ドル円見通し 7月14日高値から2円を超える調整安となるも138円台回復で持ち直しへ (22/7/20)

米長期債利回りが上昇、ECBが7月21日の理事会で0.50%利上げに踏み切るとの見方が強まり、ロス円全般で円安が進んだため、20日早朝には138円台序盤を回復した。

ドル円見通し 7月14日高値から2円を超える調整安となるも138円台回復で持ち直しへ (22/7/20)

ドル円見通し 7月14日高値から2円を超える調整安となるも138円台回復で持ち直しへ

〇ドル円、7/19夜137.37まで続落するも、クロス円全般で円安進み20日早朝138円台回復
〇ユーロドル1.020ドル台回復、ECB理事会0.50%利上げ見通しきっかけに持ち直す
〇米長期債利回り総じて上昇、NYダウは前日比754.44ドル高の大幅上昇
〇日銀が金融緩和維持、ECB大幅利上げ実施の場合、ユーロ円上昇がドル円上昇にも波及しやすい環境
〇138円以上での推移中は上向きとし、138.70超えからは139円台前半への上昇を想定する
〇137.70割れからは137.37試し、底割れからは136円台後半への下落を想定する

【概況】

ドル円は7月11日に137円を超えて11日夜に137.75円へ到達、14日午前に138円を突破して14日夜には139.39円まで大幅続伸したが、ユーロドルが1ユーロ1ドルのパリティ割れから反騰に転じ、米FRBによる来週のFOMCについて1.0%利上げの可能性が取り沙汰されていたことが後退したことでドル高がゆるんだため、7月19日夜には137.37円まで続落となり7月14日高値からの下げ幅が2.02円に拡大した。
しかし7月19日夜からはNYダウが大幅上昇する一方で株買い債券売りにより米長期債利回りが上昇、ECBが7月21日の理事会で従来予想の0.25%利上げではなく0.50%利上げに踏み切るとの見方が強まり、欧州の主要長期債利回りも上昇してユーロ円が上昇するなどクロス円全般で円安が進んだため、20日早朝には138円台序盤を回復した。2円を超える調整安は6月29日夜高値137.00円から7月1日安値134.74円まで2.26円の下落となったところに近い規模だったが、ひとまず調整を消化しつつ上昇再開入りを伺う位置取りとなってきた印象だ。

【ユーロドル、1.020ドル台回復】

ドル全面高と欧州のエネルギー不足問題によりリセッション入りへの懸念が強まる中でユーロドルは7月14日夜安値で0.9950ドルをつけて1ユーロ1ドルのパリティを20年ぶりに割り込んだ。しかしパリティ割れまで売られたことに対する突っ込み警戒感と、ECBが従来予想よりも大幅な利上げを行う可能性があるとの報道等をきっかけに持ち直しに入り、7月19日夜には1.020ドル台を回復した。ユーロドルは7月5日に1.040ドル台前半で推移していたところから1.030ドル割れへ急落し連日の安値更新となっていたが、ひとまず落ち着いた状況だ。
米FRBが7月26-27日のFOMCにおいて1.0%の超大幅利上げは見送りそうだとの見方が地区連銀総裁やFRB理事の発言等で強まる一方、ユーロ安によるインフレの深刻化により7月21日のECB理事会では従来想定の0.25%利上げではなく0.50%の大幅利上げとなる見通しが強まっている。

ロシアのガスプロム社によるノルドストリーム1経由の欧州向け天然ガス供給がメンテナンス入りを理由に7月11日から停止に入ったことでメンテナンス終了後もロシア制裁への対抗で停止が長期化するのではないかとの懸念が強まっていたことも欧州のリセッション入りへの警戒を強めてユーロ売りを助長してきたが、7月19日には7月21日のメンテナンス終了から元の水準での供給が始まりそうだとの報道もあり、ユーロの反騰に一役かっている。
7月21日には日銀金融政策決定会合とECB理事会があるが、日銀の金融緩和政策維持に対してECBが利上げに踏み切ればユーロ円の上昇による円安がクロス円全般の円安及びドル円の上昇にも波及しやすいのではないかと思われる。7月7日以降、主要なクロス円は上昇基調を見せている。

【米長期債利回り、逆イールド続く】

7月19日の米長期債利回りは総じて上昇した。指標の10年債利回りは前日比0.04%上昇の3.03%、30年債利回りが同0.02%上昇の3.18%、2年債利回りが同0.06%上昇の3.24%となった。2年債と10年債及び30年債の逆イールドは続いているが、7月18日から19日へと連騰したことで米10年債利回りも6月14日高値3.50%からの調整安が7月6日の2.75%までの低下で一巡して持ち直しに入っている印象が強まった。2年債利回りも6月14日の3.46%から7月1日に2.73%まで低下したところからの反騰を継続しており、ドル円にとっては米長期債利回りの再上昇と同調して戻りを試しやすい環境となっている印象だ。

一方でNYダウは7月19日に前日比754.44ドル高の大幅上昇となった。先週末の7月15日に前日比658.09ドル高と反騰した後の7月18日に前日比215.65ドル安と反落していたが、大幅上昇で戻り高値を切り上げており、米FRBによる1.0%利上げの可能性が後退したことでやや落ち着きを取り戻している。ナスダック総合指数も前日比353.10ポイント高と上昇している。
7月19日に米商務省が発表した6月の住宅着工件数は年換算で前月比2.0%減の155万9000戸となり2021年9月以来の低水準となり市場予想の158万戸を下回った。また先行指標の住宅着工許可件数も0.6%減の168万5000戸となったが市場予想の165万戸は上回った。経済指標が強ければ米FRBの利上げペースが加速し、弱ければ減速するとの市場反応が見られるが、株安が落ち着けばリスク回避的な円の買い戻しも収まってドル円もリスクオン型で上昇しやすくなると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、7月12日夜安値を前回のサイクルボトムとした強気サイクルが7月14日夕高値で一巡して弱気サイクル入りしていたが、12日夜安値から5日目となる7月19日夜安値で直近のサイクルボトムをつけて強気サイクル入りしたと思われる。高値形成期は19日夜から21日夜にかけての間と想定される為、すでに反落注意期にあるが、7月19日夜安値割れを回避するうちは7月14日夜高値139.39円超えを試す可能性があるとみる。ただし7月19日夜安値を割り込む場合は底割れによる新たな弱気サイクル入りとして22日夜から26日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月19日夜安値からの反騰で遅行スパンが好転、先行スパンに潜り込み始めている。先行スパンを上抜くところからは上昇も勢い付きやすいとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返せないうちは7月19日安値割れから一段安へ向かう可能性が残ると注意し、19日夜安値割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は7月19日夜の下落時に30ポイントを割り込んだところから60ポイント台まで切り返しているため調整消化から上昇再開に入っている。50ポイント以上での推移中は70ポイント台を目指す流れとし、45ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、137.70円を下値支持線、138.70円を上値抵抗線とする。
(2)138円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上向きとし、138.70円超えからは139円台前半への上昇を想定する。7月21日の日銀金融政策決定会合も控えているので139円到達では戻り売りも出やすいとみるが、137.70円以上での推移なら21日午前にかけては高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)137.70円割れからは7月19日夜安値137.37円試しとし、底割れからは136円台後半への下落を想定する。136.70円以下は反発注意とするが、137.37円を割り込んでの推移なら21日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7/20(水)
日銀・金融政策決定会合初日
15:00 (英) 6月 消費者物価指数 前月比 (5月 0.7%、予想 0.7%)
15:00 (英) 6月 消費者物価指数 前年同月比 (5月 9.1%、予想 9.3%)
15:00 (英) 6月 消費者物価コア指数 前年同月比 (5月 5.9%、予想 5.8%)
15:00 (英) 6月 小売物価指数 前年同月比 (5月 11.7%、予想 11.8%)
15:00 (独) 6月 生産者物価指数 前月比 (5月 1.6%、予想 1.5%)
17:00 (欧) 5月 経常収支・季調済 (4月 -58億ユーロ)
23:00 (米) 6月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (5月 541万件、予想 536万件)
23:00 (米) 6月 中古住宅販売件数 前月比 (5月 -3.4%、予想 -0.9%)
23:00 (欧) 7月 消費者信頼感速報値 (6月 -23.6、予想 -24.9)
23:30 (米) エネルギー省石油在庫統計
26:00 (米) 財務省20年債入札

7/21(木)
ロシアの拒否権行使めぐる国連総会会合
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
未 定 (日) 日銀展望レポート
07:45 (NZ) 6月 貿易収支 (5月 2.63億NZドル)
08:50 (日) 6月 通関貿易収支・季調前 (5月 -2兆3847億円、予想 -1兆5000億円)
08:50 (日) 6月 通関貿易収支・季調済 (5月 -1兆9314億円、予想 -2兆752億円)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見

21:15 (欧) 欧州中銀 政策金利 (現行 0.00%、予想 0.25〜0.50%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 24.4万件、予想 24.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 133.1万人、予想 134.5万人)
21:30 (米) 7月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (6月 -3.3、予想 0.0)
21:45 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、定例記者会見
23:00 (米) 6月 コンファレンスボード景気先行指指数 前月比 (5月 -0.4%、予想 -0.5%)
26:00 (米) 財務省インフレ指数連動10年債入札

注:ポイント要約は編集部

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