は中村日銀審議委員の講演会・記者会見に加えて、米11月チャレンジャーレイオフ調査や、米10月貿易収支、米新規失業保険申請件数などに注目が集まりそうです。
本日の予想レンジ:149.00ー151.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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