ドル円見通し 12月2日からの上昇一巡、136円台序盤で支えられつつ上値の重い展開(22/12/9)

ドル安優勢の動きとなり、ドル円も137円台序盤へ戻したところを売られて上値の重い展開となった。

ドル円見通し 12月2日からの上昇一巡、136円台序盤で支えられつつ上値の重い展開(22/12/9)

ドル円見通し 12月2日からの上昇一巡、136円台序盤で支えられつつ上値の重い展開

〇ドル円、ややドル安優勢の展開、12/8は137円台序盤へ戻したところを売られ上値の重い展開
〇昨日発表の新規失業保険申請件数は2週ぶりの悪化、ドル安反応を招く
〇米10年債利回りは上昇、2年債と30年債は低下、米国株は下げ一服、NY原油は5営業日続落
〇136円割れからは、135.50、135円、134.50を順次試してゆく下落を想定する
〇137.50超えからは上昇再開の可能性を優先して、12/7夕高値137.85試しとする

【概況】

ドル円は12月2日夜の米11月雇用統計と12月5日の米ISMサービス業景況指数等の発表をきっかけとしたドル高のぶり返し局面で12月2日夕安値133.60円から12月7日夕高値137.85円まで4.25円の上昇幅で戻したが、その後はドル安へと風向きが変わったことで失速している。
12月7日夜発表の米7-9月期の非農業部門労働生産性統計における単位労働コスト確報値の下方修正でドル円は136円台序盤へ下げたが、8日夜も米週間新規失業保険申請件数が悪化したことでユーロ等が戻り高値を切り上げてドル安優勢の動きとなり、ドル円も137円台序盤へ戻したところを売られて上値の重い展開となった。
米FRBによる超ハイペースでの利上げが減速するとしても年明け以降の減速感や利上げのピーク水準と期間についての思惑が交錯する状況にある。目先はややドル安優勢の展開ではあるが、今夜の米PPI、来週の米CPIがどの程度の上昇率で収まるのかを見極めたいところだ。

【新規失業保険申請件数は2週ぶり悪化】

米労働省が12月8日に発表した新規失業保険申請件数は12月3日までの週間で前週比4000件増の23万件となり、市場予想と一致したが2週ぶりの悪化となった。失業保険受給者総数は11月26日までの週間で1671000人となり、前週から6万2000人の増加となった。
前日は2022年7-9月期の非農業部門労働生産性統計で労働生産性が前年同期比1.3%低下となり、3四半期連続で低下した。単位労働コストも前期比2.4%上昇となり、速報値の3.5%上昇から下方修正され、前年同期比も5.3%上昇で速報値の6.1%上昇から下方修正されたことがドル安材料となった。
12月2日の11月米雇用統計が堅調な内容だったこと、12月5日のISMサービス業景況指数などが予想を上回ったことではドル高反応となり、単位労働コストの下方修正と新規失業保険申請件数の悪化がドル安反応を招いている。まだ市場も利上げペースの減速と利上げ期間の長期化問題についての解釈が定まらずに米経済指標の内容次第で動いているところだ。

【米10年債利回りが上昇して2年債利回りは低下、米国株は下落一服だがNY原油は5営業日続落】

12月8日の米長期債利回りは10年債が上昇する一方で2年債と30年債が低下した。長期金利指標の10年債利回りは前日比0.07%上昇の3.49%となったが、30年債利回りは0.01%低下の3.43%、2年債利回りは0.05%上昇の4.31%となった。
2年債と10年債の利回り格差は12月7日にマイナス85.2bpへ拡大していたが、8日はマイナス82.5bpへ縮小した。逆イールドの拡大に対する裁定が働いたことで10年債売り・2年債買いとなり、10年債利回りが上昇して2年債利回りが低下した印象だ。
ドル円にとっては2年債と30年債の利回りの低下が重石となる一方で10年債利回りが上昇したことで下支えられた印象だ。しかし指標の10年債利回りも反発したとはいえ12月6日に0.05%低下、7日に0.11%の大幅低下で一時は3.40%の安値をつけるなど10月21日につけた2020年以降の最高値である4.34%からの低下傾向の範囲にあり、これまでの日米10年債利回り差の拡大による歴史的なドル円の大上昇という土台が崩れている印象は変わらない。

一方でNYダウは12月8日に前日比183.56ドル高と上昇、7日の1.58ドル高とわずかに上昇したところからの続伸となったが、12月5日に482.78ドル安、6日に350.76ドル安と大幅下落した後の下げ一服という印象にとどまっている。ナスダック総合指数は前日比123.45ポイント高となる12月2日から7日までの4営業日続落が一服したが勢いのある反騰という動きには至らず。
景気と先行きのインフレ感を反映してNY原油期近は、前日比0.55ドル安の71.46ドルで終了したが12月2日から5営業日続落で安値では71.12ドルをつけて3月7日高値130.50ドル以降の最安値を更新している。先行きの景気減速と需要低下懸念が重石となっており、ロシアなどを含めたOPECプラスが11月から日量200万バレルの協調減産を始めているものの下げ止まれずにいる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は12月2日夕安値を目先の底として戻してきたが、12月7日夕刻高値で戻りが一巡して仕切り直しの下落期に入っている。12月2日夕安値を基準として安値形成期は9日夜にかけて想定されるので既に反騰注意期にあるが、8日は137円台序盤で戻り売りされて上値が重くまだ一段安余地が残る。
今夜の米PPI発表内容次第ではドル安が加速してドル円も急落する可能性もあるところだが、逆に予想を上回る上昇率の場合は一段高へ向かうきっかけとなる可能性がある。このため137.50円以下での推移中は一段安警戒とし、137.50円超えからは7日夕高値137.85円試しとし、高値更新からは138円台前半へ向かう流れとみる。

60分足の一目均衡表では137円を挟んだ持ち合い推移のため遅行スパンは実線と交錯を繰り返しているが、戻り高値が切り下がってきたことで先行スパンから転落している。このため先行スパンを下回るうちは一段安警戒として遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は40ポイント前後を支持線に50ポイント台を維持しきれずに推移している。そのため、60ポイント超えからは一段高値へ進む可能性ありとみて70ポイント台を目指す上昇を想定するが、40ポイント割れからは下げ足が速まるとみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、136.00円を下値支持線、137.50円を上値抵抗線とする。
(2)137.25円以下での推移中は一段安警戒とし、136円割れからは135.50円、135円、134.50円を順次試してゆく下落を想定する。
(3)137.25円前後までは戻り売りにつかまりやすいとみるが、137.50円超えからは上昇再開の可能性を優先して12月7日夕高値137.85円試しとする。高値更新からは138円台乗せの攻防、次いで138円台後半から139円を目指す上昇を想定する。またその場合は週明けも高値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

12/9(金)
10:30 (中) 11月 消費者物価指数(CPI) 前年同月比 (10月 2.1%、予想 1.6%)
10:30 (中) 11月 生産者物価指数(PPI) 前年同月比 (10月 -1.3%、予想 -1.5%)
22:30 (米) 11月 生産者物価指数(PPI) 前月比 (10月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 生産者物価指数(PPI) 前年同月比 (10月 8.0%、予想 7.2%)
22:30 (米) 11月 PPIコア指数 前月比 (10月 0.0%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 PPIコア指数 前年同月比 (10月 6.7%、予想 5.9%)
24:00 (米) 10月 卸売売上高 前月比 (9月 0.4%)
24:00 (米) 12月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (11月 56.8、予想 56.9)



注:ポイント要約は編集部

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