ドル円見通し 米CPI予想外の伸びでドル全面高、ドル円は短期調整消化で145円突破を試す(22/9/14)

米8月コアCPIが5か月振りの伸びとなったことによるドル全面高で22時台序盤には144.68円まで3円近い急伸となった。

ドル円見通し 米CPI予想外の伸びでドル全面高、ドル円は短期調整消化で145円突破を試す(22/9/14)

米CPI予想外の伸びでドル全面高、ドル円は短期調整消化で145円突破を試す

〇米8月CPI予想上回りドル全面高に、13日1ドル144.68まで急伸
〇全体CPI前年同月比8.3%、コア指数は同6.3%、インフレ加速と高止まりの継続感
〇9月20-21日次回FOMC、0.75%利上げの可能性が高まる
〇3月末急落調整に近い上昇再開感、145円超えに対し日銀・政府の牽制強まるか
〇NYダウ前日比1276.37ドル安、今年最大の大幅下落、2年債利回りは15年ぶり高値3.76%
〇144円以上での推移中は上昇余地ありとし、145円超えからは146円台への上昇を想定する
〇143円割れは買い拾われやすい、その後144円を超えるところからは上昇再開とみる

【概況】

ドル円は9月13日夜の米8月CPI発表直前に141.60円台に下げていたが、米CPIが若干の減速予想だったことに反してプラスの伸びとなり、コアCPIが5か月振りの伸びとなったことによるドル全面高で22時台序盤には144.68円まで3円近い急伸となった。その後も144円割れを買われて確りし、14日午前序盤には144.90円を超えて9月7日夜高値144.98円に迫った。
9月7日以降はそれまでのドル全面高が緩みユーロやポンド等が反騰してきたが、13日夜はユーロやポンド、豪ドル等がこの間の戻り幅の過半を解消する急落となった。またクロス円全般も下落しており、ドル高円安よりもユーロやポンド等の下落が勝る展開でドルの強さが再認識された印象だ。

【米8月コアCPIは予想を上回る上昇】

米労働省が発表した8月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は全体の前年同月比が8.3%となり7月の8.5%から低下して2か月連続の鈍化となったものの市場予想の8.1%を上回った。前月比では0.1%低下が予想されていたものの予想に反して0.1%となり7月の0.0%から伸びた。
変動の大きな食品とエネルギーを除いたコア指数の伸びは前年同月比6.3%となり、7月の5.9%を上回って5か月振りの加速で市場予想の6.1%を上回った。前月比の伸びも0.6%で7月の0.3%及び市場予想の0.3%を大幅に上回った。
金融引き締めによる景気過熱抑制とドル高によるデフレ効果及び原油相場の下落などによりインフレのピークアウトへの期待もあったところ、まだインフレの加速感と高止まり感が継続していることを示したため、市場は9月20-21日の次回FOMCにおいて0.75%の超大幅利上げの可能性が高まったと受け止めた。

【3月末の短期調整に近い動きからの上昇再開感】

ドル円は9月7日高値で144.98円をつけて2021年1月6日底102.57円以降の最高値を更新、1998年8月11日天井の147.63円以来24年ぶり高値水準に達していたところから9月9日安値141.49円まで3.49円の急落調整が入った。しかし9月14日午前序盤時点でこの下落幅をほぼ解消している。
8月2日からの上昇角度は今年2月24日安値114.39円から5月9日高値131.34円まで16.95円の大上昇となった時に近い角度で推移している。その時は3月28日高値125.10円から3月31日安値121.26円まで3.84円の短期的な急落調整が入ったが、急上昇一服と125円到達での高値警戒感から利益確定売りが急がれてやや狼狽的な下げとなったもののドル円の上昇基調はさらに継続するとして突っ込んだところを買い拾われて早々に切り返している。

5月24日から7月14日への一段高に際しても6月15日高値135.58円から6月16日安値131.48円まで4.10円の急落調整が入ったところも同様に切り返している。
9月9日に政府と日銀が会合を持ち円安牽制発言を行ったことで145円に届かないまま142円をいったん割り込んでおり、145円超えに対しては日銀・政府の牽制が再び強まる可能性もあるところだが、145円を突破して続伸し始める場合は市場心理は1988年8月11日天井147.63円超えへの挑戦へと傾斜してゆき、日銀・政府が実弾での市場介入を行えるのかどうか試されることにもなると思われる。

【NYダウは今年最大の下げ、米長期債利回りは上昇】

9月13日の米10年債利回りは前日比0.04%上昇の3.41%となり今年6月の3.50%以来の水準に達した。30年債利回りは前日比0.02%低下の3.49%だったが一時は3.57%をつけて2014年4月以来の最高値とした。利上げに敏感な2年債利回りは前日比0.19%の大幅上昇で3.76%をつけて15年ぶり高値を更新している。
一方で9月13日のNYダウは前日比1276.37ドル安の大幅下落となり、前日比では今年最大の下げだった。ナスダック総合指数も前日比632.84ポイント安の急落となった。
米FRBによる大幅利上げ継続と金融引き締めによる景気鈍化懸念が再び勝り始めた印象だが、主要国及び新興国も米国の利上げに追従して金融引き締めに入っているので世界全体がパンデミック後の金融緩和による景気回復を一巡させてリセッション入りしてゆく懸念も強まるところだ。世界連鎖株安も懸念される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、9月13日夜の急伸により9月9日夜と13日夜の両安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。高値形成期はダブルボトムの中間点である12日午後高値を基準として15日の日中から19日午後にかけての間とし、弱気転換は13日夜安値141.60円割れからとする。

60分足の一目均衡表では9月13日夜の急伸で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜き返した。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、145円を壁として高値更新へ進めないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からは先行スパンの上限を試す下落を想定する。

60分足の相対力指数は9月13日夜に40ポイント割れから70ポイント超えへ急伸したため、50ポイント以上での推移中は一段高余地ありとして145円超えからは80ポイント台を目指すとみる。弱気転換は50ポイント割れからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、143.50円を下値支持線、145円を上値抵抗線とする。
(2)144円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、145円超えからは146円台への上昇を想定する。勢い付く場合は147円に迫る可能性もあるとみる。
(3)143.50円割れからは13日夜の急伸に対する仕切り直しとして143円前後への下落を想定するが、143円割れは買い拾われやすいところとみてその後に144円を超えるところからは上昇再開とみる。弱気転換は9月13日夜安値141.60円割れからとする。

【当面の主な予定】

9/14(水)
13:30 (日) 7月 鉱工業生産確報値 前月比 (速報 1.0%)
13:30 (日) 7月 鉱工業生産確報値 前年同月比 (速報 -1.8%)
15:00 (英) 8月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (7月 0.6%、予想 0.6%)
15:00 (英) 8月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (7月 10.1%、予想 10.2%)
15:00 (英) 8月 CPIコア指数 前年同月比 (7月 6.2%、予想 6.3%)
15:00 (英) 8月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (7月 12.3%、予想 12.4%)
18:00 (欧) 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 0.7%、予想 -1.0%)
18:00 (欧) 7月 鉱工業生産 前年同月比 (6月 2.4%、予想 0.4%)

21:30 (米) 8月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (7月 -0.5%、予想 -0.1%)
21:30 (米) 8月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (7月] 9.8% 8.8%
21:30 (米) 8月 PPIコア指数 前月比 (7月 0.2%、予想 0.3%)
21:30 (米) 8月 PPIコア指数 前年同月比 (7月 7.6%、予想 7.1%)
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計

9/15(木)
上海協力機構(SCO)首脳会議 9/16まで、ロシア・トルコ首脳会談
07:45 (NZ) 4-6月期 GDP 前期比 (1-3月 -0.2%、予想 1.0%)
07:45 (NZ) 4-6月期 GDP 前年同期比 (1-3月 1.2%、予想 0.0%)
08:50 (日) 8月 通関貿易収支・季調前 (7月 -1兆4368億円、予想 -2兆3900億円)
08:50 (日) 8月 通関貿易統計・季調済 (7月 -2兆1333億円、予想 -2兆851億円)
10:30 (豪) 8月 新規雇用者数 (7月 -4.09万人、予想 3.50万人)
10:30 (豪) 8月 失業率 (7月 3.4%、予想 3.4%)
13:30 (日) 7月 第三次産業活動指数 前月比 (6月 -0.2%、予想 -0.1%)
15:00 (独) 8月 WPI(卸売物価指数) 前月比 (7月 -0.4%)
18:00 (欧) 7月 貿易収支・季調済 (6月 -308億ユーロ、予想 -325億ユーロ)
18:00 (欧) 7月 貿易収支・季調前 (6月 -246億ユーロ)
18:15 (欧) デギンドスECB副総裁、講演

21:30 (米) 9月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (8月 -31.3、予想 -15.0)
21:30 (米) 8月 小売売上高 前月比 (7月 0.0%、予想 0.0%)
21:30 (米) 8月 小売売上高・除自動車 前月比 (7月 0.4%、予想 0.1%)
21:30 (米) 9月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (8月 6.2、予想 3.0)
21:30 (米) 8月 輸入物価指数 前月比 (7月 -1.4%、予想 -1.2%)
21:30 (米) 8月 輸出物価指数 前月比 (7月 -3.3%、予想 -1.1%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.2万件、予想 22.7万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 147.3万人、予想 147.8万人)
22:15 (米) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 0.6%、予想 0.1%)
22:15 (米) 8月 設備稼働率 (7月 80.3%、予想 80.3%)
23:00 (米) 7月 企業在庫 前月比 (6月 1.4%、予想 0.6%)

注:ポイント要約は編集部

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