ドル円見通し ユーロ暴落をきっかけにドル全面高でクロス円も全面安、リスク回避型の動き強まる(22/7/6)

7月6日午前序盤にはドル高が一服する中でリスク回避的な円の買い戻し圧力が再び強まり135.50円を割り込んでいる。

ドル円見通し ユーロ暴落をきっかけにドル全面高でクロス円も全面安、リスク回避型の動き強まる(22/7/6)

ユーロ暴落をきっかけにドル全面高でクロス円も全面安、リスク回避型の動き強まる

〇ドル円、ユーロ暴落によるドル全面高でクロス円大幅下落、7/5夕刻135.50円台へ安値切り下げる
〇ユーロドル、7/6深夜1.0233まで急落、景況感悪化による欧州諸国長期債利回り低下が背景
〇NYダウ一時700ドル超下落、米10年債利回りは2.81%で終了、2年債とは逆イールドが発生
〇本日はユーロ圏5月小売売上高、6月米ISMサービス業景況指数発表、明日FOMC議事録公開予定
〇136円以下での推移中は下向きとし、7/1安値134.74割れからは134円台前半への下落を想定する
〇136.36を超える場合は新たな上昇期に入るとみて、137円超えを目指す上昇を想定する

【概況】

ドル円は6月29日夜に137.00円をつけて2021年1月6日底102.57円以降の最高値を更新したところから7月1日に134.74円まで反落したものの135円割れを何度か買い戻されて底固さを見せ、7月5日午前には136.36円まで切り返していた。しかし欧州諸国の景況感悪化から欧州主要国の長期債利回りが低下し始めるとユーロドルが夕刻から急落、ポンドや豪ドル等へも売りが波及してドル全面高の様相となり、クロス円も大幅下落したこととリスク回避による円の買い戻しで5日夕刻には135.50円台へ下落、その後も136円台をつけると戻り売りにつかまり深夜には135.51円まで安値を切り下げていた。
7月6日午前序盤にはドル高が一服する中でリスク回避的な円の買い戻し圧力が再び強まり135.50円を割り込んでいる。

6月22日に136.71円へ上昇したところから6月23日夜に134.25円まで2.46円の下落を入れてから一段高したが、7月1日安値にかけて2.26円の下落からの反騰では高値更新へ進めずに失速しているため、やや大きな調整安を入れても高値更新へと進んできた強気な流れにヒビが入っている印象もある。6月23日夜安値から7月1日午後安値へと底上げしてきた支持線を割り込むようだと6月16日深夜にかけて直前高値から4円を超える下落規模となったことの再現となる可能性にも注意したい。
今晩はユーロ圏5月小売売上高、6月の米ISMサービス業景況指数、明日未明にFOMC議事録公開がある。

【ユーロ暴落】

ユーロドルは7月1日深夜安値1.0365ドルから反発して4日から5日午後にかけては1.040ドル台前半で推移していたが、欧州主要国の景況感悪化と株安・長期債利回り低下から急落商状に陥り、1.040ドル割れからは売りの連鎖反応で下げ足が早まり深夜には1.0233ドルまで暴落的な下落となった。
2017年1月3日底1.0341ドルを割り込み、2008年7月15日天井1.6035ドル以降の安値を更新、2002年12月に1ドル1ユーロのパリティレベルにあったところ以来の安値水準となった。
スペイン、イタリア、フランス等の景況感が悪化、ロシアからの天然ガス供給不安、欧米の金融引き締めによる景気後退懸念、中国で再び感染拡大が報じられたことなどが重なりリスク回避的な株売り債券買いで欧州主要国の長期債利回りが低下したことなどが入り交じっての急落だった。
ユーロ安に同調してポンドドルも1.20ドルを割り込み2021年6月1日天井1.4248ドル以降の最安値を更新、豪ドル米ドルも0.67ドル台へ急落して2021年2月25日天井0.8007ドル以降の安値を更新するなどドルストレートではドル全面高、クロス円は全面安となった。

【NYダウは急落後に反騰、米長期債利回りは大幅低下】

欧州株式市場が総崩れで英FT100指数が2.8%安、独DAXが2.9%安、仏CAC指数が2.7%安となり、NYダウも序盤に700ドル安を超えたが、米長期債利回り低下と売られ過ぎ警戒からの買い戻しで前日比129.44ドル安まで下げ幅を大きく削り、ナスダック総合指数は安値から400ポイント強の反騰で前日比194.39ポイント高とプラス圏へ戻した。世界連鎖株安にブレーキを掛けた印象もあるが、主要国の金融引き締めによるリセッション入りへの懸念が強まっており、やや乱調な展開を続けつつ年初からの調整安が継続しやすい状況にあると思われる。

一方で米長期債利回りは安全資産買いにより総じて低下した。指標の米10年債利回りは前日比0.07%低下の2.81%で終了したが、一時は2.78%まで低下した。6月14日に3.50%をつけて1昨年以降の最高値としたところから調整安に入っており、7月1日には一時2.79%まで下げ、7月4日の米国市場休場明けとなった5日の序盤は2.97%まで戻していたが株売り債券買いにより低下に転じている。
30年債利回りも0.07%低下の3.04%となったが、大幅利上げ継続感も変わらないために利上げに敏感な2年債利回りは0.01%低下の2.82%にとどまり、7月1日につけた2.73%割れには至らずに10年債利回りとは長短逆転(逆イールド)となった。
ドル円としては米長期債利回りの低下により昨年来の大上昇基調を継続しつつも勢いが徐々に鈍る状況となっていたが、欧米の長期債利回り低下が進む中では金利差からの円安よりもクロス円における円高がドル円にも波及しやすい状況にあると思われる。昨晩はひとまず戻したNYダウが再び下げるようだと世界的な景気後退感と株安長期債利回り低下がまだ続いてドル円も大きな調整安に陥る可能性もあるところと注意する。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、6月29日夜高値でサイクルトップをつけて弱気サイクル入りしていたが、7月1日午後と夜及び4日午前に134.70円台へ下げたところを買い戻されて確りして5日午前序盤に136円に迫ったため、5日午前時点では7月4日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また高値形成期は7月4日夜から6日深夜にかけての間と想定されるのですでに反落注意期にあるとした。
7月5日午前に136円台前半へ戻したところから135.50円割れへ失速しているため、5日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクルとして7日午前から11日午前にかけての間への下落を想定する。6日の上値抵抗は5日午前高値までとし、高値更新からは新たな強気サイクル入りとして8日午前から12日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では7月6日午前序盤への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落しつつあるため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。7月5日午前高値を上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とするが、5日午前高値を上抜き返すところからは新たな上昇期入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は7月5日午前に70ポイント台へ上昇したところから6日午前序盤には40ポイントまで低下してきているので55ポイント以下での推移中は下向きとして30ポイント割れを目指すとみる。55ポイント超えからは上昇再開の可能性ありとみて60ポイント台後半への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月1日安値134.74円を下値支持線、136.00円を上値抵抗線とする。
(2)136円以下での推移中は下向きとし、7月1日安値割れからは134円台前半(134.50円から134.00円)への下落を想定する。134.20円以下は反騰注意とするが下げ足が早まる場合は134円割れを試す可能性もあると注意し、135.50円以下での推移なら7日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)136円台序盤は戻り売りにつかまりやすいとみるが、5日午前高値136.36円を超える場合は新たな上昇期に入るとみて137円超えを目指す上昇を想定する。

【当面の主な予定】

7/6(水)
15:00 (独) 5月 製造業新規受注 前月比 (4月 -2.7%、予想 -0.6%)
15:00 (独) 5月 製造業新規受注 前年同月比 (4月 -6.2%、予想 -5.0%)
18:00 (欧) 5月 小売売上高 前月比 (4月 -1.3%、予想 0.4%)
18:00 (欧) 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 3.9%、予想 -0.4%)
22:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、開会閉会挨拶
22:45 (米) 6月 サービス業PMI改定値 (速報 51.6、予想 51.6)
23:00 (米) 6月 ISMサービス業景況指数 (5月 55.9、予想 54.3)
23:00 (米) 5月 雇用動態調査(JOLT)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC 6/14-15開催分)議事要旨

7/7(木)
10:30 (豪) 5月 貿易収支 (4月 104.95億豪ドル 104.95億豪ドル)
14:00 (日) 5月 景気先行指数CI速報値 (4月 102.9、予想 101.5)
15:00 (独) 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 0.7%、予想 0.4%)
15:00 (独) 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 -2.2%、予想 -1.8%)
20:30 (欧) 欧州中銀 理事会議事要旨
21:30 (米) 5月 貿易収支 (4月 -871億ドル、予想 -850億ドル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.1万件、予想 23.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 132.8万人、予想 132.0万人)
22:00 (英) マン英中銀委員、講演
24:00 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
26:00 (米) ウォラーFRB理事、インタビュー
26:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演

注:ポイント要約は編集部

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