自民党総裁選の結果受け、下値リスク再燃か
〇本日のドル円、144.80レベルで寄り付き当初はレンジ取引、上放れると146円台まで1円以上も急伸
〇自民党総裁選の結果を受けて売りが殺到、一時143円台前半まで3円を超える急落をたどる
〇ドル円は143.40前後に位置する移動平均の21日線を下回る、ドルの下値リスク再燃か
〇次の自民党総裁は石破氏に決定、じっくりと政策を見極める必要があるが、円高有利の可能性も
〇欧米時間のドル円予想レンジは142.20-144.20、ドル高・円安方向は移動平均の21日線が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、143円をめぐる攻防にまずは注目
<< 東京市場の動き >>
東京市場は最終的にドル大幅安。自民党総裁選をにらみ荒れた値動きで、右往左往する激しい展開となったが、最後はドル急落で引けている。
ドル/円は144.80円レベルで寄り付いたのち、当初はレンジ取引。145円台を中心として底堅いながら、上値も重かった。そののちレンジを上放れすると、146円台まで1円以上も急伸したものの、最終盤に報じられた自民党総裁選の結果を受けて失望売りが殺到。一時143円台前半まで、短時間で3円を超える急落をたどり、16時現在ではそのままドル安値圏で欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「自民党総裁選」と「ウクライナ情勢」について。
前者は、以前から報じているように、高市早苗候補と言えば早急な日銀の利上げの反対論者などとして知られているが、本日の産経新聞朝刊が「自民・麻生副総裁、総裁選で高市氏支持へ」と報道。次期総裁になるとの期待も高まりつつあり、それが昨日欧米時間のドル/円の145円台回復、そして本日東京でさらに続伸し146円を付けた原動力になっていたことは間違いない。しかし、最後の決戦投票で石破氏に敗れ、次の自民党総裁は石破茂氏に決定。これを受け、先でも指摘したように、ドル/円は短時間で一時3円を超える急落。大幅なドル安・円高が進行していた。
後者は、バイデン米大統領が訪米していたウクライナのゼレンスキー大統領と会談を実施。そこで新たに80億ドル超の軍事支援をすると伝えた一方、米欧製の長距離射程兵器を使ったロシア領内への攻撃の容認は見送ったと伝えられていた。前日、プーチン露大統領は「西側諸国から提供された通常兵器の攻撃受ければ核使用を検討」とした核恫喝コメントを発しており、それが影響を及ぼした可能性もある。なお、そうしたなかゼレンスキー氏の外交姿勢などに何かと不満を示していたトランプ氏だが、ゼレンスキー氏から依頼があり、「27日に会談する」と発言としていた。
<< 欧米市場の見通し >>
絵に描いたような見事なちゃぶ台返しだ。ドル/円相場は東京午後に146円半ばと、3日以来の高値圏まで上昇していたものの、それがそののち数分で完全に瓦解した。東京16時時点では143.20円前後で推移している。以前にもレポートした移動平均の21日線は足もと143.40円前後に位置し、ザラ場ベースながら再び下回ってきた。またぞろ、ドル上値トライの「ダマシ」観測が高まっているようだ。いま少し動静を見極めたいが、それでもあまりドルを積極的に買っていく気にはならないだろう。
本日東京時間の夕方に決着を見た自民党総裁選は、石破茂氏の勝利で幕引きとなった。ちなみに、その対抗馬だった高市早苗氏は「積極財政派」、「利上げ反対派」などで知られるが、果たして石破氏はどうなのだろう。まず8月7日発売の著書をみると、「異次元の金融緩和の長期化で国の財政と日銀の財務が悪化した」と指摘していた。つまりは「緊縮財政派」か。さらに7月27日の講演会で、為替市場についても当時の円安を『円弱』だと指摘して是正を訴えたほか、金利を上げる必要性があると主張していたことが明らかになっている。まだこれからじっくりと政策などを見極める必要はあるものの、上記からすると為替市場は中長期スパンでも円高有利の可能性もある。
テクニカルに見た場合、ドル/円は145円を上限としたレンジを一時上抜けしたものの、その後の展開を見ると明らかな「ダマシ」。むしろ143円あるいは142.50円という同下限割れが意識されている。一転してドルの下値リスクが再燃したことは間違いない。取り敢えずは143円をなんとか維持しているものの、下回ると少し遠いが20日安値の141.74円がターゲットに。それも下回ると、いますぐではないにせよ140円割れが再び視界内に捉えられそうだ。
本日は米経済指標として、8月のPCEデフレーターや9月のミシガン大学消費者信頼感指数確報などが発表される予定となっている。また、本日はそれ以外にも米国を中心とした通貨当局者の講演など発言機会が多数予定されており、そちらにも注意を払いたいところだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは142.20-144.20円。ドル高・円安方向は、足もとザラ場ベースで割り込んでいる移動平均の21日線が最初の抵抗。しっかり超えれば、ドルは目先下げ止まり、底堅く推移する可能性もあるが果たして。
対するドル安・円高方向は、東京夕方段階で割り込んでいない143円をめぐる攻防にまずは注目。割り込むと、25日安値の142.89円さらに142円半ばなどが次のターゲットに。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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