ドル円見通し ドル円は148円台後半、10月の市場介入規模は6兆円超える(22/11/1)

10月31日は米長期債利回りが連騰気配で開始したことから148円台にいったん到達、その後の148円割れを買われて深夜には148.84円まで高値を伸ばした。

ドル円見通し ドル円は148円台後半、10月の市場介入規模は6兆円超える(22/11/1)

ドル円見通し ドル円は148円台後半、10月の市場介入規模は6兆円超える

〇ドル円、10/31は148円台到達、その後の148円割れは買われて深夜148.84まで高値を伸ばす
〇FRBの大幅利上げペース鈍化しない可能性浮上、米長期債利回り反騰、ドル円は戻り高値切り上げに入る
〇昨晩、財務省は10月の市場介入規模が過去最大の6.3兆円であると公表
〇人民元安続く、人民元の下落もドル全面高を象徴しドル高を助長している印象
〇NYダウは7営業日ぶりの反落、米長期債利回りは先週末から連騰
〇148円以上での推移中は上昇余地ありとし、149円超えからは149円台中盤を試す上昇を想定する
〇148円割れからはいったん修正安に入るとみて、147円台中盤への下落を想定する

【概況】

ドル円は10月27日午後安値145.10円からの反騰を継続、先週末の10月28日時点では147.87円へ上昇したところで148円に届かずにやや足踏みとなっていたが、週明けの10月31日は米長期債利回りが連騰気配で開始したことから148円台にいったん到達、その後の148円割れを買われて深夜には148.84円まで高値を伸ばした。

10月21日の大規模市場介入と24日午前の介入と思われる急落から149円台へ戻した後、24日夜から26日夜にかけては米経済指標が冴えずに米FRBの大幅利上げペースが鈍化するとの見方が優勢となって米長期債利回りが大幅に低下したため、ドル円は10月24日午前安値145.61円を割り込んで145.10円まで下げた。しかし売られ過ぎの修正で買い戻しに入り、10月28日の米9月PCEデフレーターの高止まりによりFRBの大幅利上げペースがさほど鈍化しない可能性も浮上したため、米長期債利回りの反騰と共にドル円も戻り高値の切り上げに入っている。
10月31日夜のMNIインディケーターズによる10月のシカゴ購買部景況指数は45.2となり、9月の45.7から低下して市場予想の47.0を下回ったが市場の反応は鈍かった。

【10月の市場介入規模は過去最大の6.3兆円】

財務省が10月31日夕刻に発表した外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)によると、10月の為替介入額は6兆3499億円で過去最大規模となり、9月22日に24年ぶりの円買い介入を実施した時の2兆8382億円を上回った。
政府・日銀は9月22日の介入を認めたものの、その後は介入有無について言及しないとして覆面介入を行っている。10月21日の市場介入については凡そ5兆円とされ、10月24日については数千億円規模だったのではないかとの報道もあった。その他にも10月13日や10月18日にも一時的にドル円が急落しており覆面介入だったのではないかとの声もあった。具体的な日々の介入実績については来年2月に公表されるとしている。

【人民元安がドル高をリード】

ドル/人民元は10月25日に7.309元をつけたところから10月27日の7.162元へいったん下落(ドル安元高)したものの反騰入りして10月31日には7.304元へ高値を切り上げて3連騰となった。10月25日につけた7.309元を超えていないものの日足の終値ベースでは10月25日終値を超えて2007年12月以来のドル高元安水準となった。中国人民銀行が設定した31日の対ドル基準値レート中心値も7.1768元で2008年2月以来の元安水準となっている。月間では今年3月から8か月連続の下落となった。

10月25日には中国人民銀行の指導による国有銀行系のドル売り元買いの介入的な売買が行われたと報じられたことでいったんはドル安元高へと修正が入ったものの元安の流れは変わらず、10月31日も国家統計局の製造業及び非製造業のPMIが50ポイントを割り込む悪化となったことが元売りと上海総合株価指数の下落を助長した。
元安の背景はゼロコロナ政策に固執していることによる規制導入の繰り返し、サプライチェーン停滞と規制を嫌って外資が中国から他のアジアやトルコ等に生産拠点をシフトしていること、不動産不況の継続、中国共産党大会を配慮して経済指標の発表を突然延期したことによる先行き不透明感等が背景だ。欧米が利上げを繰り返す中で中国は逆に金融緩和による景気刺激策を継続していることも元売り要因となっている。
円が32年ぶり、ポンドが史上最安値、ユーロが20年ぶり安値など、主要通貨がドル全面高により歴史的な下落に見舞われているが、人民元の下落もドル全面高を象徴しドル高を助長するものとなっている印象だ。

【NYダウは7日ぶり反落、米長期債利回りは連騰】

10月31日のNYダウは7営業日ぶりの反落で前週末比128.85ドル安と下落した。10月21日から6連騰の上昇で、月間ベースでは前月末比14%高となり1976年1月以来47年ぶりの月間上昇率となった。しかしFOMCを控えて買い戻しに一服感が出ている。ナスダック総合指数も前日比114.30ポイント安と反落した。
NYダウは米FRBによる大幅利上げペースの鈍化期待と7-9月期GDPが3四半期ぶりにプラスとなったことで過度の不況懸念が後退したことで年初来安値となった10月13日安値で下げ止まっての切り返しだが、8月16日高値には届かずに年初の史上最高値以降の戻り高値切り下がり基調の範囲にある。

米長期債利回りは先週末から連騰となった。指標の10年債利回りは前週末比0.04%上昇の4.06%で、一時は4.10%をつけたところからは下げた。30年債利回りは前週末比0.02%上昇の4.17%、利上げに敏感な2年債利回りは前週末比0.07%上昇の4.49%となった。
米WSJ紙記者が「FRBのターミナルレートが引き上げられる可能性」をツイートしたことが米長期債利回りの連騰に寄与したようだ。WSJ紙記者は10月21日にはFOMCの12月利上げ幅については0.75%か0.50%かで議論が分かれていると発信したことが米長期債利回りの先週の低下の一因となっていた。

11月1-2日開催のFOMCは11月3日未明に声明発表、議長会見を行う。市場予想では4会合連続での0.75%利上げが決定される見込みだが、市場の関心は12月FOMCにおいて利上げペースが鈍化するかどうかという点に尽きる。12月に0.50%利上げをし、その後に0.25%ずつの利上げとすればペースダウンとして長期債利回りの上昇も一服する可能性があるが、12月も0.75%利上げとなる可能性が高まったり、12月から3月にかけても0.50%ずつの利上げが続きそうな雲行きとなる場合やFOMCの想定金利ピーク水準が従来よりも切り上がる場合は米長期債利回りの上昇が勢い付き、ドル円は市場介入を警戒しながらも高値更新を試す流れへ進みやすくなると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は10月27日午後に145円割れを回避して2円近い反騰を入れたために10月28日午前時点では27日午後安値で目先の底をつけたとし、高値形成期を10月28日の日中から11月1日にかけての間と想定した。10月31日深夜へ高値を切り上げてからも148円台を維持しているのでまだ上昇余地ありとみるが、148円割れからはいったん下落期に入るとみて1日の日中から3日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、10月27日午後安値からの反騰で遅行スパンが好転し、先行スパンを上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。連騰後の修正安も警戒されるところのため遅行スパンが悪化するところからはいったん下げに入るとみて先行スパンの上下限を試す下落を想定するが、遅行スパンが悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とみる。

60分足の相対力指数は10月31日深夜への上昇で70ポイントに到達し、その後も60ポイント台を維持している。60ポイント台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは80ポイントを目指す上昇余地ありとみるが、60ポイント割れからは弱気転換注意とし、50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて40ポイント割れを試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、148.00円を下値支持線、149.00円を上値抵抗線とする。
(2)148円以上での推移中は上昇余地ありとし、149円超えからは149円台中盤(149.30円から149.70円)を試す上昇を想定する。149.70円以上は反落警戒とするが、148円台を維持しての推移なら11月2日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)148円割れからはいったん修正安に入るとみて147円台中盤(147.70円から147.30円)への下落を想定する。147.50円以下は買われやすい水準とし、その後に148.30円を超えるところからは上昇再開と一段高を想定するが、148円以下での推移が続く場合は2日の日中も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

11/1(火)
休場 フィリピン
デンマーク総選挙、イスラエル総選挙、米韓空軍合同訓練(11月4日迄)、アラブ連盟首脳会議(11/2迄)
米連邦公開市場委員会(FOMC)初日
10:45 (中) 10月 財新・製造業PMI (9月 48.1、予想 49.0)
12:30 (豪) 豪中銀(RBA) 政策金利 (現行 2.60%、予想 2.85%)
17:20 (豪) ロウ豪中銀総裁、夕食会スピーチ
18:30 (英) 10月 製造業PMI改定値 (速報 45.8、予想 45.8)
22:45 (米) 10月 製造業PMI改定値 (速報 49.9、予想 49.9)
23:00 (米) 10月 ISM製造業景況指数 (9月 50.9、予想 50.0)
23:00 (米) 9月 建設支出 前月比 (8月 -0.7%、予想 -0.5%)
23:00 (米) 9月雇用動態調査(JOLT)

11/2(水)
休場 メキシコ、ブラジル
英中銀金融政策委員会(MPC)初日
06:45 (NZ) 7-9月期 就業者数増減 前期比 (4-6月 0.0%、予想 0.5%)
06:45 (NZ) 7-9月期 四半期失業率 (4-6月 3.3%、予想 3.2%)
08:50 (日) 10月 マネタリーベース 前年同月比 (9月 -3.3%)
09:30 (豪) 9月 住宅建設許可件数 前月比 (8月 28.1%、予想 -10.8)
16:00 (独) 9月 貿易収支 (8月 12億ユーロ、予想 11億ユーロ)
17:55 (独) 10月 失業者数 前月比 (9月 1.40万人、予想 1.25万人)
17:55 (独) 10月 失業率 (9月 5.5%、予想 5.6%)
17:55 (独) 10月 製造業PMI改定値 (速報 45.7、予想 45.7)
18:00 (欧) 10月 製造業PMI改定値 (速報 46.6、予想 46.6)

21:15 (米) 10月 ADP非農業部門就業者数 前月比 (9月 20.8万人、予想 18.0万人)
23:00 (欧) ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
27:00 (独) ナーゲル独連銀総裁、講演
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利 (現行 3.00-3.25%、予想 3.75-4.00%)
27:30 (米) パウエルFRB議長、会見



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