ドル下値リスク拡大、ただ第一波終了観測も(11/11夕)

11日の東京市場はなかなか荒っぽい上下動。前日大きく動いたことの余韻が残っていたのか、1.5円ほどと大きな変動をたどっている。

ドル下値リスク拡大、ただ第一波終了観測も(11/11夕)

ドル下値リスク拡大、ただ第一波終了観測も

〇本日のドル円、当初はドル買い優勢となるも142円半ばレベルで上値を抑えられると1円ほど下落
〇昨日発表の米CPI、予想を下回りインフレ観測が後退、ドル/円が急落するなど一時大荒れに
〇テクニカルには21日移動平均線に続き同90日線も割り込むなど、さらにドルの下値リスクが高まった感
〇米中間選挙は想像以上に民主党が善戦、これまでの対内外政策継続が見込まれドルにとって好材料か
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは140.00-142.00、ドル高・円安方向は141円後半などに弱い抵抗
〇ドル安・円高方向は、90日線をめぐる攻防にまずは注目

<< 東京市場の動き >>

11日の東京市場はなかなか荒っぽい上下動。前日大きく動いたことの余韻が残っていたのか、1.5円ほどと大きな変動をたどっている。

ドル/円は140.90-95円で寄り付いたのち、当初はドルの買い戻しが優勢。前日、トータルで6円を超えるドル安・円高が進行した反動からか、調整や値ごろ感による打診買いと思しき動きが優勢だった。しかし、142円半ばレベルで上値をキャップされると「行って来い」の様相に。1円ほど下落するも寄り付きレベルまでは下げず。結果、16時現在では141.50円前後で推移し、欧米市場を迎えている。

一方、材料的に注視されていたものは「米インフレ動向と金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、注目されていた10月の米消費者物価が発表されたが、市場予想を下回る数字でインフレ観測が後退。またサンフランシスコ連銀総裁やダラス連銀総裁など複数の米当局者が今後の米利上げについてややトーンダウンしたと目される発言に動いたことも材料視されると、ドル/円は146円台から141円台後半へと一気に値を下げるなど一時大荒れに。なお、そうしたなか米財務省が半期に一度の為替報告書を発表したが、そのなかでは「日本の為替介入は市場で決定すべきとのG7声明公約を受け入れている」などとし、日本を擁護する文言も散見されていた。

対して後者は、中国当局が本土のコロナ新規感染について「4月以来の1万人超え」と発表し話題を集めるも、ブルームバーグが「入国者の隔離期間を10日間から7日間に短縮することを討議」と伝えるなど規制は緩和方向にあるのかもしれない。金融市場においては、懸念されたような中国売りが回避されている。一方、それとは別にロイターが「14日に実施する予定の米中首脳会談、共同声明は発表しない見込み」などと報じており、こちらも別の意味で思惑を呼んでいた。

<< 欧米市場の見通し >>

昨日のドル/円相場は、まさかのドル急落。「10月21日の円買い介入後安値144円半ばをしっかり下回ってしまうと、下値余地が一気に拡大する可能性もある」−−とレポートしたが、それでも一時的とはいえ140円前半まで値を崩すことは想像していなかった。いずれにしても、テクニカルには移動平均の21日線に続き、同90日線(141.20-30円)もザラ場ベースでは割り込むなど、さらにドルの下値リスクが高まった感もある。
日米の絶対的な金利差を考えると、ドル高・円安基調の継続が予想されるものの、これまでの米追加利上げ期待が大きく後退したこともあり、短期的にはややドルを買いにくそうな雰囲気も。ただ、その一方で与党・民主党の大敗も見込まれていた米中間選挙は、想像以上に民主党が善戦している。基本的には、バイデン政権によるこれまでの対内外政策継続が見込まれることがドルにとっては逆に好材料か。年初来高値151.94円から10円以上も下落しており、そろそろ第一波は終了するなどといった声も聞かれていた。

テクニカルに見た場合、ドル/円は昨日の急落もあり、ドルの下落余地が広がった感を否めない。9月2日以来の140円割れも想定しておく必要がありそうだ。しかし、昨日下げ止まった140.20円は9月22日、日本の政府・財務省が久しぶりの円買い介入に出動した際の安値(140.35円)に近く、なかなか強いサポート。ざっくり言って140円レベルを維持すれば、140-145円といったレンジを形成することになるかもしれない。

本日は米経済指標として、11月のミシガン大学消費者信頼感指数速報が発表されるものの、本日は「ベテランズデー」で米国市場が休場となることで、材料はやや少なめか。ただ、週末まで東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議が開催され、それに合わせ日米韓など2ヵ国あるいは3ヵ国の個別首脳会談が開催される見込みだ。来週月曜日の東京オープンは要注意か。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは140.00-142.00円。ドル高・円安方向は141円後半などに弱い抵抗があるものの、抜ければ142円台回復も。東京高値142円半ばを目指す展開か。
対するドル安・円高方向は、90日線をめぐる攻防にまずは注目で、しっかり下回ると昨日安値140.20円そして140円がターゲットとなりそうだ。

ドル下値リスク拡大、ただ第一波終了観測も

ドル円日足


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