米大統領選後の急伸に対する4分の3押しから反騰するも154円手前で失速
〇昨日のドル円、ドル高優勢の流れが再び強まり、夜に153.95へ上昇
〇日銀「主な意見」追加利上げに慎重姿勢がドル円反騰継続に寄与
〇欧州市場時間でのユーロドル急落、ポンド等の連れ安もドル高を加速
〇13日の米CPI、14日FRB議長講演を控え、11/6安値から11/7高値のレンジ内で方向性探る展開か
〇153.95超えからは7日午前高値154.71を試す上昇を想定
〇153円割れからは下落継続とみて152円台前半への下落を想定
【概況】
ドル円は10月6日の米大統領選挙開票でのトランプ氏優勢報道により6日午前安値151.28円から154円台到達へ急伸し、トランプ氏当確で7日午前に154.71円まで上昇したが、米大統領選に関する買い一巡で下落に転じ、8日早朝のFOMCが0.25%利下げを決定して追加利下げ姿勢も示したことで8日夜安値152.14円まで下落した。6日午前からの急騰幅に対して凡そ4分の3を削ったが、週明けはドル高優勢の流れが再び強まったことで11日夜高値153.95円へ上昇し、12日午前序盤も153円台後半に付けている。
11月6日安値で26日移動平均や一目均衡表の26日基準線割れを回避して一段高し、その後のやや深い押し目形成から上昇を再開している印象であり、9月16日安値139.57円を起点とした上昇トレンドの継続感が強まっている印象だが、13日の米CPIや14日のパウエルFRB議長講演を控えており、6日午前安値から7日午前高値までのレンジ内で方向性を探る展開が続きやすいところか。
11日の日中は午前に公開された日銀金融政策決定会合(10月30-31日開催)の「主な意見」で追加利上げに慎重姿勢が示されたことがドル円の反騰継続に寄与した。
日銀金融政策決定会合「主な意見」では、「経済物価見通し実現なら利上げしていくというコアメッセージ発信が重要」としたが、「中期的な金利パスを自信をもって示すこと難しい」、「進捗を見守る時間が今回はある」、「この先の政策金利引き上げは時間かけて慎重に行う必要」等と追加利上げへの慎重姿勢を示した。7月31日の利上げ時に急激な円高株安を招いたこともあり、「為替大きく変動する可能性あり利上げでショック生じれば正常化に支障」と教訓付けた。
欧州市場時間入りしてからユーロドルが急落してポンド等も連れ安となった事もドル高優勢の流れを加速させた。ユーロドルは11日夜に1.0628ドルへ下落して9月25日高値1.1213ドル以降の安値を更新した。凡そ4か月半ぶりの安値であり、ドイツの連立政権崩壊がユーロ売りを誘った。ドイツ与党はショルツ氏率いる社会民主党(SPD)と緑の党、自由民主党(FDP)の3党連立だったが予算案対立によりFDPが連立を離脱したことで政局混乱を招いている。
米国市場はベテランズデー(退役軍人の日)の休日で株式市場と商品市場は通常取引、為替と債券は休場だったが、来年1月からのトランプ政権発足による大型減税や規制緩和への期待感からNYダウは一時500ドル近い上昇となり史上最高値を更新し、関税強化によるインフレ再燃と米FRBによる利下げペース鈍化見通しがドル高感を強めてゴールドが急落する一方、暗号資産(仮想通貨)への規制緩和期待でビットコイン(BTC)は一時8万8000ドルに達して史上最高値を更新している。
【米債券市場は休場、米主要株価指数は連日の史上最高値更新】
11月11日の米債券市場は休場だったが、米主要株価指数は揃って大幅続伸して史上最高値を更新した。
NYダウは前日比304.14ドル高と上昇、8日の259.65ドル高からの連騰で取引時間中の史上最高値を44486.70ドルへ伸ばし、終値も2日連続で最高値更新とした。ナスダック総合指数は前日比11.98ポイント高で5日から5連騰として取引時間中及び終値の史上最高値を更新、S&P500指数も5.81ポイント高と小幅上昇だったが5日から5連騰とし、取引時間中及び終値の史上最高値を更新した。
日経平均は11日時点で4万円の壁を超えていないが米国株高に支えられて確りしており、株高が円安に寄与する展開が続きやすい状況と思われる。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は11月6日午前安値151.28円から7日午前高値154.71円まで上昇幅3.43円とし、8日夜安値152.14円まで下げ幅2.57円として急騰幅の4分の3を削ったが、11日夜高値153.95円まで上昇幅1.81円として反落幅の7割を解消した。
8日夜安値を起点とした上昇期に入り、7日午前高値超えへ挑戦する流れと思われるが、13日の米CPIや14日のFRB議長講演等も控えているため、6日午前安値から7日午前高値までのレンジ内で揉み合う可能性もありそうだ。
154円超えからは上昇継続として12日の日中から14日午前にかけての間への上昇を想定し、153円割れから続落する場合は8日夜安値試しへ向かい、8日夜安値を割り込む場合は13日夜から15日夜にかけての間への下落と6日午前安値試しを想定する。
60分足の一目均衡表では11月11日夜への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、その後は伸び悩みのため遅行スパンは悪化しやすい位置にある。先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンから転落する場合はいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は11日夕刻から夜への上昇時に指数のピークが切り下がる弱気逆行気配がみられて50ポイント台へ低下している。50ポイントを割り込んでも60ポイント超えへ切り返すところから上昇再開とするが、45ポイント割れからは下落継続とみて30ポイント台前半への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、153.00円を下値支持線、11日夜高値153.95円を上値抵抗線とする。
(2)153.30円を上回るうちは上昇余地ありとし、153.95円超えからは7日午前高値154.71円を試す上昇を想定する。154.71円前後は反落注意とするが、ドル高が勢い付く場合は155円超えを試す可能性もあるとみる。
(3)153.30円割れから続落の場合は下向きとし、153円割れからは下落継続とみて152円台前半への下落を想定する。152.35円以下は反騰注意とするが、153円を下回っての推移なら13日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
11/12(火)
16:00 (独) 10月 CPI(消費者物価指数)改定値 前月比 (速報 0.4%)
16:00 (独) 10月 CPI(消費者物価指数)改定値 前年同月比 (速報 2.0%)
16:00 (英) 9月 失業率・ILO方式 (8月 4.0%、予想 4.1%)
19:00 (独) 11月 ZEW景況感 (10月 13.1、予想 13.0)
19:00 (欧) 11月 ZEW景況感 (10月 20.1)
24:00 (米) ウォラーFRB理事、講演
24:15 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
28:00 (米) FRB、銀行上級融資担当者調査結果発表
11/13(水)
07:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
07:30 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
08:50 (日) 10月 国内企業物価指数 前月比 (9月 0.0%、予想 0.1%)
08:50 (日) 10月 国内企業物価指数 前年同月比 (9月 2.8%、予想 2.9%)
09:30 (豪) 7-9月期 賃金指数 前期比 (4‐6月 0.8%、予想 0.9%)
22:30 (米) 10月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (9月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (9月 2.4%、予想 2.6%)
22:30 (米) 10月 コアCPI(食品エネルギー除く) 前月比 (9月 0.3%、予想 0.3%)
22:30 (米) 10月 コアCPI(食品エネルギー除く) 前年同月比 (9月 3.3%、予想 3.3%)
23:45 (米) ローガン・ダラス連銀総裁、会議挨拶
27:00 (米) ムサレム・セントルイス連銀総裁、講演
27:30 (米) シュミッド・カンザスシティ連銀総裁、講演
28:00 (米) 10月 月次財政収支 (9月 643億ドル)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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