ドル円見通し 米雇用統計反応一巡で上昇一服するも134円台前半では確り(22/8/9)

深夜以降は再びドル高気配となり、戻していたユーロやポンドが反落したためにドル円は9日早朝には135円乗せに至っている。

ドル円見通し 米雇用統計反応一巡で上昇一服するも134円台前半では確り(22/8/9)

ドル円見通し 米雇用統計反応一巡で上昇一服するも134円台前半では確り

〇ドル円、米雇用統計反応を背景に8/8午前135.57まで上昇するも反応一巡でドル安、夜134.34まで反落
〇しかし深夜以降再びドル高気配、ユーロ・ポンドが反落しドル円は9/9早朝に135円乗せ
〇7/14高値から8/2安値への下落幅に対し、8/8午前高値まで凡そ6割の反発、さらに一段高へ進む可能性
〇米長期債利回りは総じて反落、NYダウは一時は300ドル高を超える上げ幅を大きく削り小幅上昇
〇134円以上での推移中は上昇余地ありとし、135.57超えからは136円台序盤への上昇を想定する
〇133.80割れからはいったん仕切り直しの下落に入るとみて、133円前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は8月5日夜の米雇用統計が予想を上回る強い内容だったことによるドル全面高を背景に8月5日深夜高値で135.49円へ上昇、週明けの8日午前には135.57円まで高値を伸ばしたが、米雇用統計に対する反応一巡で午後から深夜にかけては全般ドル安となったために8日夜安値で134.34円まで反落した。しかし深夜以降は再びドル高気配となり、戻していたユーロやポンドが反落したためにドル円は9日早朝には135円乗せに至っている。
7月の米雇用統計での失業率改善、非農業部門就業者数が予想の倍以上の増加、平均時給も上昇したことで米FRBによる大幅利上げは継続しやすくなったとしてドル高反応を招いたが、8月10日の米7月CPI発表も控えているためにもう一段高へ進むのを時期尚早として8月2日からの反騰一服によるポジション調整がやや優勢となった印象だ。

【7月14日から8月2日への下落幅に対して凡そ6割の反発】

7月14日高値から8月2日安値まで9.00円の下落だったが、8月8日午前高値まで5.18円の上昇となり凡そ58%の戻りとなった。
2021年1月6日底102.57円を起点として歴史的な大上昇を継続してきたが、この間における中間調整的な下落では5月9日高値から5月24日安値までの下落幅4.99円が最大だった。しかし今回はそれを大幅に超える下落規模であり、歴史的大上昇に急ブレーキがかかったが、8月2日からのV字反騰によりさらに一段高へ進む可能性も示している印象だ。
中勢レベルの上昇再開目安としては半値戻しを実現すること、一度割り込んだ26日移動平均(現在135.96円)を上抜き返すこと、歴史的大上昇の主因である米長期債利回り上昇継続が必要であり、今のところは半値戻しを実現したものの26日移動平均の手前にとどまり、米長期債利回りの上昇も先週末で一服しているため、V字反騰継続のためには8月10日夜の米CPI発表をきっかけとして26日移動平均を超え、米10年債利回りが3%台回復を目指すような勢いを示すことが必要と思われる。

【米長期債利回りは反落、NYダウは上げ幅を大きく削る】

8月8日の米長期債利回りは先週末の米雇用統計をきっかけとした上昇一巡となり総じて下落した。長期金利の指標である10年債利回りは8月5日の米雇用統計発表から一時2.87%へ上昇して8月2日につけた2.52%以降の高値を更新し、前日比0.14%上昇の2.83%で先週を終えたが、8日は上昇一服で前日比0.07%低下の2.76%で終了した。
30年債利回りは8月5日に一時3.10%まで上昇して前日比0.10%上昇の3.07%で週を終えていたが8日は前日比0.08%低下の2.99%で3%を割り込んだ。
利上げに敏感な2年債利回りは8月5日には3.33%を付けて7月21日高値を超えて7月1日の2.73%を上抜き8月2日につけた2.52%以降の高値を更新して前日比0.20%高の3.26%で先週を終えたが、8日は0.05%低下の3.21%となった。

雇用統計発表後の反応が一巡したこと、NY地区連銀による7月消費者調査で1年先の期待インフレ率が6.22%となり6月の6.78%から低下したこと、ペロシ下院議長の訪台による米中関係悪化懸念や一時大幅上昇していたNYダウが反落したことによる安全資産買いが上値を抑えた印象だ。

8月8日のNYダウは先週末比29.07ドル高と上昇して小幅ながら2日続伸だったが、一時は300ドル高を超える上昇となったところから上げ幅の大半を削った。ナスダック総合指数は先週末比13.09ポイント安と小幅ながら続落した。米雇用統計が強かったために景気後退懸念が緩んだことは株式市場にはプラス面もあったが米FRBによる金融引き締め姿勢の強化が連想されたことで上値が抑えられている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、8月2日午前安値をサイクルボトムとし8月3日夜から5日夜にかけての間への上昇を想定していたが、8月4日夜に4日午前安値を割り込んだために5日午前時点では3日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期が5日午前から9日午前にかけての間と想定されるのですでに反騰注意期に入っているとし、5日夜の米雇用統計をきっかけとして高値更新する場合は新たな強気サイクル入りとした。
8月5日深夜の急伸で3日深夜高値を上抜いたため、8月5日午前安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。サイクルトップ形成期は8日深夜から10日深夜にかけての間と想定されるので134円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうち一段高余地ありとするが、戻りは短命の可能性もあるので133.80円割れからは弱気サイクル入りと仮定して10日午前から12日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8月5日夜の急伸一服により8日午前高値からややジリ安の推移となっているために遅行スパンが悪化しているが、先行スパンを上回る状況を維持している。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが好転するところから上昇再開とみて高値試し優先とするが、先行スパン転落から続落に入る場合は5日夜の急騰に対する揺れ返しの下落に入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月5日深夜高値から8日午前高値への高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られて8日夜にはいったん50ポイントを割り込んでいる。60ポイント台回復からは上昇再開とみて70ポイント台を目指すとみるが、40ポイント割れからは揺れ返しの下落に入るとみて30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、133.80円を下値支持線、135.57円を上値抵抗線とする。
(2)134円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、135.57円超えからは136円台序盤への上昇を想定する。136円到達では売りも出やすいとみるが、134.50円以上を維持するなら10日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)133.80円割れからはいったん仕切り直しの下落に入るとみて133円前後への下落を想定する。133円前後は押し目買いが入りやすいとみるが、134円以下での推移が続く場合は10日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8/9(火)
休場、シンガポール、インド、南ア
10:30 (豪) 7月 NAB企業景況感指数 (6月 13)
21:30 (米) 4-6月期 非農業部門労働生産性速報値 前期比 (1-3月 -7.3%、予想 -4.7%)
21:30 (米) 4-6月期 単位労働コスト速報値 前期比年率 (1-3月 12.6%、予想 9.5%)

8/10(水)
08:50 (日) 7月 国内企業物価指数 前月比 (6月 0.7%、予想 0.4%)
08:50 (日) 7月 国内企業物価指数 前年同月比 (6月 9.2%、予想 8.5%)
10:30 (中) 7月 消費者物価指数 前年同月比 (6月 2.5%、予想 2.8%)
10:30 (中) 7月 生産者物価指数 前年同月比 (6月 6.1%、予想 4.9%)
15:00 (独) 7月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.9%、予想 0.9%)
15:00 (独) 7月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 7.5%、予想 7.5%)
21:30 (米) 7月 消費者物価指数 前月比 (6月 1.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 7月 消費者物価指数 前年同月比 (6月 9.1%、予想 8.7%)
21:30 (米) 7月 消費者物価コア指数 前月比 (6月 0.7%、予想 0.5%)
21:30 (米) 7月 消費者物価コア指数 前年同月比 (6月 5.9%、予想 6.1%)

23:00 (米) 6月 卸売売上高 前月比 (5月 0.5%)
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
24:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演
27:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演
27:00 (米) 7月 月次財政収支 (6月 -888億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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