ドル円見通し 米雇用統計直後のドル高に対する揺れ返しも一巡、今晩の米CPI発表待ち(22/8/10)

ドル円は8月9日の日中から10日早朝にかけて135円を挟んだ揉み合いで小動き。

ドル円見通し 米雇用統計直後のドル高に対する揺れ返しも一巡、今晩の米CPI発表待ち(22/8/10)

米雇用統計直後のドル高に対する揺れ返しも一巡、今晩の米CPI発表待ち

〇ドル円、米雇用統計直後の反応一巡で134.34まで反落、135円挟んだ揉み合いで米CPI発表待ち
〇米長期債利回り、利上げペース加速の可能性踏まえ上昇、NYダウ反落、ナスダックは3日続落
〇米7月CPI鈍化予想、上回る場合ドル高感強まり、8/2以降高値更新の可能性も
〇予想下回る場合、戻り一巡から下げ再開か
〇134.34以上での推移中は上昇余地ありとし、135.57超えからは136円台序盤への上昇を想定する
〇134.34割れからはいったん仕切り直しの下落に入るとみて、133円台前半への下落を想定する

【概況】

ドル円は8月5日夜の米雇用統計発表後のドル高を反映して8月5日深夜高値135.49円へ上昇、8日午前に135.57円まで高値を伸ばしたが、米雇用統計に対する反応一巡で8日夜に134.34円まで反落した。米雇用統計発表から急落したユーロやポンド、豪ドル等は8日夜から9日夜までには雇用統計後の下落を解消しており、9日夜以降の揺れ返しのドル安も一服してややドル高気味の推移が見られる。
ドル円は8月9日の日中から10日早朝にかけて135円を挟んだ揉み合いで小動き。9日は欧米の重要指標発表もなく手掛かり難だったが、10日夜の米CPI発表を見定めたいとして様子見の動きに入っている状況と思われる。

【米長期債利回りは上昇、米国株は下落】

8月9日の米10年債利回りは前日比0.02%上昇の2.78%、30年債利回りは前日比変わらずの2.99%、2年債利回りは前日比0.06%上昇の3.27%だった。
米10年債利回りは8月5日の米雇用統計発表後に2.87%へ上昇して8月2日の2.52%以降の高値としたが、8日は上昇一服で前日比0.07%低下の2.76%で終了していた。9日は10日夜の米CPI待ちの中で内容次第では米FRBによる利上げペースの加速もあり得るところとして全般的にやや上昇したが、特に利上げに敏感な2年債利回りの上昇がやや目立った。
一方でNYダウは前日比58.13ドル安で3日ぶり反落。ナスダック総合指数は前日比150.53ポイント安で3日続落に終わった。CPI発表後から上下に大きく振れる可能性があるところとしていずれも6月後半からの上昇一服でポジション調整的な動きだが、ナスダックは利上げペースが上がって米長期債利回りの上昇再開感が強まる場合には売られやすいとして続落したようだ。

【今晩の米7月CPI発表で次の流れも決まるか】

今晩21時半に米7月消費者物価上昇率の発表がある。市場の事前予想では全体の前月比が6月の1.3%から0.2%へ大幅に鈍化し、前年同月比も6月の9.1%から8.7%へ鈍化する見込みとなっている。エネルギーや食品を除くコア指数の上昇率については前月比が6月の0.7%から0.5%へ、前年同月比が6月の5.9%から6.1%へ伸びると見込まれている。
原油価格がNY先物期近ベースで6月末の105.76ドルから7月末の98.62ドルまで低下していることでCPIの全体としては伸びが鈍化するだろうとされているが、エネルギー価格の全体への影響がタイムラグを伴って波及するためにコア指数は前月比の伸びも6月から若干鈍化したとしても勢いが残り、前年比ではまだピーク感には至らない状況と見込まれている。
6月のCPIが凡そ40年ぶりとなる前年比9.1%をつけたと発表されたのが7月13日であり、米FRBの大幅利上げ継続感が強まったとしてドル円は7月13日に前日比0.55円の上昇で当日安値136.66円から137.86円へ上昇し、7月14日には前日比1.48円の上昇で137円台前半から139.39円へ一段高となり2021年1月6日底102.57円以降の最高値をつけている。

米バイデン政権にとっては支持率回復のためにもインフレ抑制を最重要課題としており、米FRBのパウエル議長も昨年11月の再任方針決定からはかなりタカ派となり、FOMCでは3月に0.25%、5月に0.50%、6月と7月には0.75%の大幅利上げを決定してきた。一時は7月FOMCで1.0%利上げもあり得るとの見方が強まったことでドル全面高となり、それを打ち消すようなFRB高官らの発言で落ち着いたが、8月2日にかけてドル高が緩んだ局面では9月の大幅利上げもあり得るとの発言が相次いだことでドル高感が再燃、7月の雇用統計が予想以上に強かったことで今年残り3回のFOMCにおける大幅利上げ継続の可能性も再浮上した。
今晩のCPIが予想を上回る場合はドル高が強まり、ドル円も8月2日以降の高値を更新し、予想の超え幅によっては急伸もあり得るところだが、逆に予想を下回れば8月2日にかけてドル高が緩んだ時の再現でドル円は戻り一巡から下げ再開に入っても不思議ない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、8月2日午前安値から3日目となる8月5日午前安値で直近のサイクルボトムをつけて強気サイクル入りしたとして8日深夜から10日深夜にかけての間への上昇を想定した。
8月8日夜に小反落したものの135円を挟んだ揉み合いにとどまっているため、まだ一段高余地ありとみるが、8月8日夜安値134.34円を割り込む場合は弱気サイクル入りとみて10日の日中から12日午前にかけての間への下落を想定する。ただしいったん弱気サイクル入りした後に8月2日以降の高値を更新する場合は新たな強気サイクル入りとして11日午前から15日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では8月8日午前高値の後を135円中心の持ち合いとしているために遅行スパンは実線と交錯を繰り返しているが10日午前序盤には実線を上回る好転状態となっている。また先行スパンへ潜り込むことなく上回った状況を維持している。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とする。
先行スパンへ潜り込む場合は弱気転換注意とし、先行スパン転落からは下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は8月8日夜に40ポイント台へ低下した後はややジリ高の推移で60ポイント超えを試している。50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下げに入るとみて30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月8日夜安値134.34円を下値支持線、8月8日午前高値135.57円を上値抵抗線とする。
(2)134.34円以上での推移中は上昇余地ありとし、135.57円超えからは136円台序盤への上昇を想定する。米CPI発表から急伸する場合は136円台後半へ上値目途を引き上げ、11日の日中も高値試しを続けやすいとみる。
(3)134.34円割れからはいったん仕切り直しの下落に入るとみて133円台前半への下落を想定する。133円台序盤は押し目買いが入りやすいとみるが、134.34円以下での推移が続く場合は11日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8/10(水)
10:30 (中) 7月 消費者物価指数 前年同月比 (6月 2.5%、予想 2.3%)
10:30 (中) 7月 生産者物価指数 前年同月比 (6月 6.1%、予想 4.8%)
15:00 (独) 7月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.9%、予想 0.9%)
15:00 (独) 7月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 7.5%、予想 7.5%)

21:30 (米) 7月 消費者物価指数 前月比 (6月 1.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 7月 消費者物価指数 前年同月比 (6月 9.1%、予想 8.7%)
21:30 (米) 7月 消費者物価コア指数 前月比 (6月 0.7%、予想 0.5%)
21:30 (米) 7月 消費者物価コア指数 前年同月比 (6月 5.9%、予想 6.1%)
23:00 (米) 6月 卸売売上高 前月比 (5月 0.5%)
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
24:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演
27:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演
27:00 (米) 7月 月次財政収支 (6月 -888億ドル)

8/11(木)
休場、日本、OPEC月報
21:30 (米) 7月 生産者物価指数 前月比 (6月 1.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 7月 生産者物価指数 前年同月比 (6月 11.3%、予想 10.4%)
21:30 (米) 7月 生産者物価コア指数 前月比 (6月 0.4%、予想 0.4%)
21:30 (米) 7月 生産者物価コア指数 前年同月比 (6月 8.2%、予想 7.7%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 26.0万件、予想 26.4万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 141.6万人、予想 141.0万人)

注:ポイント要約は編集部

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