目先の安値を付けた動き(週報2016年1月第5週)

目先の安値を付けた動き、ただし戻り売りは出やすい

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目先の安値を付けた動き(週報2016年1月第5週)

前週の主要レート(週間レンジ)

      始値      高値     安値     終値

ドル円   117.01    118.88    115.97     118.78
ユーロ円  127.74    128.56    126.17    128.25    
ユーロドル 1.0917    1.0976    1.0776    1.0798
日経平均 16826.93    17088.31   16017.26   16958.53

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

1月18日(月)
 早朝こそ週末NY市場の動きからドル安先行の動きとなりましたが、東京勢が参入してくる時間には落ち着いた動きとなってきました。月曜は米国市場が休場ということで週末の段階でポジション調整が進んでいたこともあったのでしょう、東京市場から海外市場を通してドル円は117円台前半を中心に底堅いながらも狭いレンジでのもみあい。ユーロドルも1.09手前の水準で動意の無い一日となりました。

1月19日(火)
 東京市場から株式市場、為替市場ともにリスクオフ姿勢が弱まっていることから買いが先行し、ドル円はそのまま水準を切り上げ、LDN市場では高値118.12レベルを付けました。しかし、NY市場に入り夜間取引で上げていたNYダウが一転売りに転じたことからドル円も下落、東京前場の水準に押しての引けとなりました。ユーロドルも基本的にはドルの動きとしてドル円同様の動きとなりましたが、ポンドは英中銀総裁の利上げに否定的な発言をきっかけに反落、ポンドが主要通貨に対して弱含む動きとなりました。

1月20日(水)
 朝からリスクオフの強まる展開となりました。特に株式市場は中国株以上に日経平均が下げを強める展開となり、株価を見て為替市場は円買いで反応。ストップオーダーがきっかけとなって117円割れ。その後も株価とともに下げる一方の流れとなり、欧州市場序盤には昨年8月安値を割り込み、一時115.97レベルと昨年1月以来の安値を付けました。その後、政府筋から市場を注視するとのコメントに急速に水準を切り上げ117円近くまで戻したものの、NY市場ではダウが大幅安、225先物も夜間取引で16000円の大台を割り込む荒っぽい動き。ドル円も116円台前半へと押しましたが、引けにかけて株価が急速に買い戻され117円近くに戻しての引けとなりました。

1月21日(木)
 ドル円は株価に振らされる展開を続けました。東京前場こそ前日NY市場の流れを受けて株の買い戻しが先行、それに引っ張られてドル円も上昇傾向となりましたが、後場以降売りが強まり225先物の夜間取引で豚旅16000円の大台割れ、ドル円も116円台半ばへと水準を切り下げました。しかしその後は買いに転じ、117円台後半へと買われてのクローズ。いっぽう、ユーロドルはドラギ総裁が会見で3月追加緩和を示唆する発言を行ったことで対ドル、対円で急落、それぞれ1.0776レベル、126.17レベルの安値を付けました。しかし、12月より踏み込んだ追加緩和は無いとの思惑から買い戻され短時間に下げる前の水準へ戻し、底堅い地合いでの引けとなりました。

1月22日(金)
 前日まで続いていたリスクオフの動きに対して巻き返しの一日となりました。日経平均株価は前日の先物夜間取引で2度目の16000円割れをトライした後に反転した動きを受け、日中、引け後の夜間取引を含め一貫して買われる動きとなりました。NY市場では17000円台も回復、ドル円も118円台半ばへと一段高の展開。特にNY原油は東京時間の29ドル台半ばから32ドル台へと急伸、前日のECB追加緩和思惑をきっかけに、これまでのリスクオフ姿勢が急速に落ち着きを取り戻す展開での週末クローズとなりました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。FRB地区連銀総裁講演の内、2016年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。

1月25日(月)
**:** NZ市場休場
08:50 本邦12月貿易収支
09:30 豪州12月NAB企業景況感
18:00 ドイツ1月ifo景気期待指数
23:30 米国1月ダラス連銀製造業活動指数

1月26日(火)
**:** 豪州市場休場
19:45 カーニー英中銀総裁講演
23:00 米国11月ケースシラー住宅価格指数
23:00 米国11月住宅価格指数
23:45 米国1月MarkItサービス業PMI速報値
24:00 米国1月消費者信頼感指数
24:00 米国1月リッチモンド連銀製造業指数
**:** FOMC(〜27日)

1月27日(水)
09:30 豪州10〜12月期CPI
16:00 ドイツ2月GFK消費者信頼感
16:45 フランス1月消費者信頼感指数
24:00 米国12月新築住宅販売件数
24:30 米国週間原油在庫発表
28:00 FOMC結果発表
29:00 NZ政策金利発表

1月28日(木)
09:30 豪州10〜12月期輸入物価指数
**:** 南ア中銀政策金利発表(50bp利上げ予想)
18:30 英国10〜12月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏1月消費者信頼感確報値
22:00 ドイツ1月CPI速報値
22:30 米国12月耐久財受注
22:30 米国新規失業保険申請件数
24:00 米国12月中古住宅販売保留件数指数
**:** 日銀金融政策決定会合(〜29日)

1月29日(金)
08:30 本邦12月CPI、1月東京区部CPI
08:30 本邦12月失業率、有効求人倍率
09:05 英国1月GFK消費者信頼感
**:** 日銀金融政策決定会合結果発表
15:30 黒田日銀総裁会見
15:30 フランス10〜12月期GDP速報値
17:00 スペイン10〜12月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏1月CPI速報値
22:30 米国10〜12月期GDP速報値
23:45 米国1月シカゴ購買部協会景気指数
24:00 米国1月ミシガン大消費者信頼感指数確報値
29:30 (サンフランシスコ連銀総裁講演)

今週の週間見通し

先週はドル円が一時115円台、日経平均は先物夜間取引で16000円割れ、NY原油も26ドル台前半と、多くの市場で行き過ぎ感から短期的な自律反転の動きにつながったかと思います。もちろん、今週のFOMCや日銀金融政策決定会合といったイベントを前にしたポジション調整という面もありますが、これ以上崩れたらどうなってしまうのかというぎりぎりのところで反転してきました。

ドル円はサポートを次々と下抜け、残す大きなサポートは2015年1月の安値となった115.57レベルのみとなり、仮にここを下抜けるともはや目立ったサポートというものは存在しない状況です。

他の市場も同様で、既にNY原油は安値が見えない状況となっていましたが、日経平均には16000円台前半は大きな節目となっています。2013年12月の高値が16320.22で、その後14000円割れを試した後に、再び16000円台前半を上抜けてからは2015年8月高値20946.93まで一気に上げてきた値動きですし、2014年はNISAの始まった年で、1月始値は16147.54と新たな個人投資家が市場に参入してきた水準と重なり、政策的にも16000円が大きな節目と考えられているからです。

そうした、水準を前にあるいは一時的にトライしたもののイベントを前に反転したことで、短期的には底入れをしてきた可能性が高いと考えられます。ただ、中長期的には中国に対する懸念や、着実に円買いポジションを増やしているシカゴ筋(IMMの建玉、ヘッジファンドの状況をよく示している)の状況等を考えると、これで底を打ったという確信は持てません。今週の日銀金融政策決定会合でポジティブサプライズがあり、水準を大きく変えてくる可能性はまだ低いと思えますので、そうなると、ドル円は目先は戻り売りの限界点を探している段階にあると考えた方が自然です。

ドル円日足チャートをご覧ください。

チャートを見ると、それまでのドル安・円高トレンドから水曜の安値、金曜大きな陽線と明らかに転換してきた動きであることがわかります。今週は金曜の日銀金融政策決定会合に向けどの程度の買い戻しが入るかということになるのですが、12月18日高値123.57レベルと1月20日安値115.97レベルからフィボナッチ比による戻しを計算すると、最初の38.2%戻しが118.88レベル、半値戻しが119.77レベルとなっています。

後者は新たな材料なしには到達困難な水準ですが、前者は金曜高値と完全に一致します。もし、金曜までに思惑的な円安の動きが出ないと週初高値となる可能性があることには、テクニカルな面から注意が必要です。もうひとつ日柄的にも1月26日前後はいったんドルの高値を付けやすい時間帯となっています。現実的には、119円台に乗せても一時的な動きとなり、その後やや下押しする可能性を見ることが妥当ではないかと考えています。

今週は117.40レベルをサポートに、119.10レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

            ドル円(日足)チャート

            ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。

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