ドル円見通し 欧州等の長期債利回り上昇でクロス円が上昇、ドル円も136円に迫る(22/7/5)

7月5日午前序盤は136円に迫っており、7月1日午後から三度の135円割れを切り返したことによる底固さから上昇再開に入りつつある印象だ。

ドル円見通し 欧州等の長期債利回り上昇でクロス円が上昇、ドル円も136円に迫る(22/7/5)

ドル円見通し 欧州等の長期債利回り上昇でクロス円が上昇、ドル円も136円に迫る

〇ドル円、7/4は米市場休場のなか欧州長期債利回り上昇でクロス円上昇、深夜135.77まで値を上げる
〇7/5午前序盤は136円に迫り、上昇再開に入りつつある印象
〇昨日発表の5月ユーロ圏PPIは前月及び市場予想を下回るも、高水準
〇米長期債利回り、先週の調整低下を消化し、今後の利上げ見通しを踏まえ上昇基調回復の可能性
〇136.10超えからは、136円台後半(136.50から137円)を目指す上昇を想定する
〇135.20割れからは7/4安値134.77試しとし、安値更新からは134円前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は7月1日午後安値で134.74円へ下落して6月29日夜高値137.00円からの下げ幅が2.26円となったが、6月22日高値136.71円から6月23日夜安値134.25円にかけて2.46円の下落が入ったところに近い動きにとどまり、1日夜と週明けの4日午前に135円を割り込んだところも安値更新を回避して買い戻されて確りした。
7月4日夜は米国市場休場だったが、欧州市場時間ではユーロ圏PPIの大幅上昇が続いていることでのECBへの利上げ催促感で欧州長期債利回りが上昇したためにユーロやポンドなどが上昇してドルストレートにおいてはドル安での推移となったが、クロス円全般が上昇したことでドル円への円高圧力は薄く、深夜にドル安が緩んだところで135.77円まで上昇して7月1日夕刻高値135.66円を上抜いた。
7月5日午前序盤は136円に迫っており、7月1日午後から三度の135円割れを切り返したことによる底固さから上昇再開に入りつつある印象だ。
本日は豪中銀の利上げ決定が予想されている。休場明けの米長期債利回り動向が欧州の長期債利回り上昇などを意識して上昇再開感を見せるかどうかにも注目したい。

【ユーロ圏のPPIは前年比36.3%上昇】

7月4日夕刻に発表された5月のユーロ圏PPI(生産者物価指数)は前月比0.7%上昇で4月の1.2%及び市場予想の1.0%を下回った。また前年同月比は36.3%で4月の37.2%及びの36.7%を下回った。前月及び予想を下回ったことは物価上昇がやや落ち行くことを期待させるがそれでもPPI前年比が30%を大幅に超えるインフレは深刻だ。
先週末の7月1日発表された6月のユーロ圏HICPは前年同月比8.6%上昇で5月の8.1%及び市場予想の8.4%を上回り、コア指数の前年同月比も3.7%上昇で5月の3.8%及び予想の3.9%を若干下回ったものの高水準にある。
米連銀の利上げは3月に0.25%、5月に0.50%、6月に0.75%と利上げペースが加速し、7月についても0.50%ないし0.75%の利上げが想定され、年末には3.50%近辺まで引き上げられてゆく見通しが強まっている。これに対して域内の景気回復にばらつきと弱さもありロシア制裁の影響もあることでECBの利上げ再開は出遅れてきたが、7月21日の次回ECB理事会では利上げ開始が既定路線となっている。

【米長期債利回り、先週の調整低下を消化して上昇再開へ向かうか】

7月4日は米国市場休場中に独10年債利回りが先週末比0.10%上昇の1.33%へと上昇して7月1日に0.14%低下したところから反騰感を強め、伊10年債利回りも0.15%上昇の3.34%をつけた。また英10年債利回りも先週は大幅低下して一時は2.00%まで下げていたが4日は2.21%へと反騰している。

パウエル米連銀議長は6月22日と23日の米上下院議会証言と6月29日のECBフォーラムにおいて「景気よりも物価上昇抑制」を優先させる姿勢を繰り返し示してリセッションの可能性にも言及した。このため年末への利上げペースを踏まえて上昇反応してもよかったはずの米長期債利回りはリセッション懸念により安全資産としての債券買いが優先されて利回り大幅低下に陥った。2020年3月以降の米長期債利回り上昇基調の中では最大級の調整的低下規模だったが、欧州等主要国の長期債利回り上昇感と米国自身の今後の利上げ見通しを踏まえれば、先行きはこれまでの高値水準を超えてゆく上昇基調を回復するのではないかと思われる。7月5日午前序盤の米10年債利回りは先週末比0.03%上昇の2.93%近辺へ戻して再開している。
ドル円は米長期債利回りが低下する局面では上昇一服となるものの、長期債利回り上昇再開から一段高を目指すという昨年来の基調を維持してゆくのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、6月29日夜に137円へ到達したところでサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしたが、7月1日午後と夜及び4日午前に134.70円台へ下げたところを買い戻されて確りし、5日午前序盤には136円に迫ってきているため、7月4日午前安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。高値形成期は7月4日夜から6日深夜にかけての間と想定されるのですでに反落注意期にはいっているが、135円台序盤までで確りするうちは一段高余地ありとみて136円超えからは137円到達を再び目指す上昇を想定する。ただし、135.20円割れからは弱気転換注意として7月4日午前安値134.77円試しとし、4日午前安値割れからは弱気サイクル入りとして7日午前から11日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月4日午前安値からの上昇で遅行スパンが好転、5日早朝には先行スパンも上抜いているため遅行スパン好転中の高値試し優先とする。先行スパンからの転落を回避するうちは一時的に遅行スパンが悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とするが、先行スパン転落からは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は7月1日午後から4日午前にかけてほぼフラットな安値試しを続けた際に指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて60ポイント超えまで戻している。このため50ポイント以上での推移中は上向きとして70ポイント台後半を目指す上昇を想定し、50ポイント割れからは戻り一巡による反落入りとみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、135.20円を下値支持線、136.10円を上値抵抗線とする。
(2)135円台中盤までで確りするうちは上昇余地ありとし、136円到達では短期的に売りも出やすいと注意するが、136.10円超えからは136円台後半(136.50円から137円)を目指す上昇を想定する。136.70円以上は反落警戒とするが、135.50円以上での推移なら6日午前にかけても高値試しを続けやすいとみる。
(3)135.20円割れからは弱気転換注意として7月4日安値134.77円試しとし、安値更新からは134円前後への下落を想定する。134円以下は反騰警戒とするが、135円を割り込んだ後も135.20円以下での推移が続く場合は6日午前にかけても安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7/5(火)
スウェーデンとフィンランドのNATO加盟議定書署名
10:45 (中) 6月 財新サービス業PMI (5月 41.4、予想 49.6)
13:30 (豪) 豪中銀 政策金利 (現行 0.85%、予想 1.35%)
16:55 (独) 6月 サービス業PMI改定値 (速報 52.4、予想 52.4)
17:00 (欧) 6月 サービス業PMI改定値 (速報 52.8、予想 52.8)
17:30 (英) 6月 サービス業PMI改定値 (速報 53.4、予想 53.4)
23:00 (米) 5月 製造業新規受注 前月比 (4月 0.3%、予想 0.5%)
25:30 (英) テンレイロ英中銀委員、講演

7/6(水)
15:00 (独) 5月 製造業新規受注 前月比 (4月 -2.7%、予想 -0.5%)
15:00 (独) 5月 製造業新規受注 前年同月比 (4月 -6.2%、予想 -5.0%)
18:00 (欧) 5月 小売売上高 前月比 (4月 -1.3%、予想 0.4%)
18:00 (欧) 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 3.9%、予想 -0.2%)
22:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、開会閉会挨拶
22:45 (米) 6月 サービス業PMI改定値 (速報 51.6、予想 51.6)
23:00 (米) 6月 ISMサービス業景況指数 (5月 55.9、予想 54.5)
23:00 (米) 5月 雇用動態調査(JOLT)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC 6/14-15開催分)議事要旨



注:ポイント要約は編集部

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