ドル円見通し 9月FOMCで大幅利上げの可能性が再浮上、ドル全面高で136円に迫る(22/8/19)

ドル円は8月19日未明に135.90円へ上昇、136円に迫り8月8日高値135.57円を超えて8月2日安値130.39円以降の最高値を更新した。

ドル円見通し 9月FOMCで大幅利上げの可能性が再浮上、ドル全面高で136円に迫る(22/8/19)

9月FOMCで大幅利上げの可能性が再浮上、ドル全面高で136円に迫る

〇ドル円、8/19未明135.90へ上昇、8/8高値135.57を超え、8/2安値130.39以降の最高値を更新
〇昨日発表の経済指標の良好な結果、当局者による9月FOMCでの大幅利上げ支持発言を受け、ドル高加速
〇NYダウは6日ぶり反落後の小幅上昇、ナスダックも下げ一服で上昇、米長期債利回りは総じて低下
〇135円以上での推移中は、136円超えから137円を目指す上昇を想定する
〇135円前後へ下げる場面があれば、押し目買いされやすいとみる

【概況】

ドル円は8月19日未明に135.90円へ上昇、136円に迫り8月8日高値135.57円を超えて8月2日安値130.39円以降の最高値を更新した。米FRBによる利上げペースが鈍化するのか大幅利上げが継続するのか、市場の思惑を反映して7月14日高値で139.39円を付けたところから8月2日安値まで9.00円の下落となり2021年1月6日底102.57円以降の上昇期においては最大の下落規模となった。しかし8月2日からは持ち直しに入り、8月10日の米CPIやPPIの伸び率が鈍化したことと8月15日の中国及び米国の経済指標悪化から8月11日安値131.72円までいったん反落したところも買い戻され、再び大幅利上げの継続と利上げ状態の長期化感により連日にわたって戻り高値を切り上げてきた。

8月18日は米新規失業保険申請件数が予想外に改善、フィラデルフィア連銀景況指数が予想以上の改善となりドル高感強まり、深夜以降は米地区連銀の複数総裁により9月FOMCでの大幅利上げを支持する発言が相次いだことでドル高が加速、ドル円も135円台中盤の抵抗を突破して一段高に入った。クロス円ではユーロ円やポンド円が下落しており、ユーロやポンドが一段安したために円安感よりもドル全面高の様相となっている。

【米経済指標は良好】

8月18日に米フィラデルフィア連銀が発表した8月製造業景況指数は6.2となり7月のマイナス12.3から大幅に改善して市場予想のマイナス5.0を上回った。
米労働省による週間新規失業保険申請件数は8月13日までの週間で前週比2000件減の25万件となり3週ぶりの改善で市場予想の26.5万件を下回った。失業保険受給者総数は8月6日までの週間で143万7000人となり前週から7000人増加したが市場予想の143万8000人をわずかに下回った。
米民間調査会社コンファレンス・ボードによる7月の米景気先行指数は116.6となり前月比0.4%低下したが市場予想の0.5%低下を上回り、6月分は0.7%低下に上方修正された。

米不動産業者協会(NAR)による7月の中古住宅販売件数(年換算)は前月比5.9%減の481万戸となり2020年4月の低水準となった。6か月連続でのマイナスで、市場予想の489万戸も下回った。販売件数は前年同月比で20.2%減で販売価格中央値は2.4%低下の40万3800ドルで過去最高だった6月から1万ドル低下したが前年同月比では10.8%上昇となった。
8月15日の中国及び米国の経済指標悪化が米FRBの利上げペースを鈍らせるとの見方もあったが、その後の米経済指標は概ね堅調であり、住宅市況は金利上昇による悪化となっているものの総体的には多少の景気後退を含みながらも大幅利上げに耐えうるものという印象だ。

【米地区連銀総裁達は大幅利上げ継続支持】

米セントルイス連銀のブラード総裁は18日の米WSJ紙インタビューで「9月のFOMCでは0.75%利上げを支持する姿勢に傾斜している」とし、「インフレを大きく低下させる政策金利水準へ速やかに向かい続ける必要があり、来年に利上げ姿勢を後退すべき理由はない」とした。
またサンフランシスコ連銀のデイリー総裁はCNNのインタビューで「3%を中立水準とし年末までに3%を若干上回る景気抑制的な領域へ利上げする必要がある」、「来年も3%をさらに若干上回る水準に向け利上げを続ける必要がある」とし、9月FOMCでは「0.50%か0.75%の利上げが妥当だ」とした。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は「インフレを押し下げるために利上げを一層行う必要がある」「金融引き締めにより需要を抑制することで緊急にインフレを低下させなければならない」と述べた。

8月2日からドル円が反騰した際も地区連銀総裁らによる大幅利上げ支持姿勢がきっかけとなっていたが、米CPIやPPI等の伸びが鈍化したことで市場が気のゆるみを見せたことをけん制したという印象だ。
米FRBのパウエル議長は8月26日のワイオミング州ジャクソンホールで開催される「経済政策シンポジウム」で講演すると発表した。年末にかけての米長期債利回り及びドル円の動向を決定付ける内容となる可能性もあると注目したい。

【米長期債利回りは低下、NYダウは6日ぶり反落後の小動き】

8月18日のNYダウは前日比18.72ドル高と小幅上昇した。8月10日から16日まで5営業日連騰、17日は前日比171.69ドル安と利益確定売りに押されて下げたが、18日は米景気指標の改善による押し上げと米FRBによる大幅利上げの可能性が綱引きとなった。ナスダック総合指数は前日比27.22ポイント高と上昇、16日と17日は続落していたが、米長期債利回りが低下したこともあり下げ一服の様相。
一方、米長期債利回りは総じて低下した。指標の10年債利回りは前日比0.02%低下の2.88%、30年債利回りは0.02%低下の3.14%、2年債利回りは0.09%低下の3.20%に終わった。10年債利回りは一時2.84%まで下げていたところを地区連銀総裁らによる大幅利上げ支持発言により持ち直したが、2年債利回りは3.32%まで上昇したところから低下に転じ19日早朝にかけても低下傾向のままとなった。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、8月17日夜高値から18日夜安値へと持ち合い型でやや安値を切り下げていたところから一段高しているため、8月15日夜安値から3日目となる18日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて新たな強気サイクルに入ったと思われる。高値形成期は22日夜から24日夜にかけての間と想定されるので、18日夜安値割れ回避のうちは一段高へ進みやすいとみる。

60分足の一目均衡表では8月16日夜の上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いてきたが、その後も両スパンそろっての好転を概ね維持しているため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、高値更新へ進めずに推移すれば遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からは安値試し優先とし、先行スパンの上下限を試す下落を想定する。

60分足の相対力指数は8月18日夜に50ポイントをいったん割り込んでから70ポイントまで切り返し、その後も50ポイント以上を維持しているため18日夜安値を起点として上昇期に入っている印象だ。50ポイント以上を維持するうちは80ポイント台を試す上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、135.00円を下値支持線、136.00円を上値抵抗線とする。
(2)135円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは136円超えから137円を目指す上昇を想定する。137円到達では売りも出やすいとみるが、135.50円以上を維持しての推移が続くなら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)135円前後へ下げる場面があれば押し目買いされやすいとみる。弱気転換は18日夜安値134.63円割れからとし、その際はいったん仕切り直しに入って133円台後半を試す流れとみる。

【当面の主な予定】

8/19(金)
15:00 (英) 7月 小売売上高 前月比 (6月 -0.1%、予想 -0.2%)
15:00 (英) 7月 小売売上高 前年同月比 (6月 -5.8%、予想 -3.3%)
15:00 (英) 7月 小売売上高・除自動車 前月比 (6月 0.4%、予想 -0.3%)
15:00 (英) 7月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (6月 -5.9%、予想 -3.1%)
15:00 (独) 7月 PPI・生産者物価指数 前月比 (6月 0.6%、予想 0.7%)
17:00 (欧) 6月 経常収支・季調済 (5月 -45億ユーロ)
22:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、討論会参加



注:ポイント要約は編集部

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