来週の為替相場見通し:『来週は日銀会合に注目。政策修正あれば大幅続落の恐れも』(1/14朝)

ドル円は昨年10/21に記録した約32年ぶり高値151.95をトップに反落に転じると、今週末にかけて、約7カ月半ぶり安値となる127.46まで急落しました。

来週の為替相場見通し:『来週は日銀会合に注目。政策修正あれば大幅続落の恐れも』(1/14朝)

『来週は日銀会合に注目。政策修正あれば大幅続落の恐れも』

〇ドル円、週央132.88まで上昇後、週末にかけ127.46まで急落
〇米12月CPIの伸び率鈍化、東京都区部CPIの上昇、読売の金融緩和副作用点検報道、
〇10年物国債利回りの0.5%突破等による日米金利差拡大観測の後退が背景
〇ユーロドル、米金利低下とECB関係者のタカ派発言、株価の上昇に一時1.0868まで上昇
〇ドル円、わずか3ヵ月弱で24.49円の大暴落、テクニカル的に見て、地合い極めて弱い
〇目先は昨年5/24に記録した安値126.36を試す動きか
〇来週は1/17ー18の日銀金融政策決定会合要注視、サプライズの可能性高く変動リスク要注意
〇来週の予想レンジ(USDJPY):125.00ー130.00、(EURUSD):1.0650−1.1050

今週のレビュー(1/9−1/13)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初131.93で寄り付いた後、週央にかけて、週間高値132.88まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)前週末金曜日に発表された米12月平均時給(結果+4.6%、予想+5.0%、前回+4.8%)の市場予想を大幅に下回る結果や、(2)米12月ISM非製造業景況指数(結果49.6、予想55.1、前回56.5)のサプライズ的な好不況の分岐点50割れ、(3)ニューヨーク連銀が公表した1年後の期待インフレ率(結果5.0%、前回5.2%)急低下、(4)本邦12月東京都区部・消費者物価指数・生鮮食料品除く(結果+4.0%、予想+3.8%、前回+3.6%、※前年比)の市場予想を上回る結果(約40年8ヵ月ぶり高水準)、(5)読売新聞社による「日銀が1/17ー1/18の金融政策決定会合で大規模金融緩和の副作用を点検する」とのサプライズ報道、(6)上記4、5を背景としたイールドカーブコントロールの更なる修正観測(新発10年国債利回りが許容上限の0.5%を突破→円キャリートレード逆流の思惑→対主要通貨で円買い加速)、

(7)米12月消費者物価指数(結果+6.5%、予想+6.5%、前回+7.0%)の6ヵ月連続伸び率鈍化、(8)米12月消費者物価コア指数(結果+5.7%。予想+5.7%、前回+6.0%)の3ヵ月連続伸び率鈍化、(9)米ミシガン大学が公表した1年後の期待インフレ率(結果4.0%、前回4.4%)急低下、(10)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、週末にかけて、週間安値127.46(昨年5/30以来、約7カ月半ぶり安値圏)まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間1/14午前4時30分現在)では、127.76前後で推移しております。尚、今週は米当局者(ボウマンFRB理事、フィラデルフィア連銀ハーカー総裁、セントルイス連銀ブラード総裁、リッチモンド連銀バーキン総裁、アトランタ連銀ボスティック総裁、サンフランシスコ連銀デイリー総裁など)よりタカ派的な発言(市場の前のめりなハト派・織り込みを牽制する発言)が相次ぎましたが、ドル買いでの反応は限定的となりました。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0637で寄り付いた後、直後に週間安値1.0636まで軟化するも、売り一巡後に下げ渋ると、(1)前週末金曜日以降のドル売りの流れの継続(米12月平均時給および米12月ISM非製造業景況指数の市場予想を下回る結果)や、(2)中国経済の回復期待(中国政府による新型コロナウイルス感染対策を目的とした入国時隔離義務の完全撤廃→リスクオンのドル売り再開)、(3)ニューヨーク連銀が公表した1年後の期待インフレ率低下、(4)シュナーベルECB専務理事による「金利はさらに大きく着実に上昇する必要がある」とのタカ派的な発言、(5)フランス中銀ビルロワドガロー総裁による「ECBは今後数カ月さらに利上げを行う必要がある」「夏までにターミナルレートに到達することを目指すべき」とのタカ派的な発言、(6)オーストリア中銀ホルツマン総裁による「インフレ期待が低下する兆しはない」とのタカ派的な発言、

(7)フィンランド中銀レーン総裁による「金利は依然として大幅に上昇する必要がある」とのタカ派的な発言、(8)米12月消費者物価指数および米12月消費者物価コア指数の伸び率鈍化、(9)米金利低下に伴うドル売り圧力、(10)欧州株の堅調推移が支援材料となり、週末にかけて、週間高値1.0868(昨年4/21以来、約9ヵ月ぶり高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間1/14午前4時30分現在)では、1.0834前後で推移しております。

来週の見通し(1/16−1/20)

<ドル円相場>
ドル円は昨年10/21に記録した約32年ぶり高値151.95をトップに反落に転じると、今週末にかけて、約7カ月半ぶり安値となる127.46まで急落しました(わずか3ヵ月弱で24.49円の大暴落)。この間、ローソク足が主要サポートポイントを軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「ダウ理論の下落トレンド」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは極めて弱いと判断できます(週足の一目均衡表雲上限割れも地合いの悪化を示唆)。目先は昨年5/24に記録した安値126.36を試す動きが想定されます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め休止観測(米当局者はタカ派姿勢を継続するも、市場は直近指標におけるインフレ鈍化を背景に米FRBによる早期利下げを織り込む展開→市場のメインシナリオは2/1に25bp利上げ、3/22に25bp利上げ、5/3据え置き、6/14据え置き、7/26据え置き、9/20据え置き、11/1に25bp利下げ、12/13に25bp利下げ)や、(2)日銀による金融緩和の追加修正観測(1/18や3/10会合で昨年12月に続くサプライズ的な金融緩和修正が決定されるとの思惑)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差縮小とそれに伴う円キャリートレード逆流懸念など、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は1/17ー1/18の日程で開催される日銀金融政策決定会合がメインイベントとなりそうです。昨年末12/31に日本経済新聞社が報じた「日銀は1/17ー1/18の会合で物価見通しを上方修正すると共に政策修正に動く可能性がある」との観測報道や、今週読売新聞社が報じた「日銀が1/17ー1/18の金融政策決定会合で大規模金融緩和の副作用を点検する」との観測報道を見る限り、今会合では何かしらのサプライズ(展望レポートにおける物価見通しの大幅上方修正や、昨年12月に続くイールドカーブコントロールの許容変動幅再拡大、イールドカーブコントロールの完全撤廃など)が出てくる可能性が高く、週央以降のボラティリティ急拡大およびドル円相場急落リスクに警戒が必要でしょう。

来週の予想レンジ(USDJPY):125.00ー130.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は昨年9/28に記録した約20年ぶり安値0.9535をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、約9ヵ月ぶり高値となる1.0868(昨年4/21以来の高値圏)まで急伸しました。この間、主要レジスタンスポイントを軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」「強気のバンドウォーク」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。向こう数週間以内には90日移動平均線と200日移動平均線のゴールデンクロスも見込まれることから(強気のパーフェクトオーダー点灯)、短期的にも中長期的にも上昇トレンドが続きそうです。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め休止観測(インフレ鈍化に伴う米経済のオーバーキルが意識される中、市場参加者は米当局が描くような利上げパスには繋がらないと予想)や、(2)ECBによる利上げスタンスの継続方針(ユーロ圏ではエネルギーや食料品など変動の大きな項目を除いたコアベースのCPIが引き続き過去最高水準で高止まっているため、ECB当局者が示唆する通り、金融引き締め政策が長期化する公算大)、(3)上記1、2を背景とした欧米金融政策の方向性の違い(利上げ最終局面に立っている米国と、利上げ長期化が見込まれる欧州との金融政策の先行き格差→欧米名目金利差縮小に着目したユーロ買い・ドル売りトレンド継続)など、ユーロドル相場の続伸を連想させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロ買い・ドル売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はドイツ1月ZEW景況感調査や欧州当局者発言(ポルトガル中銀センテノ総裁、フランス中銀ビルロワドガロー総裁、ラガルドECB総裁、オランダ中銀クノット総裁、シュナーベルECB専務理事など)に注目が集まります。ドイツZEW景況感調査が市場予想を上回る場合や、欧州当局者よりタカ派的な発言が相次ぐ場合には、心理的節目1.1000の大台越えを試す動きに繋がる可能性もあるため、来週も今週同様、ユーロドルのアップサイドリスクに注意を要する時間帯が続きそうです。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0650−1.1050

注:ポイント要約は編集部

『来週は日銀会合に注目。政策修正あれば大幅続落の恐れも』

ドル円日足

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