ドル円、約32年2ヵ月ぶり高値を更新し、一時149円台半ばへ続伸
〇ドル円、欧州時間朝方に149.29まで上昇後148.19まで急落、覆面介入実施観測も
〇しかしすぐに元の水準を回復し、米指標の好調、米長期金利上昇に149.38まで急伸、底堅く推移
〇ユーロドル、トラス政権の減税撤回等からのポンド堅調に0.9874まで上昇その後は0.98台で上下
〇ドル円、テクニカルの地合い極めて強く、急落時の回復力からも下値の堅さ再確認
〇ファンダメンタルズも、米当局のドル高容認姿勢にG20も是正議論薄く、ドル買い継続感強まる
〇ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:148.50ー150.00
海外時間のレビュー
18日(火)のドル円相場は堅調な値動き。@米金利上昇に伴うドル買い圧力や、A上記@を背景とした本邦個人投資家によるキャリートレードの活発化(外国為替証拠金取引におけるドル円売買額が9月に単月ベースで史上最多となる1000兆円を突破)、B株式市場の堅調推移(リスク選好のクロス円買い→ドル円連れ高)、C心理的節目149.00突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売り、D本邦輸入企業による実需のドル買いが支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、一時149.29まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、E政府・日銀による介入警戒感(岸田首相による「投機の絡んだ急速な動きは問題」との発言や、黒田日銀総裁による「このままドル高が続くと考えている人はワシントン出張時に会った人の中にほとんどいなかった」との発言)や、F覆面介入実施の思惑(覆面介入が入ったか否かの真偽は不明)が重石となり、突如148.19まで約1円超の値幅で急落する場面も見られました。
もっとも、下がったところでは押し目買い意欲も根強く、すぐに反発に転じると、G米9月鉱工業生産(結果+0.4%、予想+0.1%)の良好な結果や、H米9月設備稼働率(結果80.3%、予想80.0%)の市場予想を上回る結果、I米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、米国時間午後にかけて、1990年8月14日以来、約32年2ヵ月ぶり高値となる149.38まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間10/19午前4時45分現在)では、149.18前後で推移しております。
18日(火)のユーロドル相場は底堅い動き。@トラス英政権が年450億ポンドの大規模減税策の大半を撤回したことに伴う安堵感や、A英フィナンシャル・タイムズ紙による「イングランド銀行は量的引き締めの開始時期を再延期する」とのポジティブ報道、B上記@Aを背景とした英ポンドの堅調推移(英ポンド上昇→ユーロ連れ高)が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値0.9874まで上昇しました。しかし、C英中銀が上記Aの報道を否定すると、D英ポンド下落に伴うユーロ連れ安や、E米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値0.9812まで反落する場面も見られました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、Fドイツ10月ZEW景況感指数(▲59.2、予想▲65.7)の市場予想を上回る結果や、G欧米株の堅調推移(リスクオンのドル売り圧力)が支援材料となり、日本時間22時過ぎに、高値0.9875まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間10/19午前4時50分現在)では、0.9855前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時149.38まで続伸するなど、1990年8月14日以来、約32年2ヵ月ぶり高値を更新しました。ローソク足が主要レジスタンスポイントを軒並み上抜けしていることや、強い買いシグナルが複数点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。特に日本時間18時過ぎに見られた政府・日銀による介入警戒感(覆面介入実施の思惑)で急落した際の押し目買い圧力が強烈であり、149.29から148.19まで1円超押し下げられた僅か数分後に149円台へと急回復する力強い動きとなりました(下値の堅さを再確認)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(CMEが提供するFedWatchによると、次回11月FOMCでの75bp利上げを97.4%織り込むと共に、その次の12月FOMCでの75bp利上げも65.3%織り込む動き)や、A日銀による金融緩和の継続方針(黒田日銀総裁は先週・今週と立て続けに金融緩和の継続スタンスを強調)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差に着目したファンダメンタルズに沿ったドル買い・円売り)、C本邦貿易赤字拡大に伴う構造的な円売り圧力、D米政府・米当局によるドル高容認スタンス(バイデン米大統領は10/15に「ドル高を懸念していない。米国経済は力強い」と発言)など、ドル高・円安トレンドの継続を連想させる材料が揃っています。
特にここ数日の材料の中で一番大きかったのが上記Dの部分(先週のG20財務相・中央銀行総裁会議で「ドル高是正」の話題が出なかったこと)であり、今後もドル高の流れが続く可能性が高まりつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は、日本時間21:30に予定されている米9月住宅着工件数や米9月建設許可件数、同02:00のミネアポリス連銀カシュカリ総裁発言や米20年債入札、同03:00の米地区連銀経済報告(ベージュブック)に注目が集まります。特に、住宅ローン金利の急ピッチな上昇を背景に米国の住宅市場にどのような悪影響がもたらされているかを確認する上で、日本時間21:30の住宅関連指標(米9月住宅着工件数や米9月建設許可件数)に警戒が必要でしょう(事実、昨日発表された米10月NAHB住宅市場指数は市場予想43に対して結果38と急低下)。
本日の予想レンジ:148.50ー150.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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