ドル円 先週後半のレンジ内で押し目買いが妥当か(週報5月第4週)

先週のドル円は、138.75レベルまでドル高が進みましたが、週末には債務上限問題の交渉が難航しているとの見方から137円台半ばまで下押しする場面も見られました。

ドル円 先週後半のレンジ内で押し目買いが妥当か(週報5月第4週)

先週後半のレンジ内で押し目買いが妥当か

〇先週のドル円、債務問題楽観がドル買い材料、強い日本株が円安材料に138.75レベルまでドル高進行
〇日本株は33年ぶりの高値をつける動きでドル円最大の買い材料に
〇本日22日午後(現地時間)のバイデン・マッカーシー会談に要注目
〇常識的には月内決着は先に決まっていると考えられ、大きくドルが値を下げるということは無いか
〇今週はFRB関係者講演、米PMI速報値、FOMC議事録公表、個人消費支出等が発表予定
〇136.70レベルをサポートに、138.70レベルをレジスタンスとする流れと見る

今週の週間見通し

先週のドル円は、前週金曜のドル買いの動きを継続し週初から底堅い展開が続き、債務上限問題の協議が進んでいることもドル買い材料となりましたし、日本株が強くリスクオンの動きは円安材料となりました。木曜には138.75レベルまでドル高が進みましたが、週末には債務上限問題の交渉が難航しているとの見方から137円台半ばまで下押しする場面も見られました。

日本株はTOPIXに続き日経平均株価も続伸し2021年高値を更新、1990年以来33年ぶりの高値をつける動きとなりました。この株高の動きがドル円最大の買い材料になっていたと思いますが、他にも日銀が緩和姿勢維持に言及、債務上限問題が週内にも決着するのではないかといった期待もドル円を押し上げることとなりました。

ただ、債務上限問題は金曜時点で難航が伺われ、本日22日午後(現地時間)にバイデン・マッカーシー会談でどのような話になるのかを見た上での判断にはなるものの、常識的には月内に決着するという結果だけは先に決まっていると考えられ、市場を取り囲む環境を考えると大きくドルが値を下げるということは無いと見られます。

今週は他にも重要なイベントとして、FRB関係者講演、PMI速報値、FOMC議事録公表、個人消費支出と連日何かしらあるため、それなりに振れる要因にはなってくるでしょうが、先週のドル上昇スピードが速かったため、調整を挟んで改めて丁寧に買っていくという動きがメインシナリオとなりそうです。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

先週示した5月高値と安値の78.6%(61.8%の平方根)戻しの136.85を上抜け、5月高値もあっさりと上抜けたことで短期筋が買いを強めた動きだったと言えますが、大きくはピンクの平行線で示した上昇チャンネル内での動きになってきたと見られます。下方向にだいぶ余裕がありますが、サポートとしては5月安値と高値の38.2%押し136.73を考えておくとよいでしょう。

先週ターゲットと考えた水準を上抜けたので今週は同水準がサポートとなりやすいという見方にもつながります。いっぽうで、本日のバイデン・マッカーシー会談ですぐにまとまるとも思えませんが、何か楽観的な見方が出てくれば先週高値圏に戻しやすいというところでしょう。今週は136.70レベルをサポートに138.70レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。


5月22日(月)
18:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
18:00 ユーロ圏3月建設支出
20:30 オーストリア中銀総裁講演
21:30 (セントルイス連銀総裁講演)
23:00 ユーロ圏5月消費者信頼感速報値 ☆
23:15 レーンECB理事講演 ☆
23:15 フランス中銀総裁講演
24:05 (サンフランシスコ連銀総裁、アトランタ連銀総裁、リッチモンド連銀総裁講演)
26:30 スペイン中銀総裁講演
**:** バイデン・マッカーシー会談 ☆

5月23日(火)

16:15 フランス5月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
16:15 デギンドスECB副総裁講演 ☆
16:30 ドイツ5月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:00 ユーロ圏5月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 英国5月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
22:00 ダラス連銀総裁講演 ☆
22:45 米国5月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
23:00 米国5月リッチモンド連銀製造業景況指数
23:00 米国4月新築住宅販売
26:50 ドイツ連銀総裁講演 ☆

5月24日(水)
11:00 NZ中銀政策金利発表 ☆
15:00 英国4月CPI ☆
17:00 ドイツ5月ifo企業景況感
17:00 南ア4月CPI
22:00 英中銀総裁講演 ☆
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC議事録公表 ☆

5月25日(木)
15:00 ドイツ1〜3月期GDP改定値
15:00 ドイツ6月GFK消費者信頼感
15:45 フランス5月企業景況感
18:30 南ア4月PPI
20:00 トルコ中銀政策金利発表
**:** 南ア中銀政策金利発表 ☆
21:30 米国1〜3月期GDP改定値 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数
23:00 米国4月住宅販売保留件数

5月26日(金)
**:** 香港市場休場
08:30 本邦5月東京区部CPI ☆
10:30 豪州4月小売売上高
15:00 英国4月小売売上高
15:45 フランス5月消費者信頼感
21:30 米国4月個人所得・消費支出 ☆
21:30 米国4月卸売在庫、耐久財受注
23:00 米国5月ミシガン大消費者信頼感

5月28日(日)
**:** トルコ大統領選決選投票 ☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

5月15日(月)
明けのドル円は前場は日経平均株価が続伸する動きとともにリスクオンの円安となりましたが、利食い売りも出て136円台に乗せてからは小動きとなっていました。欧州市場で再度円安の動きが出て136.32レベルの高値をつけたもののNY市場に入り発表された経済指標が予想よりもかなり弱く135.63レベルまで反落。しかし、債務上限協議を前にすぐに買い戻しも出て136円に乗せて引けました。

5月16日(火)
ドル円は前日から136円台乗せでの売りが出ていたこと、債務上限問題協議が開かれることの警戒感からやや上値の重たい展開が続き135円台後半でのNY市場入り。最初に発表された小売り売上高が予想よりも弱く135.65レベルまで下押ししたものの、その後発表された鉱工業生産と住宅市場指数が予想よりも強く前日高値を上抜け、136.68レベルの高値をつけました。しかし債務上限問題の協議に進展がなかったことから後が続かず、136円台前半に押して引けました。

5月17日(水)
ドル円は連日の強い日本株の動きとともに終日円安の流れが続きました。日経平均株価は引け後も先物市場で上昇、債務上限問題に対してバイデン大統領、マッカーシー下院議長とも合意に楽観的な見通しを示したことで米株も大幅高となりました。日経先物は30540円まで上昇、ドル円は137.71レベルまで上昇し、そのまま高値圏で引けました。

5月18日(木)
東京市場のドル円は高値圏でのもみあいが続いていたものの米金利がじり高となる中で欧州市場序盤に年初来高値を更新すると改めてドル買いが強まる流れとなりました。NY市場に入り発表された経済指標が予想よりも強く、FRB関係者によるタカ派発言も続きと、債務上限問題が解決する期待とともに138.75レベルまで上昇し、高値引けとなりました。

5月19日(金)
金曜のドル円はNY市場まで米金利の動きに沿った動きとなり、東京市場はじり安、欧州市場では朝方高値近くまで戻しました。NY市場では債務上限交渉で共和党が退席、行き詰まっているとの思惑から株安とリスクオフの円買いとなり、137.42レベルまで水準を下げた後138円近くへと戻して引けました。

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