ドル円見通し 先週末の急落一服で戻すも137円に届かず上値重い(22/7/26)

夜高値で136.78円まで戻したものの137円台回復へ進む勢いには欠け、26日午前序盤は136.50円を割り込んで推移している。

ドル円見通し 先週末の急落一服で戻すも137円に届かず上値重い(22/7/26)

ドル円見通し 先週末の急落一服で戻すも137円に届かず上値重い

〇ドル円、先週末の急落に対する買い戻しで7/25夜136.78まで戻すも、137円台回復への勢い欠ける
〇米長期債利回りは下げ一服でやや戻すが、2年債と10年債の逆イールドは2週間継続
〇今晩から米FOMC始まる、0.75%利上げとの見方が有力
〇ドル円は7/22前日比1.32円の下落幅となる大陰線、下落幅解消へ進めないうちは下振れリスク続く
〇136円以上での推移中は上昇余地ありとし、136.78超えからは137円台序盤を試すとみる
〇136円割れから続落に入る場合は135.56試しとし、底割れからは134円台中盤を目指すとみる

【概況】

ドル円は7月22日夜の急落で135.56円の安値をつけて7月14日の昨年1月底以降の最高値139.39円からの下げ幅が3.83円となり、週間では前週比2.48円の下落で2020年のパンデミック発生ショック時以来で最大級の週足大陰線となったが、週明けの25日はやや落ち着いて戻りを試す流れとなった。
7月25日は夕刻に独IFOの7月景況指数の発表があり、6月の92.2から88.6へと低下して市場予想の90.2を下回ったために景気減速感も意識されてユーロドルの上値が重かったが、注目度の高い米国経済指標の発表はなかったために全般的なドルの強弱感はまちまちとなった。ドル円は先週末の急落に対する買い戻しにより、夜高値で136.78円まで戻したものの137円台回復へ進む勢いには欠け、26日午前序盤は136.50円を割り込んで推移している。

【米長期債利回りは反発、2年債と10年債の逆イールドは2週間に】

7月25日の米長期債利回りは総じて上昇した。指標の10年債利回りは先週末比0.05%上昇の2.80%となった。7月21日高値から22日安値にかけて3.08%から2.73%まで大幅続落していたところからは下げ一服でやや戻した印象だが、7月26-27日の予定でFOMCも始まるために慎重な動きで勢いには欠ける。
30年債利回りは先週末比0.02%上昇の3.02%で3%台を維持した。
利上げに敏感は2年債利回りは先週末比0.05%上昇の3.02%となった。7月21日高値の3.28%から22日安値の2.91%まで大幅低下した後の下げ渋り的な動きにとどまっているが、2年債と10年債の逆イールドは2週間続いており景気後退への懸念を示している。
一方で7月25日のNYダウは先週末比90.75ドル高と上昇、ナスダック総合指数は同51.44ポイント安とまちまちだった。米連銀による1.0%利上げへの懸念が後退したことでやや落ち着いているものの、金融引き締めが進むことによる景気後退リスクが高まっていることが上値を重くしている印象だ。

【今晩から米FOMC始まり、その結果待ちに】

7月26-27日の予定で米連邦準備制度理事会(FRB)による連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。FOMCは6月に0.75%利上げを決定して7月についても0.50%ないし0.75%の利上げを想定するとしていたが、その後に発表された6月の米CPIが前年比9.1%上昇となり凡そ40年ぶり高水準となったために一時は1.0%利上げの可能性も取り沙汰された。しかしウォラー理事や地区連銀総裁らにより市場の1.0%利上げ予想はやや過剰反応とされたことで0.75%利上げに落ち着くのではないかとの見方が有力となっている。
インフレのピークアウト感が出てくれば先行きの利上げペースも落ち着く可能性はあるものの、現状ではまだピークが見えず高止まりが長引く事も懸念される状況にあるため、今回のFOMCが予想通りに0.75%利上げとしても、9月以降も0.75%利上げが続くような可能性が浮上することになると金融引き締めによる景気後退懸念が一層強まることとなり、金融市場全般がリスク回避的な手仕舞い売り優勢の動きへ進むことも懸念される。

欧州におけるエネルギー不足問題が愚図ついており、ロシアからドイツへのノルドストリーム1による天然ガス供給が供給能力の20%まで低下したとの報道があり、ウクライナの穀物海上輸送再開へ合意した後にロシアがオデッサを砲撃するなど、欧州のエネルギー不足や穀物流通障害への懸念が解消されていないこと、パンデミック発生後の景気回復とサプライチェーンの混乱が続いていることを踏まえれば、インフレ継続と金融引き締めによるスタグフレーション型の不況入りという可能性についても考えておく必要がありそうだ。

【7月22日の日足陰線による下落幅解消へ進めないうちは下振れリスク続く】

ドル円は7月22日に前日比1.32円の下落幅となる大陰線となり、7月14日高値から7月22日安値までの下げ幅は3.83円となった。下落規模としては6月15日高値135.58円から6月16日安値131.48円まで2日間で4.10円の下落となった時を下回っているが、今回は1週間かけての下落で日足チャートにおいて26日移動平均を割り込んでおり、状況としては5月9日高値131.34円から5月12日に前日比1.64円の下落幅となる大陰線で26日移動平均を割り込んだところに近い動きであり、その時は5月12日の日足大陰線レンジ内で若干下げ渋ったものの52日移動平均を試すところまで一段安となり下げ幅は合計で4.99円に拡大している。
5月の調整期の動きも参考としつつ、7月22日の日足大陰線を割り込んでくる場合は52日移動平均(現在133.67円)あたりを試す流れへ進みやすくなるのではないかと注意し、7月22日の日足大陰線レンジを超える反騰からは上昇再開として7月14日高値超えと140円台到達を試す流れへ乗りやすくなるのだろうと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、7月19日夜安値から3日目となる7月22日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクル入りした。7月21日夕高値を基準としてトップ形成期は26日夕から28日夕にかけての間と想定されるが、戻りは短命の可能性もあり、25日深夜高値から失速気味のために既にサイクルトップを付けた可能性もある。
このため、136円台を維持するうちは上昇余地ありとするが、136円割れからは弱気転換注意として7月22日夜安値135.56円試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして27日夜から29日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月25日夜への上昇で遅行スパンが好転したものの先行スパンの下限に上値を抑えられて失速気味のために遅行スパンは再び悪化しやすい位置にある。このため遅行スパンが悪化するところからは下げ再開を警戒して安値試し優先とする。ただし、136円以上を維持して切り返しに入り先行スパン内へ潜り込み始める場合は上昇継続性ありとみて先行スパン上限のある137円台序盤へ向かうとみる。

60分足の相対力指数は7月22日夜の急落で20ポイントまで低下したところから25日夜には50ポイント台をいったん回復したが、26日午前の反落で50ポイントを割り込んでいる。40ポイント割れを回避して50ポイント台を回復すれば上昇再開へ進む可能性ありとみるが、40ポイント割れからは下げ再開の可能性を優先して30ポイント割れを目指すと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、136.00円を下値支持線、7月25日夜高値136.78円を上値抵抗線とする。
(2)136円以上での推移かわずかに割り込んでも早々に回復するうちは上昇余地ありとし、136.78円超えからは137円台序盤(137.00円から137.25円)を試すとみる。137円手前から137円台序盤では戻り売りにつかまりやすいとみるが、136.50円以上での推移なら27日の日中も高値試しへ向かう可能性ありとみる。
(3)136円割れから続落に入る場合は7月22日夜安値135.56円試しとし、底割れからは134円台中盤(134.70円から134.30円)を目指すとみる。135円割れではいったん買い戻しも入りやすいとみるが、136円以下での推移が続くうちは27日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7/26(火)
米連邦公開市場委員会(FOMC)初日
IMF世界経済見通し(WEO)
グーグル(アルファベット)、マイクロソフト決算
22:00 (米) 5月 米連邦住宅金融局住宅価格指数 前月比 (4月 1.6%、予想 1.5%)
22:00 (米) 5月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (4月 21.2%、予想 20.6%)
23:00 (米) 7月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (6月 98.7、予想 97.2)
23:00 (米) 7月 リッチモンド連銀製造業指数 (6月 -11、予想 -14)
23:00 (米) 6月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (5月 69.6万件、予想 66.0万件)
23:00 (米) 6月 新築住宅販売件数 前月比 (5月 10.7%、予想 -5.2%)
26:00 (米) 財務省5年債入札

7/27(水)
10:30 (豪) 4-6月期 消費者物価・CPI 前期比 (1-3月 2.1%、予想 1.9%)
10:30 (豪) 4-6月期 消費者物価・CPI 前年同期比 (1-3月 5.1%、予想 6.3%)
14:00 (日) 5月 景気先行指数CI改定値 (速報 101.4)
14:00 (日) 5月 景気一致指数CI改定値 (速報 95.5)
15:00 (独) 8月 GFK消費者信頼感 (7月 -27.4、予想 -28.9)
21:30 (米) 6月 卸売在庫 前月比 (5月 1.8%、予想 1.5%)
21:30 (米) 6月 耐久財受注 前月比 (5月 0.7%、予想 -0.3%)
21:30 (米) 6月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (5月 0.7%、予想 0.2%)

23:00 (米) 6月 住宅販売保留指数 前月比 (5月 0.7%)
23:00 (米) 6月 住宅販売保留指数 前年同月比 (5月 -12.0%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利 (現行 1.50-1.75%、予想 2.25-2.50%)
27:30 (米) パウエル米FRB議長、定例記者会見



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