予断を許さないものの、基本はレンジ取引か
〇本日のドル円、一時134.70レベルへ軟化するも、下値は堅く徐々にドル買い戻し優勢、135円台を回復
〇短期的にはやや方向性を欠いている感、基本的に狭いレンジ内での一進一退の見込み
〇米雇用統計発表後のドル/円は約1円レンジ、短期的に新規材料やや乏しく次の方向性を探る展開か
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは134.40-135.50、ドル高・円安方向は135.10レベルが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、134.36をめぐる攻防に注目
<< 東京市場の動き >>
9日の東京市場はドルが強保ち合い。一時134円台へと小緩む局面も見られたが底堅く、終盤にかけて買い戻されている。
ドル/円は135円前後で寄り付いたのち、ややドル売り優勢。日米株価の動きなどをにらみつつ、134.70円レベルへとドルが軟化する局面も。しかし、下値は堅く下げ渋るとドルの買い戻しが徐々に優勢に。135円台を回復し、16時現在でも近いレベルをキープ、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「中国情勢」と「ロシア情勢」について。
前者は、中国軍による台湾攻撃を想定した大規模な軍事演習は7日に一応終了したものの、その後も威嚇行動などが目に付く。実際、台湾国防部は「中国軍機21機が8日に防空識別圏に侵入した」と発表するとともに、台湾海峡の中間線を越えたものもあったとの談話を明らかにしていた。また、中国がサイバー攻撃を繰り返し、複数の台湾政府ウェブサイトがアクセスできない状態になっているとの発表も別途観測されている。そうしたなか、NYで開催中のNPT再検討会議で福島処理水放出に難癖をつけるとともに批判するなど、日本に対する矛先も徐々に先鋭化されてきた感がある。
対して後者は、ロシアとウクライナの双方が「相手側の攻撃」と非難しているザポロジエ原発をめぐる緊迫ムードが高まっているようだ。何者かによる砲撃などを受けているとされ、関係者からは「使用済み核燃料の貯蔵庫が複数破壊されれば計り知れない大惨事が起きる」といったコメントも発せられている。そうしたなか、昨日憶測を呼んでいたのは、ペスコフ報道官による「プーチン大統領が9月に予定されている国連総会に出席せず、ビデオ演説なども行わない」と述べた件。続報などにも要注意だろう。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円はレンジをもっとも大きくとれば130-140円の約10円。それより少し小さいものなら、132.50-137.50円といった5円レンジを形成しているようだ。短期的には、もっと小さなレンジも見て取れる。いずれにしても、短期的にはやや方向性を欠いている感を否めない。「夏枯れ」の様相を呈するなか、「薄商い=荒れ模様」の動きにも要注意だが、基本的には狭いレンジ内での一進一退を見込む向きも多い。
各国金利情勢に対する市場の関心が高い反面、性急な利上げによる悪影響、景気後退観測などへの警戒感も根強い。そうした観点でいえば、明10日に発表される7月の米消費者物価指数の内容がとくに注視されている。一方で、アジアの地政学リスクなど油断のならない要因もあるものの、米株や金利が比較的落ち着いた推移をたどるようなら為替市場も明日の材料にらみで落ち着いた値動きをたどることになりそうだ。
テクニカルに見た場合、先週末の米雇用統計発表後のドル/円は、およそ1円のレンジ。135円±50銭といったなかでの往来相場をたどっている。つまり、足もとのボックス圏を如何にそしてどちらに放れるのかが目先のポイントだが、短期的には新規材料がやや乏しいこともあり、レンジ継続との見方が有力視されているようだ。予断を許さないものの、しばらくは小康、次の方向性を探る展開か。
一方、本日は米経済指標として、4-6月期非農業部門労働生産性速報などが発表されるものの、正直市場の関心はそれほど高くない。ただ、米財務省による3年債の入札や米企業の決算発表などには引き続き注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは134.40-135.50円。ドル高・円安方向は本日東京高値135.10円レベルが最初の抵抗で、上抜ければ昨日高値135.58円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、昨日安値134.36円をめぐる攻防にまずは注目。ただ、割り込んでもドルの下値は底堅そうなイメージだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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