ドル円見通し 151円割れから戻すも152円に届かず失速気配、11月15日起点の円高基調継続か(24/11/29)

ドル円は、29日午前序盤に150円を割り込んでいるため、大幅下落後の買い戻し一巡から下落再開に入っている印象だ。

ドル円見通し 151円割れから戻すも152円に届かず失速気配、11月15日起点の円高基調継続か(24/11/29)

151円割れから戻すも152円に届かず失速気配、11月15日起点の円高基調継続か

〇昨日のドル円、未明からのドル買い戻しで夕刻に151.94まで戻すも、151.50台へ下落
〇貿易戦争への過度の警戒感緩和によるドル買い、その後の米10年債利回り低下が背景
〇米10年債利回り低下と相関した円高、12月の日米政策会合まで継続か
〇本日は米株式、債券、商品市場が短縮取引で材料難
〇150.46割れからは149円台中盤への下落を想定
〇151.50超えからは11/28夕高値151.94試しとする

【概況】

ドル円は米大統領選でのトランプ氏勝利により11月6日安値151.28円から11月15日高値156.74円へ上昇して9月16日安値139.57円以降の高値としたが、トランプ・トレードによるドル買い一巡で19日夕安値153.28円まで反落してから20日夜高値155.88円まで戻したものの勢いが続かず、米トランプ次期政権の財務長官人事やメキシコ・カナダ・中国に対する関税強化政策による先行き不透明感から26日夜への下落で11月19日夕安値153.28円を割り込み11月15日高値156.74円からの下落が二段目に入った。
米長期金利指標の10年債利回りが11月15日に付けた4.505%を当面のピークとして下落に転じ、25日に大幅低下して感謝祭前の27日へ低下傾向を続けたことにより、ドル円も円高優勢の流れが強まり27日夕刻に152円を割り、28日未明に150.46円まで安値を大幅に引き下げた。

151円割れに対する突っ込み警戒感とひとまず150円割れを回避したことで28日未明から買い戻し優勢となり、トランプ氏が「移民流入を止めることでメキシコ大統領と合意した」とXに投稿したことで貿易戦争への過度の警戒感が和らいだとしてドル買いが入り28日夕刻に151.94円まで戻したが、米10年債利回りが時間外取引で低下傾向を示したために152円超えへ進めずに151.50円台へ下落し、29日午前序盤に150円を割り込んでいるため、大幅下落後の買い戻し一巡から下落再開に入っている印象だ。
28日未明安値割れを回避する範囲で押し目形成として28日夕高値を超えれば153円前後を目指すリバウンドへ進む可能性も考えられるが、151円割れからは28日未明安値試しへ向かい、底割れからは円高継続感が増すと思われる。

29日早朝に発表された11月の東京都区部CPI上昇率は生鮮食品除く総合が前年同月比が2.2%となり10月の1.8%から伸びが加速して市場予想の2.1%を上回り、生鮮食品とエネルギーを除くと1.9%となった。インフレ加速の可能性を示すものの水準そのものはまだ低いため、市場の反応は鈍い。
本日は米国市場が感謝祭翌日のため為替市場は通常取引だが、米株式、債券、商品市場が短縮取引となり手がかりに欠ける。

【米10年債利回り低下と相関した円高】

米長期金利指標の10年債利回りは9月17日の3.60%を起点として上昇し、米大統領選でのトランプ氏勝利からの急伸で11月15日に4.505%まで高値を伸ばしたが、25日の急落から27日へ一段と低下したことにより、日足一目均衡表の26日基準線を割り込み、遅行スパンも悪化しつつある。11月15日からの下落規模は4月25日の4.74%から9月17日まで大幅低下が続いた時に近い勢いもあり、少なくとも9月17日以降の上昇トレンドが終了して低下期に入った印象だ。

ドル円は米10年債利回り動向と概ね正相関で推移しており、9月16日から11月15日への上昇時は米10年債利回りの上昇と同期し、その後の下落は米10年債利回りの低下開始と同期している。11月27日に日足で前日比1.98円安、当日高値から安値まで2.77円の下落規模の大陰線で上昇トレンドにおける重要支持線である26日移動平均や一目均衡表の26日基準線を割り込んだ流れも米10年債利回りと同様である。
11月15日高値から27日安値までの下げ幅は6.28円となり52日移動平均に迫った。政府日銀の市場介入で4月29日高値160.16円から5月3日安値151.85円まで下げ幅8.31円とした時よりも規模は小さく、5月3日安値では52日移動平均までの下げから反騰入りした経緯もある。

ドル高ないし円売り材料がでて152円台を回復すれば押し目形成からの上昇再開期待も出てくると思われるが、27日の大陰線に対して下側に首を突っ込む程度の動きに留まるうちは下げ渋りが続かずにさらに一段安へ進み、7月7日高値161.94円から8月5日安値141.69円へ急落した時に近い下落規模となることも懸念される。
当面、12月17/18日の米FOMC(19日早朝に政策金利発表、パウエル議長会見)、12月18/19日の日銀金融政策決定会合(19日昼頃に政策金利発表、午後に植田総裁会見)までは円高傾向が続きやすいのではないかと思われる。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は11月28日未明安値150.46円を目先の底として反騰したが、28日夕高値151.94円まで戻してから失速して29日午前序盤には151円割れを試しているため、戻り一巡により28日夕高値を起点として下落期に入った印象だ。28日未明安値割れを回避して151.50円超えへ反騰する場合は上昇継続とみて28日午後から12月2日午後にかけての間への上昇を想定するが、28日未明安値を割り込む場合は12月3日未明から5日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では28日夕への上昇で遅行スパンが一時好転したものの先行スパン下限に上値を抑えられ、29日午前序盤への下落で遅行スパンが再び悪化しつつあるため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。28日未明安値割れを回避して先行スパンへ潜り込むところからは反騰継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は28日夕への上昇時に50ポイントを超えたものの60ポイントには届かず、29日午前序盤に30ポイント台序盤へ低下している。45ポイント超えからは反騰入りの可能性ありとして50ポイント台前半への上昇を想定するが、50ポイント台は戻り売り有利とし、30ポイント割れからは10ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、28日未明安値150.46円を下値支持線、28日夕高値151.94円を上値抵抗線とする。
(2)151.50円前後は戻り売り有利とし、151円割れから28日未明安値150.46円試しとし、150.46円割れからは149円台中盤(149.65円から149.35円)への下落を想定する。149.50円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は149円台序盤へ進み、週明けも続落する可能性が高まると注意する。
(3)151.50円超えからは28日夕高値151.94円試しとする。高値更新へ進めずに151円を再び割り込む場合は下落再開とするが、152円台へ到達した後も151.50円を上回っての推移なら週明けは高値試しへ向かうとみる。

【当面の予定】

11/29(金)
米国(ブラックフライデー) 株式・債券市場は短縮取引
14:00 (日) 10月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (9月 -0.6%、予想 -2.0%)
14:00 (日) 11月 消費者態度指数・一般世帯 (10月 36.2、予想 36.5)
16:00 (独) 10月 小売売上高 前月比 (9月 1.2%、予想 -0.5%)
16:00 (独) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 0.9%、予想 3.3%)
17:55 (独) 11月 失業率 (10月 6.1%)
19:00 (欧) 11月 HICP(調和消費者物価指数)速報値 前年同月比 (10月 2.0%、予想 2.3%)
19:00 (欧) 11月 コアHICP速報値 前年同月比 (10月 2.7%、予想 2.8%)


注:ポイント要約は編集部

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