上昇後に反落するなど冴えない動き。堅調な米2年債入札を受けた米金利低下が重石に
〇ドル円、欧州朝方の高値145.18から米国時間午後にかけ143.92まで反落
〇リッチモンド連銀製造業指数等の米指標の不冴えと米長期金利低下がドル円の重石に
〇ユーロドル、欧州債利回り上昇と米長期金利低下に1.11台後半で底堅い動き
〇ドル円、主要テクニカルポイントの下で推移、強い売りシグナルも成立、地合い弱い
〇一方で本邦追加利上げ観測後退、FRBによる大幅利下げ観測後退を背景に円キャリー再開期待強まる
〇引き続き、ドル円相場の一巡後の持ち直しをメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:143.50ー145.00
海外時間のレビュー
27日(火)のドル円相場は上値の重い展開。(1)米金利上昇に伴うドル買い圧力や、(2)上記1を背景とした円キャリートレードの再開期待、(3)日経平均株価の堅調推移が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値145.18まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)米8月リッチモンド連銀製造業指数(結果▲19、予想▲14)の市場予想を下回る結果や、(5)米2債入札の堅調な結果(最高落札利回り3.874%、応札倍率2.68倍)、(6)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、米国時間午後にかけて、安値143.92まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/28午前6時20分現在)では、144.00前後で推移しております。尚、昨日発表された米8月コンファレンスボード消費者信頼感指数(結果103.3、予想100.7)は6カ月ぶり高水準を記録しましたが、ドル買いでの反応は限定的となりました。
27日(火)のユーロドル相場は底堅い動き。(1)米金利上昇に伴うドル買い圧力や、(2)中東情勢を巡る地政学的リスク、(3)ドイツ9月GFK消費者信頼感(結果▲22.0、予想▲18.2)の冴えない結果が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.1150まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)欧州の主要株価指数の堅調推移や、(5)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力、(6)オランダ中銀クノット総裁による「来月の利下げを支持するか否かを決める前にさらなるデータを待つ必要がある」との慎重な発言、(7)米2債入札の堅調な結果、(8)米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.1191まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/28午前6時20分現在)では、1.1185前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時145.18まで上昇するも、米国勢参入後に143.92まで反落する結果となりました。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの下側で推移していることや、強い売りシグナルを「短期線と中長期線のデッドクロス」「一目均衡表三役逆転」で成立していること、4時間足などの下位足でも強い売りシグナル(弱気のパーフェクトオーダー、一目均衡表三役逆転)が点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)日銀が追加利上げに踏み切ることは現実的に難しいと考えられること(植田日銀総裁は先週の衆院財務金融委員会閉会中審査で「見通しの確度が高まっていくことが確認できたら金融緩和の度合いを調整していくという基本的な姿勢に変わりはない」とタカ派的なスタンスに固執する姿勢を見せたものの、一方で「私と内田副総裁の考え方に違いはない」とも述べるなど、金融市場の不安定化を招く場合には、追加利上げは行わない方向性も強調)や、(2)米FRBによる大幅利下げ観測の後退(次回9月FOMCでの25bp利下げは確実視されているものの、米経済のハードランディング懸念が後退する中、通常時の2倍の50bpの大幅利下げに追い込まれるネガティブシナリオ発生の可能性は低下傾向)、(3)上記1、2を背景とした円キャリートレードの再開期待、(4)株式市場の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の一巡後の持ち直しをメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:143.50ー145.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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