ドル円、一時144円台後半まで上昇するも介入警戒感と米金利低下が重石に(9/30朝)

29日(木)のドル円相場は上下しつつも方向感に欠ける展開。

ドル円、一時144円台後半まで上昇するも介入警戒感と米金利低下が重石に(9/30朝)

ドル円、一時144円台後半まで上昇するも介入警戒感と米金利低下が重石に

〇ドル円、144円台で方向感に欠ける動き、145円に接近すると介入警戒感強まり上値重い
〇ユーロドル、欧州時間の安値0.9636から0.9809まで急伸
〇独CPI伸び率加速、ノルドストリーム1早期復旧報道、ECB関係者のタカ派発言等が背景
〇ドル円介入警戒感、米長期金利の低下で短期的な下落要警戒
〇市場の関心、日本の為替介入や英国発の金融市場不安定化などにシフト
〇本日の予想レンジ:143.00ー145.00

海外時間のレビュー

29日(木)のドル円相場は上下しつつも方向感に欠ける展開。アジア時間朝方にかけて、安値144.21まで下げ幅を広げるも、売り一巡後に下げ渋ると、@米長期金利の反転上昇(前日海外時間に3.69%まで急低下した米10年債利回りが3.86%へ急上昇)や、A上記@を背景としたドル買い再開(日米名目金利差拡大に伴うドル買い・円売り)、B世界的なリスクオフに伴う資産現金化需要のドル買い圧力が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値144.79まで反発しました。

もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、C政府・日銀による介入警戒感(防衛ライン145.00を前に鈴木財務相は「為替、必要があれば必要な措置を今後とる」「為替、急激で一方的なものは望ましくない」との円安牽制発言を再開)や、D米金利低下に伴うドル売り圧力(米10年債利回りが3.86%から3.76%へ再び低下)、E対欧州通貨でのドル売り圧力(ユーロや英ポンドが対ドルで急上昇→ドル円連れ安)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間9/30午前5時00分現在)では、144.47前後で推移しております。尚、昨日はクリーブランド連銀メスター総裁やセントルイス連銀ブラード総裁より利上げ継続を示唆するタカ派的な発言が見られましたが、市場の反応は限定的となりました。

29日(木)のユーロドル相場は下落後に急反発。@米長期金利の反転上昇や、A上記@を背景としたドル買い再開、B欧州株の冴えない動き(ユーロ・ストックス50指数の年初来安値更新)が重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値0.9636まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、Cドイツ9月消費者物価指数(結果1.9%、予想1.6%、※前月比)の伸び率加速や、Dドイツによるガス価格の上限設定「合意」報道、Eノルドストリーム1のガス漏れが週明け10/3に止まる公算が大きいとの楽観報道、F欧州当局者による相次ぐタカ派発言(リトアニア中銀シムカス総裁、スロベニア中銀バスレ総裁、エストニア中銀ミュラー総裁、フィンランド中銀レーン総裁、デギンドスECB副総裁、レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミストなど)、

G独債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力、H米金利低下に伴うドル売り圧力、I月末前のユーロ買い特殊フローの思惑が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値0.9809まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間9/30午前5時00分現在)では、0.9800前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は前日海外時間に記録した安値143.90をボトムに反発に転じると、一時144.79まで持ち直しましたが、政府・日銀による介入警戒感や米金利低下に伴うドル売りが重石となり、結局反落する冴えない動きとなりました。日米金融政策格差を背景としたドル買い・円売りや、本邦貿易赤字拡大に伴う構造的な円売り圧力など、ファンダメンタルズ的なドル円上昇材料は残っているものの、政府・日銀による介入警戒感が強まっていること(鈴木財務相による円安牽制再開)や、米金利上昇に一服感が見られること(米10年債利回りは前日記録した4.01%をトップに急低下)、月末フローが意識されること(対ユーロでのドル売り圧力→ドル円連れ安)等を踏まえると、短期的なドル円下落が警戒されます(日本以外にも英国や中国など通貨安牽制に踏み切る国が増加しつつあるため、これまでのような「円独歩安」の展開は見込みづらい→市場に狙い撃ちにされる通貨が日本円以外にも出てきているため、相対的に日本円への売り圧力が低下)。

以上を踏まえ、当方では短期的なドル円下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米8月個人所得・個人支出、米8月PCEデフレーター、ブレイナードFRB副議長発言、米9月シカゴ購買部協会景気指数、米9月ミシガン大学消費者信頼感指数、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁発言が予定されておりますが、市場の関心が米国以外のファンダメンタルズ(日本の為替介入や英国発の金融市場不安定化など)に移りつつあるため、前日同様、ドル円相場への影響は限定的になると予想されます(ドル円は米経済指標の結果に係わらず、週末前のポジション調整も相俟って143円台へ下げ足を速めるシナリオを想定)。

本日の予想レンジ:143.00ー145.00

注:ポイント要約は編集部

ドル円、一時144円台後半まで上昇するも介入警戒感と米金利低下が重石に

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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