来週の為替相場見通し:『ドル全面高が本格再開。来週はジャクソンホールに注目』(8/20朝)

今週は週を通して「堅調さ」を維持し、8/19に一時137.24(7/27以来、約3週間ぶり高値圏)まで反発しました。

来週の為替相場見通し:『ドル全面高が本格再開。来週はジャクソンホールに注目』(8/20朝)

『ドル全面高が本格再開。来週はジャクソンホールに注目』

〇今週のドル円、週明けは米中の指標悪化にリスク回避の動き強まり、132.55まで下落
〇その後はリスク選好回復や米指標の好調、FRB関係者の相次ぐタカ派発言に週末137.24に急伸
〇ユーロドル、週初1.0270まで上昇後、米金利上昇によるドル買いに週末にかけ1.0032まで下落
〇ドル円主要テクニカルポイント上抜け、7/14高値139.40からの61.8%戻しも達成、地合い好転
〇ファンダメンタルズもFRBのタカ派傾斜観測強まりドル円続伸をサポート
〇来週はジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長発言要注視
〇7/14高値139.40を上方ブレイクすれば、いよいよ心理的節目140.00がターゲットに
〇来週の予想レンジ(USDJPY):135.00ー139.50

今週のレビュー(8/15−8/19)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初133.45で寄り付いた後、@本邦4ー6月期実質GDP速報値(結果+2.2%、予想+2.6%、前回+0.1%、※前期比年率)の冴えない結果や、A中国経済のリセッション懸念(中国7月小売売上高、中国7月固定資産投資、中国7月鉱工業生産が軒並み悪化)、B米8月ニューヨーク連銀製造業景気指数(結果▲31.3、予想5.0、前回11.1)の急低下、C上記@ABを背景としたリスク回避の円買い圧力が重石となり、週明け早々に、週間安値132.55まで急落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、D株式市場の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)や、Eみずほ銀行のマイナス金利適用発表(みずほ銀行が日銀に預けている当座預金の一部にマイナス金利適用→海外勢が円売りで過剰反応)、F米7月建設許可件数(結果167.4万件、予想165.5万件)の市場予想を上回る結果、

G米7月鉱工業生産(結果0.6%、予想0.2%)の市場予想を上回る結果、H米7月設備稼働率(結果80.3%、予想80.2%)の市場予想を上回る結果、I米7月小売売上高・除く自動車(結果0.4%、予想▲0.1%、前回0.9%、※前月比)の良好な結果、J米8月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(結果+6.2、予想▲5.0、前回▲12.3)の力強い結果、K米新規失業保険申請件数(結果25.0万件、予想26.5万件、前回25.2万件)の良好な結果、L米7月景気先行指数(結果▲0.4%、予想▲0.5%、前回▲0.7%)の市場予想を上回る結果、Mサンフランシスコ連銀デーリー総裁による「9月FOMCは50bpか75bpの利上げが妥当」「インフレへの勝利宣言をするには時期尚早」とのタカ派的な発言、Nセントルイス連銀ブラード総裁による「9月会合での75bp利上げを支持したい」とのタカ派的な発言、Oカンザスシティ連銀ジョージ総裁による「7月のインフレ鈍化は朗報としつつも、基調的な問題の解決を示す証拠ではない」とのタカ派的な発言、

Pミネアポリス連銀カシュカリ総裁による「至急インフレを低下させる必要がある」とのタカ派的な発言、Qリッチモンド連銀バーキン総裁による「FRBは高インフレを抑制させる決意」とのタカ派的な発言、R米長期金利の急上昇(米10年債利回りは8/2に記録した2.51%をボトムに切り返すと、8/19に2.99%へ急上昇)、R直近高値突破(8/8高値135.59の上方ブレイク)に伴う仕掛け的なドル買い・円売りが支援材料となり、週末にかけて、週間高値137.24(7/27以来の高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/20午前5時00分現在)では、136.84前後で推移しております。尚、注目された米FOMC議事要旨では「政策金利の引き上げペースをある時点で緩めることが適切となる可能性がある(it likely would become appropriate at some point to slow the pace of policy rate increases)とのやや慎重な見解が示されましたが、ドル売りでの反応は限定的となりました。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0263で寄り付いた後、早々に週間高値1.0270まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、@欧州経済の先行き不透明感(ロシアからのエネルギー供給不安と欧州圏の猛暑に端を発した水位低下に伴う物流混乱→エネルギー危機発生リスク→ユーロ圏のインフレ加速懸念)や、Aドイツ8月ZEW景況感指数(結果▲55.3、前回▲53.8)の冴えない結果、Bユーロ圏4ー6月期GDP改定値(結果+0.6%、予想+0.7%、前回+0.7%、※前期比)の市場予想を下回る結果、C米経済指標の良好な結果(米7月小売売上高や米8月フィラデルフィア連銀製造業景況指数など)、D米当局者による相次ぐタカ派発言(サンフランシスコ連銀デーリー総裁、セントルイス連銀ブラード総裁、カンザスシティ連銀ジョージ総裁、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁、リッチモンド連銀バーキン総裁)、

E米金利上昇に伴うドル買い圧力、FシュナーベルECB専務理事による「ユーロ圏のインフレ見通しが改善していないことから来月のECB理事会での大幅利上げを支持する」とのタカ派的な発言(スタグフレーション懸念が燻る中での大幅利上げは欧州経済の逆風→欧州株下落→ユーロ下落)、G7/27に記録した直近安値1.0096を割り込んだことに伴う仕掛け的なユーロ売りが重石となり、週末にかけて、週間安値1.0032(7/15以来、約1ヵ月ぶり安値圏)まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/20午前5時00分現在)では、1.0039前後で推移しております。

来週の見通し(8/22−8/26)

<ドル円相場>
ドル円は7/14に記録した約23年10ヵ月ぶり高値139.40(1998年9月以来の高値圏)をトップに反落に転じると、8/2に一時130.40(6/6以来の安値圏)まで急落しましたが、今週は週を通して「堅調さ」を維持し、8/19に一時137.24(7/27以来、約3週間ぶり高値圏)まで反発しました。この間、主要レジスタンポイント(一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や雲上限)を上抜けした他、7/14高値139.40と8/2安値130.40を起点としたフィボナッチ61.8%戻し(135.96)も達成するなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を印象付けるチャート形状となりつつあります(7/14高値139.40に向けた全値戻しを狙える位置)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(今週は米当局者によるタカ派発言が相次ぐ展開→次回9月FOMCでの75bp利上げ観測が残存)や、A日銀による金融緩和の長期化方針、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差拡大に伴うドル買い・円売り)、C米政府・米当局によるドル高容認スタンス(インフレ抑制に繋がり得るドル高を黙認する構え)、D米経済指標の良好な結果(米経済のリセッション懸念後退)など、ドル円相場の続伸を連想させる材料が揃っています。

こうした中、来週は8/25ー8/27に米ワイオミング州で開催されるジャクソンホール会議に注目が集まります(特にパウエルFRB議長が発言する8/26日本時間23:00に注目)。パウエルFRB議長は先月のFOMC後の記者会見の際に慎重姿勢(利上げペース鈍化の可能性)を滲ませたことから、来週のジャクソンホールでも踏み込んだ発言は出てこない可能性が高いと見られていますが、今週の米当局者講演が予想外にタカ派的であったように、サプライズ的にインフレピークアウト論に対する牽制や、75bp利上げ余地(インフレ抑制への強いコミット)に触れてくる可能性もあるため、油断は禁物と考えられます。仮にタカ派的なニュアンスが含まれる場合には、「米FRBによるタカ派傾斜観測→米長期金利急上昇→米ドル高」の経路で、ドル円には強い上昇圧力が加わりそうです。

一方、無難な結果(無風通過)に終わる場合であっても、株式市場の好感を通じて、リスク選好の円売りが広がると見られることから、結果としてドル円には上昇圧力が加わるものと推察されます。以上の通り、ドル円はいずれのケースにおいても上昇圧力が加わりやすく、米長期金利や米主要株価指数の動きを睨みながらも、7/14高値139.40に向けて続伸する展開が期待されます(7/14高値139.40を上方ブレイクすれば、次はいよいよ心理的節目140.00がターゲットに)。

来週の予想レンジ(USDJPY):135.00ー139.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は7/14に記録した約19年7ヵ月ぶり安値0.9952(2002年12月以来の安値圏)をボトムに反発に転じると、8/10に一時1.0369(7/5以来、約1ヵ月ぶり高値圏)まで持ち直しましたが、今週は週を通して「軟調推移」が継続し、週末にかけて、約1ヵ月ぶり安値となる1.0032まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する弱気のパーフェクトオーダーや、弱気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります(来週は一目均衡表三役逆転の点灯を通じてもう一段ユーロ売り圧力が強まる恐れあり)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念や、A欧州圏で広がる歴史的猛暑の継続、B上記@Aを背景としたエネルギー危機発生リスク、C欧州経済の先行き不透明感(スタグフレーション懸念が燻る中でのECBによる金融引き締めは欧州経済への強い逆風)、D欧米名目金利差拡大に伴うユーロ売り・ドル買い圧力など、ユーロドル相場の下落を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は8/23に予定されているユーロ圏8月製造業・サービス業PMI速報値に注目が集まります。市場予想を下回る結果となれば、「欧州経済の先行き不透明感→スタグフレーション懸念再燃→欧州株・欧州通貨売り」の波及経路で、ユーロドルには強い下押し圧力が加わるものと考えられます。パリティを割り込みことができれば、7/14に記録した約19年7ヵ月ぶり安値0.9952を試すシナリオも想定されるため、来週は週を通して、ダウンサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです。

来週の予想レンジ(EURUSD):0.9850−1.0200

注:ポイント要約は編集部

『ドル全面高が本格再開。来週はジャクソンホールに注目』

ドル円日足

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